卯年の株式相場は「跳ねる」!?2023年のマーケット注目ポイントは
監修・ライター
株式市場には、こんな格言があります。
「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり 、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)跳ねる」
2023年は「卯年」です。そこで今回は、過去の卯年に株式市場や為替市場がどのような動きをしたのかについて解説します。
卯年の株式市場は上昇基調
2023年は卯年で、相場格言は「跳ねる」です。では実際の騰落率はどうだったのでしょうか?戦後から卯年は6回あり、各年の日経平均株価の騰落率は、以下の通りです。
卯年の日経平均株価は、平均16.8%上昇しています。また、1951年の朝鮮戦争の特需景気、1987年のバブル景気、1999年のITバブルなど、景気拡大期に重なることも多くなっています。
ただ、1963年と2011年は下落しており、必ず上昇するわけではないようです。
卯年は米国大統領選挙の前年
卯年が上昇しやすいのは、米国の大統領選の影響もあります。卯年は4年に1度の米大統領選の前年にあたり、米国株は上昇する確率が高いといわれています。現職の大統領が再選を意識して景気対策を打ち出すことが理由の一つです。そして、米国株が上昇すると日本株も上がる可能性が高まるのです。
戦後の卯年のNYダウ騰落率は以下の通りで、平均 16.6%上昇しています。
米ドル円の動向
最後に卯年の米ドル円の動きについて見てみましょう。変動相場制に移行した1973年以降の米ドル円相場を見てみる と、卯年は円高・ドル安になる傾向にあります。平均で約9.2%円高・ドル安が進んでおり、2011年には75.565円と、戦後最安値をつけているのです。
2022年は10月に150円を超える水準まで円安・ドル高が進んだものの、過去の経験則では卯年は円高・ドル安になる可能性が高いのです。1998年に147.60円まで円安・ドル高が進んだときも、卯年の1999年は10%近く円高・ドル安が進みました。
ただ、こうしたアノマリ-(過去の経験則)は参考になりますが、実際に投資するときには各国の経済環境や企業業績をしっかり見極めることが大切です。
2023年の為替相場では日銀総裁の人事に注目
2023年の為替相場に影響を与えそうなのが、日銀総裁の人事です。現在の黒田総裁の任期 は2023年4月8日まで。前回の2013年3月に黒田総裁が就任したときは、当時の安倍総理大臣が自民党幹事長に総裁人事を伝えたのが2月25日。就任の3週間以上前には人事案が決まっていたことになります。
そして、新体制で臨む初の日銀金融政策決定会合は、2023年4月27、28日となる見込みです。10年前の2013年4月の黒田総裁就任直後の決定会合では、2年程度で年率2%の物価安定目標を達成するとの宣言の下、大規模な量的・質的金融緩和が導入されました。
現在は消費者物価が3%台に上昇し、金融緩和の継続を続けるかどうかが注目されています。岸田首相は緩和継続が適当だとする日銀の金融政策を支持しているため、すぐに方針が変わるとは考えにくいかもしれませんが、2023年度中に方針転換があるかどうかに注目されます。日本でも金融緩和から引き締め方向に変われば、円高圧力が強まる可能性があるので注意が必要です。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。