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70代の母に頼まれた資産管理。老後の資産運用はどんな投資先がいい?

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

70代の母に頼まれた資産管理。老後の資産運用はどんな投資先がいい?

【画像出典元】「stock.adobe.com/Konstantin Yuganov」

「FPに聞きたいお金のこと」、今回は母親からこれまで貯めた資産の運用を頼まれたという30代女性からのご相談です。高齢者となった家族の資産管理を任される人は少なくありません。運用方針などおさえておきたいことを整理しました。

30代女性の相談内容

73歳の母親から、「これまで貯めた資産を、老後の資金として先細らないように運用してほしい」と頼まれ、一部米ドル社債を始めました。現在目立った疾患などはなく健康な方で、少なくとも15年は元気でいてくれると思います。投資経験や知識もない母親が、苦しい家計の中から少しでも利率が良い銀行の定期などで少しずつ増やした資産なので、良い運用方法を知りたいです。円建て以外のものや、インデックスファンドなどは適切でしょうか。

2つの”GOAL”を意識する

お母様の今後のことを思って娘さんが資産運用について考える。とても素敵ですね。70代以降は「大きなリスクを取らず安定運用」がセオリーですが、人生100年時代、その考え方にも少しずつ変化が生じています。様々な観点から運用方法を検討していきましょう。

「GOAL(ゴール)」には目標という意味があります。成し遂げたいこと、今までやったことがなくて1度は経験してみたいこと。あの国に行きたい、あの人に会いたい、あのお店で食事をしたい…など、考えるだけでワクワクしますよね。そういった目標をお母様と話すことで、お金の管理全般がどうあるべきなのか、より具体的になると思います。

そしてもう1つのGOALは人生のゴールについてです。マラソンのゴールのように私たちは最後にたどり着く場所としてゴールという表現をよく使います。まだまだお元気なので「最期」の話とは向き合いたくない気持ちも分かりますが、葬儀のことや相続のことをお母様がどのように考えているのか。こういった話を一緒にすることで、大切な資産をどのように運用すべきか方向性が定まってくると思います。

70代以降は「大きなリスクを取らずない安定運用」が前提

お母様の投資経験や知識がないということなので、複雑で高度な運用商品は避け、親子どちらも理解できるものを対象にしてください。「お母様が分からなくても娘さんが理解できる」のもできれば避けたいところです。投資商品とは長い付き合いになります。「そんなはずじゃなかった」と将来、親子間でズレが生じてはいけませんし、また売却をした際の税務なども絡んできます。お互いが理解できる範囲で金融商品を選ぶということがポイントとなります。

老後の生活資金づくり、円建て以外の投資もアリ

投資する通貨を選ぶ
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「老後の資金として先細らないよう運用してほしい」というのがお母様の要望でもあります。一部米ドル建ての社債を購入されたようですが、おそらく資産の大半は日本円ベースだと思います。「先細りしない運用」の解釈次第ではありますが、他国に比べて金利の低い円預金等を中心とした運用では、今後も大きく増える期待はできず、結果として「先細り」となる可能性があります。為替リスクやその発行体の信用リスクを確認した上で、ある程度円建て以外の債券やファンドなどに投資をすることは選択肢の1つだと思います。

インデックスファンドは良い選択か?

もう1つ候補に挙がっているインデックスファンドですが、これは株価指数に連動して運用するファンドを指します。アクティブファンドと比較されることが多いため、「コストが低く安全性が高い」というイメージがあって候補にしているのではないでしょうか?あくまで指数に連動させる運用スタイルのため、日本株や米株のインデックスファンドであればそれなりのリスクが伴います。「インデックス=リスクが低い」わけではありません。質問から察する限りでは、慎重に検討した方が良さそうです。

投資信託なら「バランスファンド」も選択肢に

ファンド(投資信託)を検討されているのであれば、バランスファンドも候補の1つです。バランスファンドは、文字通りバランス良く投資をしてくれるファンドです。国内外の株や債券など、投資先を分散させています。一般的に、株式より債券の方がリスクが低いため、安全性を重視しながらも増やしたいという場合、株式30:債券70といった割合のバランスファンドを候補にしてください。

「増やす運用」の場合10年を目安に

過度に不安になって安全性ばかり追求してしまうと、外貨建ての資産やファンドへ投資することに躊躇してしまいます。「増やす」ことに目を向ける場合は、ある程度目先の下落リスクは許容しなければなりません。今後15年を意識されているようなので、リスクを取って増やしたい場合、早い段階での成果は期待せず、「当初10年間は運用し、その後5年で取り崩す」といった時間の余裕を持つことが大切です。

一時払い系の保険も選択肢に

現在、一定の死亡保障や介護保障などを得ながら将来を見据えて運用するという保険商品も多く販売されています。保険料の一部が保障に回っているため投資信託と比べると「増やす」という点ではやや見劣りしますが、「保険としての意味合いもある」とすることで比較的付き合いやすく感じるかもしれません。高齢者でも条件を満たせば加入できるものもありますので、一度調べてみてください。

親子で資産運用を考えることはとても大切

笑顔の高齢女性と若い女性
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いくつかの選択肢を示してきましたが、結果としてリスクを避け、現状の資産管理を継続するということでも良いと思います。

ただ、親子で「どのようにお金を運用するか」に向き合うのは、それぞれの価値観や今後の生き方を確認する時間になりそうですね。これがとても大切だと思います。
いわゆる団塊の世代が70代半ばに差し掛かり、今回のようなケースに該当する親子は多いと思います。ぜひ積極的にコミュニケーションを取ってください。金融商品を比較検討するだけではなく、しっかりと親子で将来のゴールを見据える機会になるといいですね。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。