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失敗から学ぶ「20代で起業」を叶える7つの鉄則とは?

ふやす 内山 貴博

失敗から学ぶ「20代で起業」を叶える7つの鉄則とは?

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「いつかは起業したい!」という目標を掲げている人もいるのではないかと思います。筆者自身も会社員を経てFPとして独立し、「20代で起業」を経験しています。

筆者は会社員をしながら「週末起業家」として土日や仕事後にできることから始め、それから起業しましたが、当時を振り返るとあまりに未熟で冷や汗がでます。今回はそんな筆者の経験談も踏まえ起業成功のヒントをお伝えいたします。自分の店や事務所を持つ場合や、ベンチャー企業としてスタートし、いずれ株式を上場させる事業にしたいといったスケールの大きなものも含め、皆さんが目標としている起業を思い描きながら読み進めてください。

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失敗例から学ぶ起業~周りの声を聞く~

礼儀正しいビジネスマン
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前述したように私自身は28歳のときにFPとして起業して会社を立ち上げ、そして人を雇用しました。規模は小さいながらもさまざまな局面に遭遇してきました。その中で、「やっぱりこうしておけばよかった」ということは数え切れません。私だけの経験談ではやや頼りないのですが、幸い、クライアントにはたくさんの経営者がいます。そういった実際のケースを踏まえ、起業の心得についてお伝えします。

1  謙虚であること

事業がうまくいっているときはつい調子に乗ってしまいがちです。私も絶好調のとき、「なぜ、みんな独立しないのだろうか?好きなことをやれるチャンスなのに」と考えていたときがありましたが、天狗の鼻がへし折られるまでには、そう時間を要しませんでした。すぐに状況は悪化し、悩む日々が待っていたのです。

自分で事業をやるというのは大きなリスクも伴います。勘違いしないためにも常に謙虚であるべきです。私の周りの経営者でうまくいっている人は皆さん謙虚です。周りの人に支えられていることを常に意識してください。

2  経理、税金などを軽視しない

例えばパン屋さんの場合、「美味しいパンを作ることができれば絶対にうまくいく」というわけではありません。事業の“表”となる部分以外のことを“裏の業務”と表すと、この裏の業務が表の業務以上に重要となる場合があります。

税金の支払いは時間差が生じます。お金の流れをしっかり踏まえていないと、もうかっているときほど多くの税金を払わなければなりませんし、あっという間に資金繰りが厳しくなることもあり得ます。ついついパンを作るという表の業務に没頭しがちで、後から大変なことになるというケースは少なくありません。起業する前に一通り経理や税金の知識を確認しておいてください。自分では難しいと思うなら税理士さんにお願いするのも1つの手です。

3  従業員へのケアを忘れない

多くの経営者が従業員のことで頭を悩ませています。特に中小企業などの場合は経営者と従業員の距離感が近いため、従業員の声が経営者に直接届くのです。給与や労働環境面への不満を言われることもあるでしょう。「1つ1つ対応しきれない」といった態度でいると、あるとき、スタッフが大量退職ということも。一定規模を目指すのであれば、従業員あってこそ自分のビジネスが成立しているということを常に意識し、小さな悩みでもしっかり聞いてあげたいものです。

4  成果にはタイムラグがある

「いくら頑張ってもなかなか売り上げが伸びない」と嫌気がさすこともあるでしょう。ただ、そこはグッと我慢。頑張っていたことが次の年、場合によっては数年先に実を結ぶということも少なくありません。

目先の売り上げにこだわることも重要ですが、長期的に「いつか成果につながる」と強く信じて、根気強く取り組んでください。

そしてその逆で、サボったり手を抜いたりしたことも時間差でツケが回ってきます。特に起業当初は多少プライベートを犠牲にしてもビジネス最優先にしたいところです。常に状況が変わり、ライバルが増える中で、「絶対に生き残る」という強い思いで努力を継続してください。

