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10月の値上げ前に見直しを。台風に備える火災保険、補償範囲は?

そなえる 白浜 仁子

10月の値上げ前に見直しを。台風に備える火災保険、補償範囲は?

【画像出典元】「sogane/Shutterstock.com」

台風のシーズンが近づいています。自然災害が増える中、自宅が被害にあったら・・と想定して備えることは必要です。今回は、台風への備えとなる火災保険について補償対象やその内容について確認していきます。10月から火災保険が値上げされるため、気になる人は今のうちに見直しましょう。

10月に火災保険料が平均10.9%の値上げに

火災保険の保険料が10月から値上げされます。その理由は、みなさんも感じている通り、近年、台風やゲリラ豪雨などによる大規模な自然災害が増えているからです。保険会社の支払額は年々増加し2019年の台風被害に対する保険金支払額は約9億円にも上ります(日本損害保険協会調べ)。このような自然災害の影響で10月から平均10.9%も値上げされるのです。

契約期間についても、先の見通しが立たないことから最長10年の契約が廃止されて5年までとなります。同時に、長期一括払いの保険料割引率も見直されることに。全体としてこれまでより負担が大きくなります。

台風被害で適応される火災保険の補償種類3つ

台風が来た時に想定される被害は、風災、水災、落雷です。この3つについて火災保険での補償範囲を確認していきます。

風災補償

風災補償とは、台風や強風、突風、竜巻による被害を受けた時の補償です。これらが原因で雨漏りが起きた場合も対象となります。

水災補償

台風や豪雨によって起こる洪水は水災補償です。
ここでいう洪水とは、居住部分が床上浸水をしている、または、地盤から45㎝を超える浸水により建物が損害を被った場合をさします。中には、崖のそばに住んでいるという人もいるでしょう。土砂崩れや落石で被害にあった場合にも水災補償があると安心です。強風で屋根が損害した、または、窓ガラスが割れて雨風が入り家電が壊れた場合も水災補償となります。

落雷補償

落雷により、屋根が損傷を負った、また、分配器に落雷しテレビやパソコンが壊れた場合などに補償されます。

火災保険で補償できる対象物は

保険でリスクに備える
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火災保険が補償する対象は、大きく「建物」と「家財」の2つに分けられます。
「建物」とは住居だけでなく、住居に付随するものも対象です。具体的には、門や塀、車庫、倉庫の他、備え付けの電気やガス、冷暖房の設備、浴槽や調理台、ガス台などがあげられます。

なお、マンションの場合は、専有部分を建物と考え、廊下やバルコニーなどの共用部分は含まれないのが通常です。

また、「家財」は、家具、家電、日用品はもちろん、絵画、骨董、貴金属、自転車、125cc以下の原動機付き自転車なども対象となっています。

火災保険の補償対象にならない場合とは

損害を負った場合に受け取れる保険金は、契約時期によって大きく2つに分かれます。2018年11月10日以前に契約した火災保険は、フランチャイズ方式といい、20万円以上の損害を被った場合に損害額が全額補償されるようになっています。ですので、15万円の損害を負った場合には保険金は支払われません。

一方、2018年11月11日以降の契約は、免責金額を差し引いた損害額が補償対象です。仮に免責5万円で契約し、15万円の損害を被った場合は10万円の保険金が支払われることになります。免責額は保険会社によっていくつか選択できるようになっており、免責ゼロにもできます。

なお、そもそもの損害保険の目的は、不足かつ突発的に起こった損害の補償です。ですので、経年劣化が原因の損害は対象外、故意や重大な過失、法令違反によって生じた損害も補償されません。

台風被害で下りる保険金はいくらくらい?

家を守る
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では実際に被害を受けた時、どのくらいの保険金が受け取れるのでしょうか。

例1)台風による強風で、アンテナが倒れてベランダのひさしに穴があいた。
→ 損害額イメージ10万円程度(アンテナの取り付け、ひさし張り替え工事として)

例2)台風による強風で、1階の屋根に付けていた雨どいが破損。
→ 損害額イメージ20万円程度(足場を組み雨どいの交換工事として)

保険金は、免責等を除いた損害額が支払われますが、費用保険という諸経費などをカバーする特約を契約していればプラスαで保険金が受け取れることもあります。

火災保険の選び方のポイントは?

持ち家の場合は建物と家財の両方の補償をしてくれる保険に加入すると安心です。賃貸の場合、建物はオーナーが管理し備えるため、家財のみに備えることになります。

また、持ち家でも賃貸でも、マンションの高層階の場合は、浸水や土砂崩れによる被害は考えにくいため、水災補償を付けないというのも一案です。保険料がその分安くなります。

その他には、建物や家財の思わぬ汚損破損など突発的に生じた損害、盗難や漏水などによる水濡れの補償、他人にケガを負わせたりモノを壊してしまったりした場合の個人賠償に関する補償などもあります。今回は台風という観点からポイントを紹介していますが、契約時は、それらも含め検討しましょう。

火災保険に加入する時は、こういった自然災害についてハザードマップなどを確認し、被災予測を立て必要な補償を検討しておくと安心です。