パートやアルバイトでも社会保険に入った方が得なワケは?メリットデメリットを確認 (2ページ目)
目次
【従業員数500人以下の事業所】で勤務する場合
・週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上であり、月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であれば社会保険に加入する必要があります。
【従業員数501人以上の事業所】の場合
・週の所定労働時間が20時間以上あること
・雇用期間が1年以上見込まれること
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・学生でないこと
事業所の規模によって同じように働いても、社会保険の加入対象になるか?ならないか?が変わってきます。
続いて年収の面から見てみましょう。「〇〇の壁」という言葉をよく耳にします。これは「夫の扶養から外れたらいけない」ということで主婦からよく聞かれる言葉です。
ちなみによく「扶養の範囲内で」といいますが、税金と社会保険では「扶養」の制度が異なります。そのため「税制上の壁」と「社会保険の壁」を分けて整理してみます。
A) 税制上の壁(表記額は総支給額の目安)
103万円の壁
所得税がかからず、所得控除を受けることができる上限です。収入が100万円以下になると住民税もかかりません。
150万円の壁
配偶者特別控除を満額受けられる金額の上限です。
201万円の壁
配偶者特別控除を受けられる上限です(配偶者特別控除の額は一律ではなく、配偶者の所得により異なります)。
103万円を超えると、超えた額に対して自分で所得税を納めることになります。こちらは増えた所得に対して所得税(5%~45%)、住民税(約10%)の納税義務が出てきますが、増えた所得に対して課税されるため、手取りが減るということはありません。ただし、配偶者の会社から出ている扶養手当が103万円を超えると支給されなくなるケースがあります。この点は要注意です。
B) 社会保険の壁
106万円の壁
パート・アルバイトであっても勤務先で社会保険に加入する(社員501人以上の会社、勤務期間や労働時間などの条件あり)=「給料の中から、厚生年金、健康保険を負担する」ことになります。
仮に毎月の給与が9万円、年収108万となった場合、健康保険と厚生年金を合わせた社会保険料は年間でおよそ18万円になります。つまり108万円から18万円が控除され、さらに所得税と住民税が課税されると手取りが90万円を下回る可能性が高くなります。
130万円の壁
扶養者の社会保険から外れ、自分で社会保険に加入することになります。
130万円を超えると健康保険・厚生年金・所得税・住民税が控除され、手取りがおおよそ95万円前後になります。そのため減少した手取りを補うには年収で170万円を超える程度まで働かないと難しくなります。
【5】パート・アルバイトが社会保険に加入するときに注意する点やデメリットは
パート・アルバイトとして社会保険に加入するときの注意点として、代表的なものが「夫の扶養から外れたくない」という点だと思います。
先ほどの試算でも大きな差が出ていましたが、主婦で夫の扶養に入っていれば健康保険料と年金保険料を支払わずに済むという点はやはり大きなポイントでしょう。
勤務先の規模にもよりますが501人以上の事業所に勤務する場合、年収が106万円以上となれば社会保険に加入することになります。会社と折半とはいえ社会保険料を支払うことになります。つまり手取りが減るということになるので「働いたら損した」という声もあります。
既に国民年金や国民健康保険を支払っている人はいいですが、誰かの扶養に入った状態で働いてきた方にとっては心理的に大きな負担感があるかもしれません。
まとめ
少子高齢化にともない、日本の社会保障制度も内容が少しずつ変化しています。社会保険の加入要件も以前と比較して下がってきており、今後はさらに多くの人が対象になると思われます。
最後に改めて社会保険加入のメリットとデメリットをまとめてみましょう。