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【保存版】確定申告のやり方まとめ。簡単に早く終わらせるコツは?

そなえる 白浜 仁子

【保存版】確定申告のやり方まとめ。簡単に早く終わらせるコツは?

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確定申告と聞くと面倒で難しく感じる人も多いでしょう。しかし近年の確定申告は、電子申告など、年々簡単に手続きができるように変わってきています。早くスムーズに終わらせるためにはどうしたら良いでしょうか?申告をする前の準備物や、日ごろからやっておきたいことについてみていきましょう。

確定申告で必要なもの

確定申告での必要書類は、会社員か個人事業主か、また、申告したい内容によって異なりますが、主なものとして次のようなものがあげられます。

①確定申告書

確定申告の用紙は、前年分の申告を紙の確定申告書で提出し、本年分も確定申告が必要と見込まれる人には郵送で届きます。年々便利になっており、スマホやパソコンを使ったe-Taxでの申告が増えていますので、e-Taxで申告している人は、申告のお知らせハガキが届くだけで紙の申告書は届きません。前年同様にスマホやパソコンで申告すると良いでしょう。e-Taxでの申告については後述します。

②青色決算申告書または収支内訳書

事業を営み事業所得がある場合や、アパートなどを所有して家賃収入を得ており不動産所得がある場合に必要です。収入から必要経費を差し引いた所得を計算するための書類となります。

申告には、「青色申告」と「白色申告」がありますが、「青色申告」の場合は「青色決算申告書」、白色申告の場合は「収支内訳書」を提出します。

白色申告に比べ青色申告の方が複式簿記で詳細に経費などの計上が必要なため手間はかかりますが、その分、青色申告特別控除が受けられるようになります。青色申告をしたい場合は、初めて申告する前に届け出が必要です。

③源泉徴収票

源泉徴収票は提出の必要はありませんが、申告書の作成時に使います。

④マイナンバーカード

マイナンバーカードを作成していない場合は、通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しに加え、免許証やパスポート、健康保険証などを準備します。

⑤銀行の口座番号

銀行口座は還付を受ける場合のみ準備します。申告すると後日、還付金が振り込まれます。

⑥返信用封筒・切手

確定申告書を郵送で提出する場合の準備物です。郵送時に申告書(控)と切手を貼った返信用封筒を同封しておくと、受領印が押されたものが返送されます。きちんと提出できているかの確認だけでなく、ローンの申し込みや給付金の申請時に役立ちます。

なお、以前は申告書に押印欄があったため印鑑が必要でしたが、2021年分から廃止されています。

申告内容・ケース別で必要なもの

➀生命保険料、地震保険料を支払っている場合

死亡保険や医療保険、介護保険、個人年金保険等に加入している場合は、秋頃に保険会社から届く保険料控除証明書が必要です。それによって、生命保険料控除や地震保険料控除を受けられます。

②国民年金保険に加入している場合

社会保険料控除を受けるためには、郵送で届く社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要です。「ねんきんネット」で事前に電子送付希望と届け出をしている場合は電子交付されます。家族分を支払った場合も申告可能です。

➂親族を扶養している場合

配偶者や子ども(16歳以上)を扶養している場合は、配偶者(特別)控除や扶養控除を受けられます。手続きには、配偶者や子どものマイナンバーが必要です。ただし個人番号が分かれば良いため、納税者のように現物のコピーは必要ありません。

④障害者や介護者がいる場合

納税者や扶養親族等が障害者である場合や一定の介護状態にある場合は、障害者控除を受けられます。証明書として障害者手帳または障害者控除対象者認定書が必要です。

⑤医療費を多く負担した場合

年間で支払った医療費が10万円超(所得200万円未満の場合は所得金額×5%超)の場合は、医療費控除を受けられます。医療費の領収書やドラッグストアでのレシートが必要です。医療費の領収書は、健康保険から届く「医療費のお知らせ」でも対応可能です。

➅マイホームを購入した場合

マイホームの購入または、増改築をした場合は、一定の要件を満たすと住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられます。この控除は、1年目は必ず確定申告でなければ手続きができません。必要書類は、次のようなものです。

