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おひとりさまの老後は持ち家?賃貸?メリット・デメリットを解説

そなえる 白浜 仁子

おひとりさまの老後は持ち家?賃貸?メリット・デメリットを解説

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結婚の予定はなく、このまま独身で過ごすというおひとりさまの中には、今後も賃貸で家賃を払い続けるのか?いっそのこと家を買ってしまおうか?と迷う人もいるでしょう。今回は、住居の購入と賃貸について、それぞれのメリット・デメリット、どのように選択すればよいのかをアドバイスします。

おひとりさまの現状

内閣府の「令和4年度 少子化社会対策白書」によると、未婚率の推移は、2010年頃から横ばいの年齢層があるものの、長期的には1980年頃から右肩上がりであることが分かります。直近の2020年時点では、25~29歳の男性で72.9%、女性で62.4%と未婚率が高く晩婚化が進んでいることが読み取れます。

年齢が上がると未婚率は下がりますが、それでも30~34歳では男性47.4%、女性35.2%と男性の2人に1人、女性の3人に1人が未婚という時代です。生き方が多様化する中、昔のように結婚するのが当たり前というのは古い価値観であるといえます。

ここ数年は、コロナ禍で出会いの機会が減っていることを考えると、さらに未婚率が高くなっているかもしれません。結婚後に家の購入を検討するというケースが多いですが、おひとりさまも徐々に持ち家という選択をする人が増えており、筆者にもそのような相談が寄せられています。

おひとりさまが家を買うメリット・デメリット

メリット・デメリット
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おひとりさまが家を買うメリットは何でしょうか。

家を買うメリットといえば、まずは自分の城を持つことができることではないでしょうか。おひとりさまのご相談は、歳を取った時に部屋を借りるのが難しくなるのではという心配や、先々、親を見送った後に気兼ねなく頼れる身内がおらず、大病や、歳を取って介護が必要になったときにどうなるのだろう、という不安が大半です。家を持つことによって、まずは根を張って生活する終の棲家ができるという安心感を持つことができます。

また、賃貸と違って持ち家の場合、住宅ローンの完済後、居住費の負担が減るのもメリットです。
固定資産税や火災保険、また、マンションの場合は管理費や修繕積立金の支払いが続きますが、一般に、家賃を払い続けるよりも負担を抑えられます。

おひとりさまが受け取る公的年金の目安は、会社勤めの場合で国民年金と厚生年金を合わせて月15万円程度、フリーランスなどの自営業者が受け取る国民年金は月6.5万円。居住費が抑えられることによって、老後の貯蓄の取り崩しペースが緩やかになり、長生きリスクに備えられます。

また、自分のお城なので、自由にアレンジできるという魅力もあるでしょう。賃貸では、釘などで壁に穴をあけることもはばかられますが、持ち家は、棚を取り付ける、壁を取り払って部屋を広く使うなど好きにリフォームできます。歳を取って足元が不安定になったらバリアフリーにして生活しやすいようにできるのも安心です。

もしかしたら、高齢になりひとりで生活できなくなると、施設への入所を検討するかもしれません。不動産も資産ですので、売却によって入居一時金や、施設の月額利用料に充てることができるかもしれません。このように持ち家があるということは、生活の幅が拡がると考えることができます。

では、デメリットは何でしょうか。

最初に挙げられるのは、大きな借金をするということです。住宅ローンの返済は20年、30年と長期となるのが通常です。その間、会社が倒産して職を失ってしまったり、病気で働けなくなったりした場合に返済が滞るかもしれません。

また、簡単に引っ越せないということも持ち家のデメリットです。転勤の可能性がある場合は、最初からその点は慎重に検討すると思いますが、転勤のない会社に勤めていても、職場環境が変わったり、働き方に対する考え方に変化が生じたりして、転職を希望することがあるかもしれません。そうなると「今の家に住み続けながら通える職場」と選択肢が限られてしまいます。

仮に引っ越しをするなら、住宅ローンと家賃の2重の負担となります。対策として、例えば家を賃貸に出し、そこから得られる家賃収入でローンを返済するということも考えられます。しかし、借り手がすぐに見つかれば良いですが、需要が少ないエリアの場合は不安が残ります。また、ローンの返済額より貸し出す家賃が安い場合は手出しが必要なので、そのリスクも考えておきたいところです。

もうひとつの選択肢となる「自宅の売却」では、売却額がローン残高以下となった場合に不足分を預貯金から出して完済する必要があることもデメリットとして挙げられます。近年、都心部を中心に住宅価格が高騰していますが、先々の不動産市況を予想することは難しいでしょう。売却することになった場合のリスクとして踏まえておきたいところです。

