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高い配当金利回りが魅力の「REIT」ってどんな投資か知ってる!?

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

高い配当金利回りが魅力の「REIT」ってどんな投資か知ってる!?

【画像出典元】「kwarkot/Shutterstock.com」

数万~数十万円と少額の資金で不動産投資でき、株式と同じように取引できる「REIT(不動産投資信託)」を知っていますか?新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産市場は停滞しているものの、今年になってREITに資金が向かい、好調なパフォーマンスになっています。

そして国内のREIT全体の値動きを表すのが「東証REIT指数」です。この記事ではREITの基本的な仕組みと、東証REIT指数の動向について解説します。

REITとは

REITとは、投資家から集めた資金で、商業施設やオフィスビル、マンションなど複数の不動産を購入し、主に賃貸収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。REITの仕組みは米国で生まれました。「Real Estate Investment Trust」の略でREITと呼んでいます。

そして、日本では頭に日本(JAPAN)の「J」をつけて、「J-REIT」と呼んでいるのです。通常、現物不動産に投資しようとすると、数千万円以上の多額の資金が必要になります。

しかしREITは、証券化されていて小口で購入できるので、数万~数十万円といった少額の資金で不動産投資できます。また、不動産の管理や運用は専門家が行ってくれるので、投資家は出資するだけでいいというメリットもあるのです。

REITの魅力

REITの魅力は、高い分配金利回りです。2021年4月時点のJ-REITの分配金利回りは3.46%。銀行窓口の定期預金利回りが0.002%程度なのに対し、はるかに高い利回りになっているのです。また、東証1部全体の株式の配当利回り1.92%も大きく上回っています。資産を保有することで継続的に得られる利益である「インカムゲイン」を重視した投資家向けの金融商品なのです。

東証REIT指数とは

J-REITは東京証券取引所に上場しているので、株式と同じように取引できるという特徴があります。そして、東京証券取引所に上場しているJ-REIT全銘柄を対象にした指数が「東証REIT」指数です。

時価総額加重平均型の指数で、2003年3月末の時価総額を1,000として指数化しています。国内REITの代表的な指数で、多くの機関投資家がベンチマーク(運用の指標)として採用しています。東証REIT指数は、2021年5月末時点で2,073.55 ポイントです。

コロナショック後の東証REIT指数の値動き

株式チャートを見る男性
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JーREITは分配金利回りが高い金融商品ですが、元本が保証されているわけではありません。また、J-REITは東京証券取引所に上場しているので、株式市場や国内外の経済の影響を受けます。

2020年3月のコロナショックでは、2月21日の高値2,255.72から3月19日の安値1,138.04と、ほぼ半値になる暴落となりました。同じ期間の日経平均株価の下落率は約32%なので、株式市場よりも大きな下落となったのです。

ただREITの価格が下がったことにより、2020年3月の分配金利回りは4.8%まで上昇。利回り重視の投資家によっては、買いのチャンスとなったのです。

日経平均株価と東証REIT指数を比較してみると

新型コロナウイルスの感染拡大は、不動産市況にも大きな影響を与えています。東京都心5区のオフィスビルの空室率は、2021年4月まで14カ月連続で上昇。平均賃料も9カ月連続で縮小しているのです。とくにホテルや商業施設といったセクターは、厳しい状況が続いています。

日経平均株価と東証REIT指数を比較してみると、日経平均株価は今年の2月に30,714.52円の高値をつけていて、コロナショック前の2020年2月の約24,000円を大きく上回っています。

一方の東証REIT指数は、今年になって節目の2,000ポイントを回復したものの、高値が2,114.72(6月3日現在)と、コロナショック前の2020年2月の高値2,255.72を下回ったままです。不動産市場が厳しい状態にあるので、株式市場に比べてREIT市場は出遅れているのです。

ただ、REITは高い利回りが魅力です。4月末時点における分配金利回りが3.46%というのは、株式の配当利回りと比べても高くなっています。

REIT市場は株式市場の影響を受けるので、値動きが大きくなる時期もあります。しかし、価格が下落したときは分配金利回りが上昇するので、長期保有前提で買いを入れる投資手法が適しているのです。

まとめ

J-REITは分配金利回りが高いので、インカムゲイン狙いの投資に適しています。ただ、東京証券取引所に上場しているので、J-REITの値動きが大きくなる時期もあり、注意が必要です。そして、J-REIT全体の動向を把握するには、「東証REIT指数」を見ると便利です。

東証REIT指数は2020年3月のコロナショック前の水準を回復していないので、株式市場に比べて出遅れています。

今後は、新型コロナワクチン普及による経済正常化期待によって、コロナショック前の2020年2月の高値2,255.72ポイントを回復できるかに注目です。