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失業手当をもらいながらパート・アルバイトでどこまで働ける?

ためる 白浜 仁子

失業手当をもらいながらパート・アルバイトでどこまで働ける?

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雇用保険に加入している人が仕事を辞めて次の就職先を決めるまでの間は、原則、失業手当が受け取れます。失業保険と言われることもありますが、正式名称は「雇用保険の基本手当」です。この失業手当は、次の就職先が決まるまでの生活の支えとして、とても助けになるものです。

ただ、失業手当だけでは不足する場合や、自己都合退職などで、2カ月(5年間で3回目の受給となる場合は3カ月)の給付制限があり、すぐに失業手当を受け取ることができない場合もあります。そんなときに、就職が決まるまでの収入源としてアルバイトを希望する人もいるでしょう。

気になるのは、そもそも失業手当を受給中にアルバイトができるかどうか、ではないでしょうか。基本的にアルバイトは可能です。ただし、一定の条件を満たさなければ、失業手当が減額や受給停止になることもあるので注意が必要です。

今回は、失業手当を受給しながらアルバイトをする場合の働き方や、減額・支給停止の要件についてみていきましょう。

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失業保険中のパートやアルバイトは可能、ただし受給資格は条件付き

職を探す人
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アルバイトでも雇用保険の加入対象となるような働き方をしていると、就職しているとみなされ失業手当は受け取れなくなります。アルバイトを始める場合には、必ず雇用契約書でどのような働き方なのかをしっかり確認しておく必要があります。その他にもアルバイトをしていると失業手当を受給できないケースがありますので順に確認していきましょう。

アルバイトができる期間とできない期間がある

最初に、失業して求職活動を行う場合に受け取れる失業手当の手続きの流れから確認していきます。

次に、アルバイトをしている場合の給付要件について見ていきます。
まず、「➀ハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みをする」場面です。
以下のような雇用形態でアルバイトをしている場合は、既に就職をしているとみなされ失業給付の対象者となることができません。

1. 雇用保険の被保険者となる働き方をしている(原則、週の労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みである)場合
2.契約期間が7日以上の雇用契約において、週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合は、その契約に基づいて就労が継続している期間

*これらの判断は、各ハローワークがそれぞれ行います。

つまり、上記に該当しなければ、アルバイトで収入を得ていても受給の手続きは進められるということになります。ただ、知っておきたいのは「➁受給資格の決定を受けてから7日間の待期期間がある」ということです。この間は、一切仕事をすることができません。

これは、その人が失業状態であることを確認するための期間なので、少しでも働いた場合は待期期間が延長され、その分給付開始が遅くなってしまいます。

そして7日間の待期期間後はアルバイトをしても良いということになります。ただ、働き方によっては、失業手当が減額、または支給停止となる場合もありますので、次の項目で失業手当の受給額に影響するアルバイトの仕方についてみていきましょう。

アルバイトをしたことで受給額が減額されるケースがある

失業給付が減額しないアルバイトでの働き方

まず、労働時間についてです。1日の労働時間が4時間以上なのかどうかがポイントになります。

例えば、1日だけのアルバイトにいき、4時間以上働いたとします。その場合は「就労または就職」扱いとなり、失業給付の対象外です。ですが、失業手当の受給日数が1日減るのではなく、1日分の受け取りが先送りされることになります。

受給日数は失業手当をもらう理由や勤続年数などによって異なりますが、仮に150日受け取れるという人なら、先送りされるだけなので150日分をしっかり受け取ることができます。ただ、失業手当の受給期間は、原則、離職日から1年と期限がありますので、その範囲に受給ができるようにしなければなりません。

もし、4時間未満の労働の場合は、「内職または手伝い」とみなされ、前述のように支給の対象外にはなりません。ただ、一定以上の収入を得た場合は、失業手当が「減額」または「支給なし」となる場合もあります。

では、どのような場合に減額や支給なしとなるのでしょうか。以下の計算式を見ていきましょう。


例として2の減額されるケースを試算してみます。

基本手当日額:4700円
アルバイト時間:1日4時間以内
収入:3900円
前職での賃金日額:6300円

A 4700円+(3900円-1312円)=7288円
B 6300円×0.8=5040円

AとBを比べるとA>Bとなり、Aが 2248円高いことが分かります。
ですので、基本手当は日額4700円から2248円減額され2452円が支給されることになります。

