環境にもお財布にも優しい。話題の「スローファッション」ブランドは?
アパレルのデザイン、生産・消費過程、ショッピングの仕方などを含め、地球環境に配慮したサステナブルなファッションの価値観のことを表す「スローファッション」。さまざまな社会問題の解決の糸口にもなり、お財布にも優しいファッションとして注目されています。そこで今回は、スローファッションの意味やメリットなどについて解説します。
毎シーズントレンドを追って安価なファストファッションを色々購入するのではなく、長く心地よく着られる服のみを激選して買い足していくスタイルはぜひ取り入れたいもの。人気のブランドも紹介するので、まずは1枚手にとってみては?
スローファッションとは
スローファッションとは、環境・動物・人権などの社会問題に配慮した持続可能な衣類のこと。
2013年、南アジアのバングラデシュでビルが崩落、1000人以上の女性が亡くなった事件を知っていますか?このビルには先進国から受注した衣類を作る縫製工場があり、多くの女性が劣悪な環境で働いていました。また、最近では、毛皮・皮革製品で作られた衣類は、動物愛護の観点から問題があるとされています。
そこで衣類もこうした社会問題に配慮しようという流れが生まれ、サステナブルなファッションアイテムが作られるようになりました。これがスローファッションです。さらに、こうして作られた商品を消費者が大切に長く着る、というのもスローファッションの概念の一つといえます。
ファストファッションとの違い
そもそもスローファッションとは、ファストファッションの対義語として生まれました。簡単にまとめると、以下のような違いがあります。
ファストファッション
大量生産された衣類で安く、シーズンごとに買い換える
スローファッション
少量生産された上質な衣類で、長く利用できる
ファストファッションの流行により、服のサイクルが短くなり、以下の図のように大量消費・大量廃棄の流れが深刻化しています。
<1人あたり(年間平均)の衣服消費・利用状況>
スローファッションのメリットとは?
スローファッションは、社会問題の解決だけでなく、私たちの生活にも多くのメリットがあります。
環境など社会問題でのメリット
・ゴミを減らせ、二酸化炭素削減になる
・天然素材で環境への負荷が少ない
・現地の人たちの労働環境を改善できる
・農薬・化学肥料を使わず、環境への負荷が少ない
・皮革製品、毛皮を使わないため、動物保護につながる
・リサイクル繊維などゴミを再活用できる
洋服としてのメリット
・長く着ることができ、経済的
・素材がよく、縫製もしっかりしている
・肌にやさしく着心地がよい
・持つ洋服の数を少なくでき、部屋のスペースに余裕ができる
スローファッションって本当にお得なの?
「でも、スローファッションの服は価格が高いでしょ」と思う人もいるかもしれません。しかし長い目でみれば、スローファッションのほうがファストファッションよりかなりお得。具体的に見ていきましょう。
例えば、シャツ。ファストファッションのシャツは4000円程度、スローファッションのシャツは1万円代後半からが相場です。しかし、ファストファッションがワンシーズン(3カ月)用としているのに対し、スローファッションは数年以上。もし10年着用するとなると、大きな差がつきますね。
また、スローファッションは定番スタイルのものが多く、コーディネートも楽になります。服をたくさん持つ必要もなく、部屋がスッキリするのもお得なポイントの一つです。
話題のスローファッション・ブランドを紹介
スローファッションを取り入れる際には、次のような基準で選ぶとよいでしょう。
・高品質なもの
・自分に似合うもの
・定番アイテム
それでは、スローファッションに取り組んでいるアパレルブランドを紹介します。
PRISTINE(プリスティン)
「PRISTINE」は、オーガニックコットンを使ったアパレル商品を展開している国内ブランド。オーガニックコットンにこだわっている理由は、生産者や環境への負担を最小限に押さえ、さらに労働の安全や児童労働問題など社会規範を守ることにつながるから。ナチュラルな風合いでありつつもおしゃれで、女性に人気のブランドです。
Patagonia(パタゴニア)
アウトドアメーカーとして有名な「Patagonia」ですが、スローファッションに古くから取り組んでいる企業でもあります。中でも海のプラスチックごみを解決すべく作られたのが、リサイクルポリエステルのフリース。このフリースは、高品質・高機能、しかもデザインがよいことで知られ、登山家をはじめ、街中でのファッションアイテムとしても世界中で愛用されています。
NAGIE(凪へ)
「NAGIE」は、三菱商事グループ企業によるサステナブル&スローファッションのブランド。リサイクル素材を中心とし、受注生産のみで在庫を持たず、人や地球環境、社会を循環させることを目指しています。着心地・伸縮性・機能性にこだわっており、着用する人にとってもやさしい洋服ばかりです。
スローファッションの大きな目的は、誰にとっても持続可能なファッションであること。「自分で選んだ服を大切にする」ことで、自分にとっても持続可能で、ゆとりある生活が待っているかもしれません。流行に流されないスローファッションにさっそく取り組んでみませんか?