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夫の残業代カットで月10万減ってピンチ!マンション手放さなきゃ?/20代専業主婦相談

FPに聞きたいお金のこと 世継 祐子

夫の残業代カットで月10万減ってピンチ!マンション手放さなきゃ?/20代専業主婦相談

FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計診断【うちの家計簿】。今回のお客さまは、マンションを購入したばかりで貯金が少ない中、月に10万あった夫の残業代がカットされてこれからに危機感を持っている20代専業主婦Oさんの家計簿です。
 

29歳専業主婦Oさんの相談

2カ月前から残業代がつかなくなり、夫の手取りが10万円近く少なくなってしまいました。今後、収入が増えるかどうかは会社の業績にもよるのでわかりません。私も働かなければと思っています。食費はできるだけ節約しています。赤字は貯蓄を切り崩してやってきましたがマンションを購入したことであまり貯蓄も持っていなかったのでもうすぐ底をつきそうです。マンションを手放さないといけないでしょうか。できることがあればやろうと思います。

29歳専業主婦Oさんの家計簿

月々の手取りが20万8000円。住宅関連費用(住宅ローン+修繕積立金等)が7万2000円で
手取りの約35%を占めています。現在の月々の赤字は2万1000円です。


 

残業手当について「基本給」と「諸手当」

10万円の残業代があったということは残業代が手取りの3分の1を占めていたことになります。30万8000円の手取りがあれば、住宅関連費用は23%で妥当な割合でしたが、残業代がなくなったことでローン支払いが家計の35%を占め、月々の家計が赤字になってしまいました。

給与は「基本給」と「諸手当」で成り立っています。基本給は給与の基本部分です。
諸手当は、基本給に上乗せされる手当のことで、役職手当、家族手当など「固定の手当」と、時間外手当、休日出勤手当など勤務状況によって「変動する手当」があります。残業手当もこの「変動する手当」に該当します。
基本の生活費のやりくりは、残業手当などを除いた固定給(基本給+固定の諸手当)を基本に考えましょう!
変動する手当をあてにして住宅ローンを組んでしまったことは返済計画に甘さがあったと思いますが、大切なのはこれからのこと。購入したマイホームを手放さなくていいようにまず家計の見直しをしましょう。

優先順位をたてて家計を見直す

家計のやりくりに悩む夫婦
【画像出典元】「iStock.com/mkitina4」

●水道光熱費

水道光熱費の2万円がもう少し抑えられないか検討してみましょう。お風呂で追い炊きをしなくて済むよう入浴する、食器を洗うときに低温のお湯で洗う、エアコンのフィルターをこまめに掃除する、無駄な電気をつけっぱなしにしていないか、電気の契約プランが適正か再度検討してみましょう。
安く使える電力会社の電気料金プランはないか、電気の契約を見直すことも大切です。
2万円の光熱費が1割でも削減できれば2000円の節約になります。

●通信費

通信費も2年ほど見直していないということでしたので、一度見直しをしてみましょう。
複数の会社の見積もりをとり現在加入のプランに不要な部分がないか、プラン内容も確認し無駄を省きましょう!1割安くすることができれば1,250円が浮いてきます。

●年金保険料

老後資金が不安になって年金保険にご夫婦で加入されたとのことですが、65歳まで支払いが続くプランになっています。このままの家計では65歳まで現在の保険料を払い込むことは難しく、65歳の老後を迎える前に住宅ローンの支払い、教育費が必要になるため年金準備の優先順位は現時点では高くありません。解約を検討しましょう。

水道光熱費、通信費の1割、年金保険料2万円を合わせると23,250円家計に余裕ができ、現在の赤字21,000円を解消することができます。

Oさん自身の収入増を検討しましょう

ビジネスウーマン
【画像出典元】「iStock.com/itakayuki」

マンションを手放すことを考える前に、Oさん自身で収入を得ることを検討しましょう。
核家族化が進んだことにより、今は専業主婦世帯に比べ、共働き家庭が増えています。2019年には共働き家庭は専業主婦家庭の2倍以上となりました。
共働きは特別なことではありません。夫婦で話し合って自分たちにあった働き方を見つけましょう。家計の安定の一助となります。無理のない範囲で収入を得ることから検討してみましょう。

専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2019年
 
資料出所 厚生労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」、 総務省「労働力調査特別調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」 
注1 「専業主婦世帯」は、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。 注2 「共働き世帯」は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。  
注3 2011年は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果。 
注4 2013年~2016年は、2015年国勢調査基準のベンチマーク人口に基づく時系列用接続数値

<アドバイスを受けたOさんの感想>
これまで基本給と手当を分けて考えていませんでした。すべて手取り収入と考えていて、住宅ローンも通ったのでローン返済を難しく考えていませんでした。
「なんとかなるかなぁ」と思ってたけど、10万円の残業代カットでパニックになってました。手当があるのを当たり前に思ってたのがよくなかったですね。まず赤字にならないように家計を見直すこと、そして私自身が働くことを検討します。

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29歳専業主婦Oさんの家計簿診断を終えて

Oさんは現在奨学金返済中ですが、奨学金返済が終われば1万2000円を貯蓄に回せます。今後は残業手当を特別なものとして貯蓄に回し、気持ちを切り替えていきましょう。
マンションの修繕積立金、管理費などは今後上がることを見込んでおく必要があります。
残業カットを支出見直しの機会ととらえ、基本給で生活できる家計を目指しましょう!