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個人の所得に影響!基礎控除や給与所得控除、2020年1月からの税制改正

そなえる 中村 賢司

個人の所得に影響!基礎控除や給与所得控除、2020年1月からの税制改正

【画像出典元】「iStock.com/bob_bosewell」

国の状況や政府の方針により毎年見直される税制。今回は、政府が重要政策のひとつとして2019年4月から施行した「働き方改革」をふまえ、さまざまな形で働く人を応援する観点の改正となる、基礎控除、給与所得控除、扶養親族がいる場合の控除について見ていきます。

2020年1月から、基礎控除や給与所得控除が具体的にどのように変わるのか、私たち個人の所得にどう影響してくるのかを解説します。

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税制改正って何がどう変わるの?

書類と電卓
【画像出典元】「iStock.com/katleho Seisa」

2020年の税制改正大綱によると、所得税の計算に関係する基礎控除、給与所得控除の額が下記のように改正されます。

【基礎控除】

合計所得金額

基礎控除額

改正後

改正前

2400万円以下

48万円

38万円
(所得制限なし)

2400万円超2450万円以下

32万円

2450万円超2500万円以下

16万円

2500万円超

 

基礎控除とは、サラリーマン、公務員、自営業者など全ての納税者に対して一律で適用される控除です。改正前に比べると、合計所得金額2400万円以下の場合、基礎控除額は10万円引き上げられました。

しかし、上の基礎控除の表のように、合計所得金額が2400万円を超えると段階的に32万円、16万円と減額の改正となっており、2500万円を超えると基礎控除がゼロとなります。
つまり、高所得になるほど、基礎控除額が減ることになります。

【給与所得控除】

給与等の収入金額

給与所得控除額

改正後

改正前

162万5000円以下

55万円

65万円

162万5000円超180万円以下

その収入金額×40%-10万円

その収入金額×40%

180万円超360万円以下

その収入金額×30%+8万円

その収入金額×30%+18万円

360万円超660万円以下

その収入金額×20%+44万円

その収入金額×20%+54万円

660万円超850万円以下

その収入金額×10%+110万円

その収入金額×10%+120万円

850万円超1000万円以下

195万円

1000万円超

220万円

給与所得控除とは、給与所得者すなわちサラリーマンや公務員の収入に対して控除されるものです。こちらは、基礎控除とは逆に一律10万円引き下げられました。

また、給与所得控除を受けることができる給与収入の上限が、改正前は年収1000万円だったのですが、改正後は年収850万円となりました。併せて給与所得控除の上限額も220万円から195万円に引き下げられました。

個人にどう影響するの?

上記の表の通り、年収が850万円までは基礎控除と給与所得控除でプラスマイナスゼロとなり、改正前と改正後では大きく影響しません。しかし、年収850万円を超えると実質増税になることは間違いありません。その増税幅は、年収2400万円を超えるとさらに大きくなります。

配偶者や扶養親族がいる場合は?

仲がよさそうな夫婦
【画像出典元】「iStock.com/Moyo Studio」

年収850万円を超えると実質増税といいましたが、特別障害者に該当する人や23歳未満の扶養親族がいる人、特別障害者が扶養親族にいる人に対しては、その負担が増えないよう、新しく所得税額調整控除という控除が創設されました。

控除額の計算式は以下の通りです。

●(年収-850万円)×10% = 控除額(上限15万円)

上限が15万円ということは、年収1000万円を超えるとその控除額は一律15万円になるということです。

また、配偶者・扶養親族の合計所得金額要件も併せて見直されています。

改正前の配偶者や扶養親族の所得要件は「合計所得金額38万円以下」でしたが、改正後は10万円引き上げられて48万円以下という要件になりました。

しかし給与所得控除が10万円引き下げられているため、給与所得控除と基礎控除の内訳が変わっただけで、年収ベースで103万円以下であることは変わりません。つまり、これまで「パート勤務の配偶者は合計所得金額38万円以下(年収103万円以下)で扶養」という条件が、改正以降は「合計所得金額48万円以下(年収103万円以下)」に変わりますが、「103万円の壁」は依然として存在し続けます。

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基礎控除や給与所得控除の税制改正まとめ

今までみてきたように、2020年の税制改正では、年収や家族構成により、増税になる世帯も出てくるでしょう。その場合、事前に家族の年収をチェックしておき、場合によっては働き方をどうするか検討する必要があります。

また、年末調整を行う職場の負担も増えてきます。税の三大原則「公平・中立・簡素」というものがありますが、どんどん複雑化しているのが現状です。今後の流れとして政府はますますマイナンバー制度の浸透を進めていく方針です。そうすることで年末調整などの負担も減り、また確定申告も不要になる時代がくるかもしれません。