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子供の教育費、将来留学させるなら外貨建てで貯蓄すべき?/FP相談

FPにききたいお金のこと 権藤 知弘

子供の教育費、将来留学させるなら外貨建てで貯蓄すべき?/FP相談

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お子さんの教育資金をどうするかはどのご家庭でも悩み事の一つです。今回のご相談はお子さんが留学した時のことを考えておられる30代女性の相談です。

30代女性からの相談内容

共働き夫婦と0歳の子供の3人家族です。子供が小さいうちからできるだけ教育費用を貯めておこうと考えています。また、子供の希望にもよりますが、できれば将来は海外留学を経験させたいと思っています。その場合の留学費用を考えると、今のうちから外貨建てで貯蓄しておくべきでしょうか?今は円安なので、円で貯蓄し、タイミングを見て外貨に換えるべきか迷っています。また、外貨で教育費用を貯める場合のメリットやデメリットがあれば教えてください。

留学費用に備えて外貨建て貯蓄はアリかナシか

将来的に留学を経験させてあげたいなら、外貨建ての貯蓄を活用するのは有効な手段だと思います。ただし、留学費用だけではなく、お子さんの教育費全体がいくら必要なのかをまず考えましょう。

小学校・中学校・高校を公立、大学を私立文系という進路だと約1000万円の教育費が必要と言われます。中学から私立に進学すれば、さらに追加で500万円程度が必要でしょう。

また、相談者さんがどのタイミングでお子さんに留学を経験させてあげたいかにもよって、留学資金をいつまでに準備するかが変わってきます。「大学の時にと考えていたら高校生で留学することになった」など計画が急に変わることもあるでしょう。このようなことを考えると基本は円建てで準備し、プラスアルファの部分で外貨を使って準備することが望ましいと思います。進路やタイミングが流動的であれば、教育資金にも一定の流動性が必要です。

外貨で貯める方法には何がある?

外貨で貯める
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今回の質問にある外貨の準備ですが、どのような方法で準備するのが良いのでしょうか?個人でも使いやすい候補を挙げてみましょう。

外貨預金(普通・定期)

銀行に外貨専用の口座を開設し、日本円を外貨に両替して預金します。日本国内の銀行で取り扱い可能です。

外貨預金の最大のメリットは金利です。日本円の金利は極めて低く、注目を集めているのが外貨預金です。アメリカドルやオーストラリアドルで運用される方が多いですが、他にもユーロやポンドなど世界各国の通貨が用意されています。また預け入れ方式も普通預金と定期預金に分かれており、金利は定期預金の方が有利です。ただし定期預金は原則として途中解約ができません。

外貨建て投資信託

証券会社を通じて外貨建ての投資信託を購入する方法です。海外株式や海外債券などに投資をします。外貨建て投資信託も国内の投資信託と同様、リスクが高いものや、比較的リスクが低いものなど、商品の種類は様々です。

外貨建て保険

養老保険や終身保険などの保険料を「外貨で支払い、外貨で運用していく」保険です。解約返戻金や満期保険金も外貨で受け取ります。保険を解約して受け取る解約返戻金や満期保険金などの外貨ベースでの上昇率は、日本円建ての保険の上昇率より有利です。

外貨で教育費用を貯めるメリット・デメリット

メリット・デメリット
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外貨での運用方法の例をいくつか挙げましたが、外貨で運用するメリットとデメリットには何があるでしょうか。

メリット

1.円に比べて金利が高い通貨を選べる
2.引き出すタイミングで円安になると為替差益が得られる
3.運用した外貨のまま使える

デメリット

1.円と海外通貨との為替手数料が必要になる
2.円高になると為替差損が発生する
3.ペイオフ制度の対象外で金融機関が破綻した場合の保障がない

お金を運用する上でどの方法にもメリットとデメリットがあります。そのため自分にとってどの方法が良いかを考えてみましょう。外貨で資金を運用する上で最大のテーマは「為替レートの変動」です。将来の為替レートがどのように変動するかは誰も分かりません。

円で貯蓄しタイミングを見て外貨に換えるべきか?

筆者の個人的な見解としては、教育資金全体では円建てベースで準備し、資金の一部を外貨で準備するのが良いと考えます。その上でタイミングを見て外貨に換えても良いと思いますが、外貨に替えるタイミングを図るのはプロでも難しいものです。そのため以下のような考え方はどうでしょうか?

毎月、同じ金融商品を一定金額で積み立てる投資方法をドルコスト平均法と言い、長期的に投資で金融資産を増やしたい人に向いています。この投資方法であれば相場に一喜一憂せずにコツコツと外貨を増やしていくことができます。また年に1回、資金の割合を見直すことをリバランスと言い、リバランスをすることで、資金を一定の割合で保つことができます。また今回は例として日本円と外貨の割合を4対1にしていますが、ご家庭によっては3対1ぐらいになっても良いでしょう。

まとめ

外貨の準備は、一度にまとめてではなく、時間を分散し、為替のリスクを分散させることが重要です。振り返ってみると、2011年10月に1ドル=75円を記録した為替レートは、2022年9月に1ドル=144円になっています。今後の円とドルの為替レートがどのように変動するかは誰にも分かりませんし、0歳のお子さんの留学が仮に15~20年先とすればなおさらでしょう。

もし外貨建てで準備するとしても、タイミングを分散させ、為替の変動の影響を少しでも緩やかにしておく方が良いでしょう。また留学費用も含め、お子さんの教育資金全体のボリュームを増やすことを重視することが大事だと思います。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。