えっ、退去費用必要なの⁉引っ越し時に注意したい点は

【画像出典元】「Ground Picture-shutterstock.com
目次
引越しの季節が近づいてきました。賃貸物件を退去する際に気になるのが原状回復費などの退去費用です。どんな場合に退去費用がかかり、どのくらいの負担になるのでしょうか。
退去費用とは

賃貸物件を退去する際に必要な原状回復や修繕にかかる費用を「退去費用」と言います。入居者は退去時に部屋の「原状回復義務」があり、退去費用の一部を負担しなければならない場合があります。
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復について「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
つまり、借主の過失や故意による物件の損傷の修繕・補償に関する費用が退去費用として必要になるということになります。
入居者(借主)が退去費用を負担するケース

入居者には「原状回復義務」があるとはいえ、原状回復に関する費用のすべてを入居者が負担するわけではありません。入居者が退去費用を負担するケースとして以下のようなものがあります。
- 引っ越しのときやモノを落としたときにできた傷
- ペットがつけた傷、たばこの臭い
- 結露の放置によるカビやシミ
- キッチンやトイレなどの掃除を怠ったことによるひどい汚れ
大家さん(貸主)が原状回復費を負担するケース

日常生活をする上でできるキズや汚れ、経年変化による劣化の補修については、大家さんの費用負担になります。主なものには以下のようなものがあります。
- 鍵の取り換え
- ハウスクリーニング
- エアコンの内部洗浄
- フローリングのワックスかけ
- 日焼けで変色したクロスの貼り替え
- 家具の設置によるカーペットや畳のへこみ補修
ただし、汚れや破損の度合いによっては、一部が入居者負担になる場合があります。
入居者の退去費用の相場は?

入居者が負担する退去費用は、実際にどのくらいかかっているのでしょうか。株式会社プラスワンが行った「退去費用に関するアンケート調査」によれば、退去費用の平均は6万3283円でした。部屋の間取りが広い場合や、居住年数が長いほど高い傾向にあるようです。
敷金は返ってくるの?

入居時に敷金を支払っていれば、敷金から退去費用が差し引かれます。請求される退去費用が敷金より安ければその分が返金されますが、破損や汚れがひどい場合は、敷金だけで補填できず追加請求されることもあります。
退去費用が高額になりやすいケース

では、退去費用が高額になりやすいのはどんなケースなのでしょうか。想定されるケースとして多いのは「キズ」「汚れ」がひどい場合と、「におい」がついている場合です。
- 故意や不注意でできた床や壁のキズが多い
- 掃除をほとんどしていない
- ペットを飼っていた
- タバコを吸っていた
高額の退去費用を請求されないコツ

高額の退去費用を請求されないためには、いくつかのコツがあります。入居時、また日頃からポイントを抑えておくことも重要です。
コツ①:入居時に部屋の状態を確認しておく
キズや汚れが入居前からついていたことを証明できれば、その部分に関する費用を支払う必要はなくなります。入居時に部屋の状態を確認し、写真を撮っておきましょう。管理会社にも共有しておくとより安心です。
コツ②:入居者負担分と貸主負担分の範囲を確認しておく
退去時に入居者が負担すべき項目と貸主が負担すべき項目の範囲をあらかじめ確認しておくと、毎日の暮らしの中でこまめにメンテナンスでき、最終的な費用負担を軽減できる可能性があります。
例えば、ポスターを貼ったことでできたピンの穴や家具を設置してできた床のへこみ、エアコン設置に伴う穴や設置跡の回復は、貸主が負担すべき項目で入居者が負担する必要はありません。
ですが、雨の吹き込みを放置したことで発生した床の色落ちや、日常的な手入れを怠ったことによる水回りの水垢やカビへの対応は入居者負担になります。いずれも借りている物件であることを意識して手入れをしておけば、高額な退去費用請求は避けられます。
コツ③:ガイドラインを確認しながら管理会社に交渉する
万が一高額の退去費用を請求された場合でも、すべてを支払わなければならないわけではありません。退去費用の請求時には明細が届くので、その内容を確認し「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、支払う必要のない費用が含まれていないか交渉してみましょう。
退去費用の相場は思ったより高額かもしれません。しかし、日々のメンテナンスや請求時の交渉によっては、費用を抑えられる場合もあります。しっかり対策して、退去費用を抑えましょう。