増える洋服と支出…上手なお金のかけ方は?/46歳女性FP相談
FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は会社員46歳女性、Wさんの家計簿です。
40代シングル女性Wさんの相談内容
シングルなので老後資金を一人で準備できるよう、毎月必ず4万円は貯めるようにしています。昨年までは手取りの2割に当たる毎月5万円を目安に貯めていました。しかし、アラフィフを迎えた頃から体形が変わってきたこともあって、今までの手持ちの服が似合わなくなり、服を購入することが増えました。ただ、新しく購入しても満足しているわけでもなく、買うことで物が増えてしまい、収納スペースが手狭になってきました。服の購入、管理について迷子になってきています。衣服費についての支出はどのように管理していけばいいでしょうか。
Wさんの家計簿は?
手取り24万3000円のうち、つみたてNISAと貯金に合計4万300円。手取りの約17%を資産形成にまわしています。昨年までは手取りの20%を貯金に回せていましたが、衣服費の支出が増え、貯金ができなくなったそう。その上、服は増えたけれども満足度が低く、収納スペースなど新たな悩みができたとのことです。
服のサブスクをご存じですか?
服を購入せず、サブスクリプションでレンタルしてみるのはいかがでしょうか。サブスクリプション(サブスク)は、月単位、年単位で料金を支払って利用するサービスのことをいいます。音楽、動画、電子書籍などのほか、服、家具・家電のレンタルサービスがあります。
サブスクの特徴の一つが、商品を「所有」するのではなく、一定の期間「利用」するサービスであるということです。服のサブスクのメリットとして以下のようなものがあげられます。
購入費用の節約になる
「所有」しないので購入費用がかかりません。Wさんのように体形の変化や、「去年は似合っていたのに今年はちょっと違う」というようなとき、その都度新しいアイテムを購入していると経済的な負担が増えていきます。
定額制の服のサブスクを利用すれば、月々の洋服にかかる費用が一定になり、服の支出の管理がしやすくなります。
処分のストレスがなくなる
食料品のような賞味期限が記載されているものであれば「食べられない時期になったら処分する」というように、判断基準が明確です。しかし洋服は、サイズが合わないなどの場合を除くと、着られる状態の洋服を処分する基準をつくることが難しく、処分の判断をするのにストレスがかかることがあります。処分ではなく「譲る」という選択もできますが、その場合も方法選びなどでストレスを感じることも。
服のサブスクの場合は基本的に服を「レンタル」するので、自分で服を処分する機会を大きく減らすことができます。
プロがコーディネートを提案してくれる
気が付くとクローゼットの中が、同じ色や似たようなアイテムばかりになっているということはないでしょうか。服のサブスクにはスタイリストがコーディネートを提案してくれるものもあります。また豊富なレパートリーの中から、購入するよりもリーズナブルな価格でさまざまな服を試すことも可能です。
購入して自分で服を「所有」する今までどおりの利用方法だと、「購入して失敗したら…」との思いから新しいスタイルに挑戦することをためらいがちです。「レンタル」することで、今の自分に合う新たなスタイルを発見できるのはサブスクならではのメリットです。
収納スペースを一定量に抑えられる
賃貸にお住まいの場合、収納スペースが少ない物件もあり、洋服の量が増えるとクローゼットに入りきらなかったり、部屋が散らかりやすくなったりして、ストレスを感じてしまうこともあります。サブスクの場合は欲しいアイテムだけをレンタルして返却できるので、似合う服を求めて購入し服が増え続ける、ということもなくなります。
サブスク利用時の注意点
服のサブスクを利用する際は、次のような点に気を付けましょう。
新品の商品ではないことも
服のサブスクは、新品のアイテムを取り扱っているサービスもありますが、レンタルのため他の利用者が着用した洋服を着るケースが多いようです。そのため、安心して利用できるよう高品質なクリーニングサービスなどが実施されていますが、利用する際はサービス内容をよく理解した上で利用するようにしましょう。
料金プラン、返却方法、破損時の費用等についてしっかり確認を!
◆料金プラン
月額料金に加え、プランの内容をよく理解して利用しましょう。スタイリストにお任せするものや、多くの商品の中から自由に試せるものなどがあります。複数のプランを比較し、自分の目的にあったサービスを選択することをオススメします。
◆返却方法
返却方法が自分にあっているか、返送料金がかかるか、返却期限を過ぎた場合の延滞料金についても詳細を確認しておきましょう。音楽、動画、電子書籍などのサブスクは物を返却する必要はありませんが服のサブスクは基本的に返却しなければなりません。運送会社の集荷で返送するものや、コンビニ・宅配ロッカーを利用するものなど、サービスによって異なります 。
◆破損時の対応
利用中にうっかり服を汚した、または破損してしまった場合の対応についても事前に確認しておきましょう。サービス案内に破損内容についての修繕費用などが記載されていますので、利用する前に確認しておきましょう。
サブスクを使う目的を明確に
Wさんの現在の悩みをまとめると以下の3点になります。
① 服の購入費用を抑えたい
② 今の自分に似合う服を知りたい
③ 服の数を増やし続けたくない
対策として、服のサブスク利用は考えてみる価値があると思います。ただサブスクは無計画に利用すると、サービス利用の必要がなくなったときにもサービスを継続してしまい、一定の金額を払い続けてしまうというデメリットがあります。
惰性に任せて料金を払い続けないよう、利用目的を明確にし、利用目的がなくなったらサービスの利用を停止することもイメージしておきましょう。契約の期間も1カ月から12カ月などさまざまです。気に入ったアイテムを購入できるプランもあります。
まずは昨年までできていた手取りの2割の貯金ができるように、服の購入費用を定額に収めることを検討してみてください。サブスクを服の購入費用のコストカットを目的とした一つの方法として、「お試し」して継続を検討するかどうか決めてもよいと思います。
アドバイスを受けたWさん談
動画や音楽のサブスクのサービスは知っていましたが、服のサブスクのことは知りませんでした。定額ということと、返却できるということに魅力を感じています。いろんな服のサブスクがあることもわかったので、じっくり検討し、まずは手取りの2割を貯金して、残りのお金の中でサービス利用を検討してみようと思います。
家計簿診断を終えて
Wさんのように「モノ」が増えることにストレスを感じ、「持たない暮らし」を好まれる方が増えてきているように思います。その中で、サブスクなどの新しいサービスも増えています。「所有する」ことにお金を使いたいのか、「利用する」ことにお金を使いたいのか、自分の価値観と家計にあったサービスを選択してみてください。