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ワタシが“とりあえずお金を稼ぐんですよ!”と言い続けている理由。

「お金0.2から2.0まで」新しい経済のルールと生き方を考える 中村 修治

ワタシが“とりあえずお金を稼ぐんですよ!”と言い続けている理由。

【画像出典元】「Goffkein/adobestock.com」

ワタシ(中村修治)は、多くの起業相談を受けるようになった。パーパスやら、ミッションやら、ビジョンやら、バリューやら、賢い起業家のみなさんの頭の中は、ちゃんとあれこれが整理されている。しかし、モヤモヤも…何かが足りないと思ってしまう。
そういう時は、言いにくいのだが“とりあえずお金を稼ぐんですよ!!”とアドバイスをすることにしている。もっとも言いたいことは、もっとも言いにくいことのそばにある。

ワタシの起業は、長女の誕生と同時だったから!!

ワタシのスタートアップが成功した理由は、独立したと同時に、長女が生まれたことである。企画書を書くことを商売としたものの、中身は、浅い。まとめる技術もおぼつかない。その事実を誤魔化しても、やるしかない。お金を持って帰らなくちゃ!?生まれたばかりの長女がお腹をすかして待っている。

よって、たくさんの駄作と呼べる企画書を書いてお金に換えてきた。もうこんなので良いのかよぉ?という自問自答の連続である。技術の壁を越えたと思っても、時間の壁がある。モチベーションという壁もある。でも、イチバン大変な壁は、こんなのでお金をもらって申し訳ないという自己の設ける壁だった。

それでもなお、駄作を出す勇気、叩かれる覚悟みたいなことが、プロになる道なのである。駄作だから金が貰えないというのは、素人の考えである。駄作でも、お金を貰ってこそプロなのである。この起業時のハラハラ、ドキドキを乗り越えられたのは、長女が生まれて切羽詰まっていたからである。“とりあえずお金を稼ぎながら”信用を築くしかなかったからである。

住宅ローンの審査が通らないから!!

忘れもしない!当時の合併前のあの銀行である!独立して間もない頃に、その銀行の住宅ローンの窓口に相談に行った。その担当者は、1期分の弊社の資料を一瞥して…「もう1年頑張って資料を揃えてください」とおっしゃった。

その1年後、頑張った資料を持参して窓口を尋ねると…全然知らない別の担当者が出てきて「あと3年頑張ってください」と言った。話が違うと声を荒げたが…その担当者は、冷たく笑っていた。

次の日、その銀行にあった、なけなしの預金を全額出金。カバンに数百万円を突っ込んで、隣の銀行で口座をつくった。25年近く前の話である。その時の、悔しさは忘れない。
書類の数字しか見ない。人なんか全然見ていない。ワタシがどんな内容の仕事をしているかなんて関係ない。所詮、こんなもんだと諦めた。ワタシが半沢直樹にはまった理由は、銀行へのそんな怨みである。あの時の担当者に、土下座させたいと考えている小さな自分の存在である。笑

クレジットカードを作ることができ、銀行の住宅ローンの審査に通る社会的信用は“とりあえずお金を稼げるという実績”が必要だったのである。

金を持ったまま死ぬのは、信用に足らぬことだから!!

日本に存在する金融資産1500兆円のうち老人が82.4%を保有していると言われている。20代は、わずか0.3%。しかもこの82.4%のお金のほとんどが、使われないうちに持ち主が亡くなり、相続する世代も引退後を考える60代なので貯蓄に回されてしまう。そんでもって、そういう大事な金融制度や施策を考える政治家さんたちの平均年齢は50代後半だという悪循環。

どんな企業にも。どんな政党にも。どんな経営者にも。
パーパスやら、ミッションやら、ビジョンやら、バリューやら、はある。
しかし、その使命とやらは、保守的になるほどに腐る。
お金を、自分のために貯めてしまったら腐るだけだ。
使命は腐るほど汚くなる。

とりあえず稼ぐんですよ。
稼ぎ続けられたものには、信用がある。
信用が転じたお金が良貨である。
良貨は、天下を巡る。
いくら使っても、同じ分だけは、また、入ってくる。

フリーランス同然のワタシが、どんな起業の相談にも“とりあえずお金を稼ぐんですよ”と言い続けているのは『巡る良貨こそが、ミッションやら、ビジョンやらをピカピカに磨くと信じている』からである。

独立起業したときに生まれた長女が、2023年8月に結婚をする。
花嫁の父は、何もすることはない。
金を持ったまま死ぬのは、信用に足らぬことだ!!という遺言だけは残そうと思う。