またおひとりさまが家を買う際、結婚しないことを前提としているケースが大半と思いますが、人生いろいろです。ずっとシングルでいるつもりでも急に結婚することになる場合もあります。

実際に筆者のクライアントも、急に結婚が決まり、購入したマンションは2人で生活をするには少し狭いことや、パートナーの通勤にも不便な場所だったため、引っ越しをしたというケースがありました。状況が変化する時に持ち家があることで身動きがとり難いことがあるかもしれません。

おひとりさまが賃貸に住み続けるメリット・デメリット

メリット・デメリット
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​次に、賃貸に住む場合のメリット・デメリットを見て行きましょう。

賃貸の魅力は、環境や考えの変化に合わせて自由に何度でも生活拠点を変えることができる点です。

転勤がある会社に勤める場合はもちろん、転職をすることになった場合も職探しの選択エリアが拡がります。また、仮に体調不良であまり働けなくなった場合は、家賃が今より安いところへ引っ越すことも可能です。このように賃貸に住めば生活の場や住居費を自分で臨機応変にコントロールすることができるのが大きなメリットです。

また、当然に住宅ローンという大きな借り入れをしないため、延滞して破綻するリスクはありません。加えて賃貸は、古くなった時の修理費用やリフォーム代は家主負担ですので急にまとまった資金が必要になることもないでしょう。

最後に、豪雨による浸水、地震による建物の倒壊が起こっても賃貸物件の借主には復旧の義務はありません。自然災害が増えている今、もし被災したとしても、住宅ローンの返済を心配する必要もなく、家主さんには申し訳ないですがその家を後に次の引っ越し先を考えれば良いということになります。

一方、賃貸の一番のデメリットは、住み続ける間ずっと家賃を支払わなければならない点です。特に年金生活者になると、年金に占める家賃の割合は大きくなりますので、家賃分を考慮して現役時代に貯蓄をしておくことが必要となります。また、歳を取るとだんだん部屋が借りにくくなるという心配もでてくるでしょう。

賃貸契約の保証人をお願いできる人がいないことが心配という声もあります。ただ、費用はかかりますが、保証会社をつけることも可能ですし、今後さらに少子高齢化が進み人口が減っていくことを考えると、高齢者が今より借りやすい環境になることも考えられます。この点は、あまり悲観的にならず期待を持ちたいところです。

また、賃貸のため壁に釘を打ったり、うっかり穴を開けたりすると退去時に原状回復費用が発生する場合もあります。借りている部屋なので配慮をしながら生活しなければなりません。

勝手に間仕切りとなる壁を外して改築したり、歳を取った時にバリアフリーにリフォームしたりすることも難しいでしょう。仮に家主の許可を得られたとしても、賃貸に大きな費用をかけることへの疑問もあります。持ち家ではないためいくらお金をかけても自身の資産にならず売却してお金に換えることもできません。

購入か賃貸か?選ぶ基準のアドバイス

家の選択
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それぞれ持ち家と賃貸のメリット・デメリットを見てきましたが、どちらも一長一短です。何事も万全という選択肢はありません。どちらが得か?という質問を受けますが、実際は、いくらの物件を買うのか、家賃はいくらなのか、比較対象によって違うというのが正直なところです。

ただ、仮に1年間の住宅ローンの返済額や固定資産税(マンションの場合は管理費や修繕積立金)と家賃が同等程度なら、ローンを完済した後は支払いが無くなるため、家を購入した方がお得といえるでしょう。また、住宅ローン等の支払いが家賃より多い場合でも、長生きをすればするほど賃貸の場合の家賃負担の影響度が高くなるため、場合によっては持ち家の方が有利に傾くということになります。

家を買うというのは、大きな決断が必要です。金銭面だけでなく、そもそも家が欲しいのかどうか、上記のメリット・デメリットを踏まえ自身の生活スタイルや価値観に問いかけてみると自ずと答えが出るのではないでしょうか。

まとめ

ここまで購入か賃貸かということについて見てきました。簡単に整理します。

住まいを決めることは、自分の人生と向き合うことでもあります。これからどんなことをして生きていきたいのか、希望を紙に書き出すなどしてみると何か見えてくるかもしれません。

おひとりさまの老後についてのQ&A

Q. 介護資金の準備をするのに投資をしたいのですが、おすすめはありますか。

A. 老後に使う資金ですので、まずはiDeCoを検討してみると良いでしょう。

Q.高齢者施設に入るためにはどのくらい費用がかかりますか。

A.高齢者施設には、特別養護老人ホームなどの公的施設や介護付き有料老人ホームなどの民間施設があります。公的施設は一般に入居一時金がないことが多く、民間施設では数千万円かかる場合もあります。