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奨学金、返せないとどうなる?住宅ローンの返済とどっちを優先すべき?

かりる 白浜 仁子

奨学金、返せないとどうなる?住宅ローンの返済とどっちを優先すべき?

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学生の時に借りた奨学金を返しながら働く人は多いけれど、中にはさまざまな事情で返せない人も。奨学金を払えないとどういうリスクがあるのか、また救済措置にはどういったものがあるのか、他のローンにも影響してくる奨学金の返済について、FPが解説します。

奨学金が返せない人はどのくらいいるのか

借金返済
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日本学生支援機構(JASSO)の調べによると、平成29年度末時点で3カ月以上の延滞をしている人は、返還者426万人のうち15.7万人いるそうです。延滞者数のピークは平成21年の21.1万人なので徐々に減少しているものの、全体の約3.7%が返せていないということになります。(「奨学金事業への理解を深めていただくために 平成31年2月」より)

それぞれに返せない事情があるわけですが、例えば「大学や専門学校を卒業したものの収入が思ったより少なく返すのが苦しい」という人や、「親が返してくれるはずだったが状況が変わり、自分で返すことになった」、「見通しが甘く、返済能力以上に借りてしまった」などの理由があるようです。では、返済ができない場合はどうなるのでしょうか。まずは、奨学金の種類から順番に確認していきましょう。

奨学金の種類にはどんなものがある?

日本には複数の奨学金制度がありますが、その約9割が日本学生支援機構(JASSO)を通じたものとなっており、多くの人が同機構を利用しています。

この奨学金は、第1種(無利子)第2種(利子付)の2タイプあり、第1種は無利息のため収入基準や成績が2種に比べ厳しくなっています。貸与額は、第1種利用で自宅外通学の場合、月額2万円から最高6.4万円、第2種は最高12万円を利用できます。

その他には「入学時特別増額付与奨学金」といって、後払いですが、上記の奨学金に加え入学金などの一時的費用に対する奨学金もあります。また、2020年4月からは、住民税非課税世帯などを対象に、学ぶ意欲が旺盛な学生に向けた「給付奨学金」が始まりました。この給付奨学金を受けられる学生は、入学金や授業料の免除・減額を受けられるとしている学校もあるようです。

その他には、私立大学で独自に行っている貸与型・給付型の奨学金や、特待生制度で授業料の免除・減額がある学校、地方自治体で利用できる奨学金制度、新聞配達員として働くことで奨学金が受け取れる新聞奨学生制度などもあります。

また「あしなが育英会」「交通遺児育英会」では、保護者が傷病で死亡した、または障害を負っているという子供を支援してくれます。

今回は日本の奨学金の9割を占めている日本学生支援機構の奨学金の仕組みについて紹介していきます。

奨学金が払えないとどうなる?リスクは

まず奨学金の支払いが遅れると延滞金が課され、返済額が増えます。さらに3カ月以上滞納が続くと、個人信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録されてしまいます。そうなると、一定期間はクレジットカードの作成やローンの申し込みをしても審査をクリアできず、お金を借りることができなくなります。中には自己破産に至ることもあるでしょう。

マイホームのような大きな買い物は、ローンを利用するのが一般的ですが、ブラックリストに載っているとローンが組めず、マイホームを諦めるなど、人生設計を大きく変えざるを得ない事態になることもあるわけです。奨学金は借り入れという感覚が薄れがちですが、「借金」であることには変わりないので、それを分かったうえで付き合わなければなりません。

奨学金が返せない場合の救済措置は

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とはいえ、災害や傷病、経済困難、失業のような想定外のことが起こり、返還できなくなった場合は、救済措置があるので安心してください。

① 減額返還
② 返還期限猶予

違いを見ていきましょう。
①減額返還は、一定期間における月の返還額を2分の1、または、3分の1にしてくれるものです。ここで抑えておきたいのは返還を免除されたわけではないということです。つまり、奨学金総額はこれまでと変わらず先送りされるだけなので、月の返還を軽くしてもらった分、後ずれして返還期間が長くなることを理解しておきましょう。

次に、②返還期限猶予です。
これは、一定期間の返還を猶予してくれる、つまり、一時的にストップしてくれるものです。こちらも免除ではないため完済時期が先送りになります。

ただ、死亡、精神・身体の障害により労働能力を喪失または、労働能力に高度の制限があり返還ができなくなった場合は免除されます。

注意が必要なのは、これらの救済措置は、滞納する前に手続きをしなければならないことです。滞納してからでは救済措置が受けられないため、返済が苦しくなったら早めに相談することを覚えておきましょう。

住宅ローンの頭金と、奨学金の返済ではどちらを優先?

マイホームの購入を検討している人は、毎月の返済が奨学金と住宅ローンの2重負担になるのを避けるため、貯金で奨学金を完済するべきか、はたまた、その貯金を住宅の頭金にまわし住宅ローンの借り入れを少しでも抑えるべきか迷うこともあるでしょう。筆者もよく相談を受けます。

これは、返済総額という観点からいうなら、奨学金に充てるより住宅の頭金に充てる方が有利といえます。なぜなら奨学金は有利子だったとしても、住宅ローンの金利より低いのが一般的だからです。

ただ、悩ましいのは毎月の返済負担です。同時に2つの返済をすることに負担感があるのならば、先に奨学金を返してしまい、住宅ローンのみの返済にしたが良いという考え方も間違いではありません。メリットとしては毎月の貯蓄計画が立てやすくなり家計が安定します。

一方、奨学金の残額がまだ多くあり住宅ローンと同時に返していく必要がある人で、返済への不安を感じるという場合は、そもそも検討中の住宅価格が妥当か再考し、場合によっては見直すことを検討してみましょう。

奨学金の返済は、他の借り入れと同じ「借金」なので粛々と返していかねばなりませんが、奨学金があったからこそ学びたいことが学べ、学校を卒業できて今に繫がっているという自分を支えてくれた大切なものです。この先、明るく楽しく過ごしていくためにも奨学金はしっかり計画的に返していき、もしも返せない状況になったら早めに対処するようにしましょう。

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