衝撃!退職金1000万円以上の差も。企業規模別の相場&業種別ランキング
2019年、金融庁の報告書によって社会に大きな不安を巻き起こした「老後2000万円問題」。年金だけでは厳しそうな老後が垣間見える中、気になるのが退職金です。ここでは、企業規模別にどれくらいもらえるのかを調査。業種別のランキングや気になる今後の退職金相場・動向についても調べてみました。
退職金額は企業規模に比例する? 規模別のリアルな平均金額・相場は
退職金の受取額は「企業規模」によって大きく異なります。また、大学・大学院卒と高卒といった「学歴」や総合職と事務職などの「職種」、定年・自己都合・会社都合などの「事由」や「勤続年数」によっても金額が異なってきます。
ここでは、主に大企業を調査している「中央労働委員会」の「賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」と主に中小企業を調査対象にしている「東京都産業労働局」の「中小企業の賃金・退職金事情」のデータを元に、定年退職した場合の退職金の相場についてご紹介します。
※中央労働委員会の調査対象:大企業(資本金5億円以上かつ従業員数1000人以上)から独自基準で選定した380社
※東京都産業労働局の調査対象:中小企業(従業員数300人未満)995社
大学卒でも企業規模によって退職金に1000万円以上の差が
定年退職では、「大学卒×大企業」がもっとも退職金の相場が高くなります。
・大企業
大学卒 2249万円、高校卒 1792万円 ※1
・中小企業
大学卒 1203万円、高校卒 1127万円 ※2
同じ大学卒でも大企業と中小企業では約1000万円以上も差があり、企業規模による格差が存在しています。
定年前でも退職金制度があれば退職金を受け取れることも
退職金制度がある場合、定年前の自己都合・会社都合の退職でも退職金が支払われることがあります。早期退職ほど金額は低めですが、勤続年数が10年を超えると退職金の伸び率が上昇しやすく、勤続年数25年を超えると1000万円台に乗るところが多いようです。また、会社都合による退職のほうが自己都合の退職よりも金額が高い傾向があります。
※1 中央労働委員会
「平成29年賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」
※2 東京都産業労働局
「中小企業の賃金・退職金事情」
業種でも差がつく、 24業種別の平均退職金額ランキング
企業規模で退職金に差がありますが、実は業種でも差があります。「中央労働委員会」の「平成29年賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」※1によると、24業種の定年時の平均退職金額のランキングは以下のようになっています。
1位 海運・倉庫 3405万円
2位 新聞・放送 2402万円
3位 窯業・土石製品 2340万円
4位 造船 2136万円
5位 保険 2129万円
6位 石油 2056万円
7位 ホテル・旅行 2040万円
8位 百貨店・スーパー 2017万円
9位 化学 2009万円
10位 電気機器 1989万円
11位 建設 1982万円
12位 商事 1974万円
13位 私鉄・バス 1952万円
14位 電力 1948万円
15位 情報・サービス 1793万円
16位 車輌・自動車 1770万円
17位 繊維 1686万円
18位 機械 1659万円
19位 非鉄金属 1435万円
20位 製鉄・製鋼 1279万円
21位 パルプ・製紙 1235万円
22位 食品・たばこ 1146万円
23位 銀行 1042万円
※24業種の1つ「ゴム」は平均退職金のデータなし
退職金の行方・・・今後はもらえるだけありがたい?
退職金そのものの金額は減少傾向にあります。実際、「平成19年賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」※3の大学卒の定年時の平均退職金額は2652万円だったので、10年で400万円ほど減少しています。
退職金には、退職時にまとめて一括で支払われる「退職一時金制度」と、一定期間もしくは生涯にわたって、一定の金額が年金として支払われる「企業年金制度」の2つがあります。
両方の制度を併用している企業もありますが、近年、固定費である人件費の見直しを行う企業が増え、「確定給付年金」の利率を見直す企業が増加。
また、年金制度についても変化が見られます。これまでは、おおよその給付額が決まっている「確定給付年金制度」が主流でしたが、最近は「確定拠出年金制度」を導入する企業が増えています。
「確定拠出年金制度」は、毎月一定の掛け金(拠出額)を積み立てて企業または個人単位で資産を運用する年金制度です。運用の結果によって受け取れる年金の金額が異なります。仮に運用の結果で給付額が少なくなっても、勤めている企業が損失を穴埋めしなくてもよいという利点があり、「確定拠出年金」を導入する企業が増えています。
今後は退職金や年金による不足を補うため、資産運用で蓄財していかなくてはいけなくなるでしょう。
※3 中央労働委員会
「平成19年賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」
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退職金がもらえるだけありがたい・・・そんな時代が近づいているのかもしれません。退職金が減少傾向にあることを頭の片隅に置き、将来を見据えて資産運用を始めてはいかがでしょうか。