金利上昇時は「個人向け国債」の魅力がアップ?そのメリットは
監修・ライター
日本の金利が上昇しています。長期金利の代表である10年物国債の新発債の利回りは、1月に0.5%を突破し、約7年ぶりの水準まで上昇しました。日銀(日本銀行)は、2022年12月に長期金利の変動幅の許容値をプラスマイナス0.25%程度から0.5%程度に「倍増」しましたが、10年物国債にはさらなる引き上げを見越した上昇圧力がかかっているのです。
そんな金利上昇時の資産運用の第一歩としておすすめなのが、「個人向け国債」です。この記事では、個人向け国債の仕組みとメリットについて解説します。
国債とは
国債(日本国債)とは政府が発行する債券のことで、政府が投資家からお金を借りることができる有価証券の一種です。政府は、インフラ整備や社会保障など、様々な公共支出を行う際、税収が足りない場合に国債を発行して財源を確保します。
国債などの債券は、地方自治体が発行する債券を地方債、企業が発行する債券を社債と呼ぶなど、発行体によって異なります。国債は、投資家が投資した資金が国の経費に充てられるため、一般に国の借金の代表と考えられているのです。
国債には、満期が1年以内の「短期国債」から10年以内の「長期国債」、さらには15年~40年の「超長期国債」まで様々な種類があり、日々発行されています。
中でも10年物国債は長期金利の基準になっていて、金融機関の貸出金利や長期の住宅ローン金利にも影響を与えます。
個人向け国債とは
金利が上昇しているときの資産運用はどのようにすればいいのでしょうか。投資というと個別銘柄への投資を考えがちですが、ハイリスク・ハイリターンの株式投資に飛びつかずとも、債券投資という選択肢もあります。
債券は、満期日と金利があらかじめ決まっており、国や企業などの発行体が倒産しない限り、満期まで保有していれば元本と利息の支払いが保証されます。株式に比べ、債券はリスクが低く、初心者向きといえるでしょう。
債券の中でも、初心者が購入しやすいのが「個人向け国債」です。債券投資では、通常、100万円といったまとまった金額が必要ですが、個人向け国債は1万円から購入可能です。また、一定期間が経過すれば、国が請求に応じて買い取る「中途換金制度」もあります。
個人向け国債の主な特徴は、以下の5つです。
1.元本割れなし(発行から1年経過すれば換金可能)
2.1万円から購入できる
3.中途換金できる
4.年率0.05%の最低金利保証
5.毎月発行(年12回)
個人向け国債の種類
個人向け国債には、以下の3つの種類があります。
- 固定金利型3年満期
満期まで利率が変わらないので、発行した時点で投資成果を知ることができます。
- 固定金利型5年満期
満期まで利率が変わらないので、発行した時点で投資成果を知ることができます。
- 変動金利型10年満期
実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わるので、受け取れる利子が増える可能性もあります。金利が上昇すれば、それに応じて利息収入も自動的に増加するからです。また、市場金利が低下した場合でも、最低金利0.05%が保証されており、これを下回ることはないというメリットがあります。
個人向け国債の金利
財務省は2023年1月6日、 2月に発行する個人向け10年変動金利付国債の金利を、1月発行分の金利(0.17%)の約2倍、2015年8月以来の高水準となる0.33%に設定すると発表しました。
この水準で100万円買うと、半年後にもらえる利子は1650円になります。税金が20.315%引かれて手取りで1315円になりますが、1年間では2630円です。
普通預金の金利は0.001%で、100万円預けても手取りは8円弱にしかならないので、大きな違いとなります。
また、金融機関によっては、キャンペーンでキャッシュバックを行っているところもあります。そうなると、実際の利回りはもっと上がるのです。これから投資を始めようと考えている人は、安全性の高い個人向け国債から始めてみてはいかがでしょうか。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。