失業手当の認定期間は4週ごとなので、手当は1回当たり28日分を受け取ることになります。もし28日分を全て受け取れる場合は、

4700円×28日=13万1600円

となりますが、上記のケースで2日間アルバイトをしたとするなら、

4700円×(28日-2日)+(4700円-2248円)×2日=12万7104円

が支給額ということになります。


このように、アルバイトの仕方によって失業手当の支給額が減る場合があります。それを避けたいのなら、

・アルバイトは週20時間を超えないようにシフトを組む
・1日の労働時間を4時間未満とする
・「失業給付日額」と「(控除後の)アルバイト収入」の合計が、離職前の賃金日額の8割を超えないようにする

とすると良いでしょう。


または、1日4時間以上働いた場合でも、週20時間未満の働き方なら失業給付は先送りとなりますが受給自体は可能です。繰り返しになりますが、失業手当の受給期間は離職日から1年ですので、継続的に就労し先送りが続くと期限切れとなってしまいますので、その点は気を付けておきたいところです。

失業保険期間中のアルバイトは、場合によっては失業給付の「不正受給」となる

不正受給とは

不正受給とは、実際は受給の要件を満たしていないのに、正しく申請せず失業手当を受け取る行為のことをいいます。

これまで雇用保険に加入し保険料を支払ってきたからといって、失業手当は必ず受け取れるものではありません。あくまで次の就職先が見つかるまでの生活を安定させるためのセーフティネットですので、要件を満たさないのに受け取ると不正受給となってしまいます。


どんな場合に「不正受給」となるか

失業手当は、仕事を探している失業中の人に支給されるもので、就業の意欲の無い人には支給されません。

・失業手当の給付は4週間ごとに区切られ失業認定日が設けられる
4週間ごとに設定された失業認定日では、失業状態であることの確認や、これまで求職活動をしたかどうかをハローワークで報告する日です。もし、求職活動をしていないのにウソの報告をして受給すると不正受給になります。

・アルバイトをした場合もハローワークに報告が必要
就労の事実を報告せずに受給した場合も不正受給となります。就労とは、アルバイトやパートだけでなく、日雇い、研修期間、試用期間、内職も含まれます。ボランティアをした場合も有償・無償を問わず報告義務があります。

その他にも、フリーランスなどの自営業者として仕事の請負をした場合や、頼まれて知り合いの会社の役員になった場合、離職後、働く気がないのに失業給付の手続きを進めた場合なども不正受給となります。

余談ですが、筆者は数十年前、出産に伴い勤め先を退職した際、働きたいという意思はあったものの、退職後1年という受給期間内に仕事ができる環境が整わないため失業手当の延長申請をしました。その後、無事出産し生活が落ち着いたので改めて給付申請をしました。

退職後、働く気があっても働くための環境が整っていない場合は失業手当は申請できません。もし、働けない状況のまま申請をし受給した場合は、不正受給となってしまうのです。

例えば失業認定日にハローワークに出向く場合は、赤ちゃんを一緒に連れていくことはできません。両親や保育園などに子供を預け、働ける環境だということを示す必要があります。

不正受給の場合、どんな罰則があるか

罰則・罰金
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不正受給が発覚したら罰則が科されます。

失業手当の受給期間中でしたらすぐに支給停止となります。また、不正があった日にさかのぼって全ての期間が支給停止の対象となりますので、「返還命令」が下され全て返還しなければなりません。

さらに、不正に受給した額の2倍を納付する「納付命令」も下されます。返還命令分と合わせると、失業手当の3倍の金額となることから「3倍返し」といわれているようです。
もし、命令に応じない場合は、延滞金が掛かり、さらには差し押さえという強制がなされる場合があり、悪質な場合は刑法の詐欺罪として処分されます。

今回は、失業手当をもらいながらアルバイトができるか要件などを見てきました。簡単にまとめると

コロナ禍で失業手当の受給者が増えているようです。受給中、少しでも仕事をした方が良い場合は、給付の条件を確認しながら上手に活用されてください。

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失業保険中のアルバイトについてのQ&A

Q:正社員として就職が決まりました。失業手当の残りの日数分はどうなりますか?

A:失業手当は受け取れなくなりますが、支給残日数が1/3以上ある場合は、かわりに「再就職手当」を受け取ることができます。

Q:アルバイトですが、フルで働くことにしました。その場合、受け取っていない失業手当はどうなりますか?

A:アルバイトのように再就職手当の支給対象とならない形態で就業した場合、給付日数が3分の1以上、かつ、45日以上など一定の要件を満たすと「就業手当」が支給されます。