5  「面倒くさい」をやめる

ついつい、日々の生活で「面倒くさい」と口ずさむことはありませんか?私も例に漏れず、頻繁に口にしていましたが、この「面倒くさい」をやめると意識が変わります。

起業すると、自分がやりたいことだけを行えばよいというものではありません。むしろ、それ以外のことの方が多いかもしれません。やりたくないこと、面倒くさいことばかりです。でも、小さな雑務1つ1つ、どれも大切です。その先には大きな仕事につながっていきます。「面倒くさいは事業の失敗につながる」と思い、口にしないようにしましょう。

6  マーケティングを疎かにしない

マーケティングについても一通り知識を持っていた方が有利です。椅子やテーブルの配置だけでも売り上げが変わるといわれています。看板の色、チラシの作り方なども大きく影響します。かくいう私は、マーケティングというと、何か小手先の技術のような気がして、「中身で勝負!」などと言いながら、マーケティングの本すら読んだことがありませんでした。その結果、集客やホームページ作りなど、さまざまなシーンで苦労をしました。

今振り返ると、起業前に勉強しておきたかった分野の1つです。マーケティング分野は数多くの論文も発表されており、学術としても体系立てて学ぶこともできます。決して小手先の技術ではなく、立派なビジネス成功要因の1つの柱です。1冊でもいいので、起業する前にマーケティングに関する本を読んでおくことをおすすめします。

7  失敗を恐れず、まずは行動

「失敗をしないために」というテーマの中で、「失敗を恐れない」というのはやや矛盾しますが、やはり起業家は失敗を恐れない行動力が必要だと思います。

事業全体の失敗は倒産を意味しますので、これは避けたいところです。ただし、新商品の開発や新たなプロジェクトなどは頭の中で描いているだけでは何も始まりません。せっかくアイデアがあるなら、ライバル会社に先を越されたくないですよね。

ユニクロで有名なファーストリテイリングを創業した柳井氏も「1勝9敗」と表現しているように、ビジネスには失敗がつきものです。大きな失敗(倒産)をしないためにも、どんどんトライすることが大切だと思います。行動したからこそ分かることもたくさんありますし、行動しながら修正することもできます。

失敗例から学ぶ起業~しっかりと周りの声を聞く~

計算する女性
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起業を考える上で、きっと多くの人は「自分のやりたいこと」であるとか、「このようなサービスが社会を良くする」といった使命感など、それぞれの思いがあると思いますが、やはり一番大切にしなければならないことは、「お客さんになってくれる人が何を求めているか」ということではないでしょうか。

ある起業家は「日本で唯一」、「店主こだわりの製法」などととにかく自身のこだわりを前面に出した商品・サービスを提供していましたが、そのビジネスは長続きしませんでした。価格、提供時間などどれも顧客層が求めているものではなかったのです。

例えば私たちが映画を観るとき、「3秒のシーンにこれだけの時間とお金を費やしました」と供給側の事情を知ったところで自分たちに関係のない話で、「面白い、感動できた、観てよかった」と思えるかどうかが重要ですよね。起業したての頃は鼻息も荒く、自分のこだわりを追求したくなりますが、冷静に周りの声をしっかりと聞くようにしてください。

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起業家・経営者に求められるのは総合力

起業して失敗しないための秘訣は「総合力」だと感じています。プロ野球選手は「走攻守そろった選手」と表現されますが、まさに起業家も「走攻守」そろっている人の方が有利です。

もちろん何か1つに秀でて、それで成功している人もいますが、やはり1つの技術や知識だけではなく、体力、行動力、コミュニケーション力、人脈など総合的に力を持っている人は強いです。例えば「IT系が苦手」、「人前で話すのが苦手」など、それぞれ弱点もあるでしょう。そしてこの弱点を克服できればいいのですが、克服できないものについては誰かにお願いすればいいのです。これも含めて「総合力」だと思います。

いろんな人に支えてもらい起業は成功に近づいていきます。ぜひ、ご自身の総合力を高め、大きな目標の1歩を踏み出してください。