尚、2年目以降、会社員の方は年末調整で手続きできます。

➆ふるさと納税などの寄附をしている場合

一定の寄附をしていると寄附金控除を受けられます。特に、近年利用者が増えているふるさと納税は注意が必要です。会社員で寄附先が5自治体以下の場合、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告は不要になります。ただし、なんらかの理由で確定申告をすることになった場合、このワンストップ特例制度は無効となります。つまり、確定申告で改めて手続きをしなければ控除が受けられません。

申告時には、寄附金受領証明書が必要ですが、ふるさと納税ポータルサイトでダウンロードできる寄附先の一覧でも代用可能です。証明書をなくしてしまった場合や、寄附の件数が多い場合はポータルサイトでまとめてダウンロードすると便利です。

確定申告を楽にするためルーティン化しておきたいこと

時計と書類
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会社員は、基本的に年末調整で税金の申告が完結します。ですので、確定申告をする必要がある場合は、難しく億劫に感じるかもしれません。また、個人事業主などで申告を毎年している人でも、申告の準備を少しずつやっておけば良かったという声が聞こえてきます。どうすれば確定申告をスムーズに終わらせることができるでしょうか。ここでは、確定申告を楽に行うために、日頃からやっておきたい下準備についてみていきましょう。

➀会社員の場合

年末調整で手続きできない医療費控除や住宅ローン控除の初年度の手続きがあげられます。医療費は、薬局で購入した風邪薬や胃薬など治療のために購入したものも対象で、家族の医療費を支払った場合も合算可能です。

申告する時にあちこちから医療費の領収書を集めるとなると、手間だけでなく、領収書を紛失して見つからないという場合もあります。ですので、最初からリビングなど皆が集まる場所に専用の箱を置き、医療費の領収書は全て箱に入れるようにルールを作っておくと良いでしょう。

住宅ローン控除の手続きは、家を購入する時に交わした契約書「売買契約書または、建築請負契約書の写し」を無くさないように管理しておきます。住民票や登記簿謄本は年が明けて、時間がある時に、役所や法務局で発行してもらいましょう。「借入金年末残高等証明」は、年末調整の時期に住宅ローンを借りている銀行から届きます。

②会社員で副収入がある場合

会社員で副業をしていて事業所得がある場合は、収入を得るためにかかった経費の管理が必要です。確定申告をする時にまとめてやると、記憶をたどりながらになってしまうため煩雑になりがちです。「収入がある月は必ず月末に整理する」などルール化すると良いでしょう。

➂個人事業主の場合

個人事業主も同様です。会社員の副収入に比べると、経理処理のボリュームも多くなるため、月末など必ず月に1度は処理をするようにルーティン化しておくと安心です。帳簿をつけるのは大変ですが、近年は会計ソフトも高度化しており、銀行口座やクレジットカードを連携すると、情報が定期的に計上され便利です。それを光熱費、交際費、旅費交通費などと勘定科目に振り分けます。これらは、スマホのアプリで処理できる場合もありますので、移動などの隙間時間に少しずつ処理をするのも有用です。

また、現金で支払った場合は、自分で一から入力することになりますが、スマホで領収書の写真を撮り、アップロードすることで、内容が自動的に読み込まれるソフトもあります。自分が使いやすいと思う会計ソフトを検討してみましょう。

また、取引先に発行した請求書の控えは日付順にして、きちんと資金を回収できたか管理する必要があります。期日までに支払ってもらえているか確認し、回収できてない資金があれば先方に連絡しなければなりません。これも月末などのルーティン業務にしたいものです。

2023年10月から、インボイス制度が始まりました。消費税を納める立場であるのなら、取引先のインボイス番号が必要です。確定申告が終わると直ぐに消費税の申告期限(4月1日)がきます。慌てなくて済むように、経理処理をする時に相手先のインボイス番号を確認しておくと安心です。

④その他

ふるさと納税の寄附金受領証明書は寄附をした都度、生命保険料控除証明書は秋頃に届くため紛失しないよう保管します。そういった書類は、種類ごとにファイルに分けておくと良さそうです。忙しくて時間がない時は、わざわざ開封せずファイルにポンっと入れておくだけでも良いでしょう。

確定申告の提出方法、早くて簡単に終わるのは?

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確定申告の提出方法は、次の3通りです。

紙の申告書を作成する場合の提出方法は、税務署へ持参することになります。申告時期になると税務相談や申告書の書き方を相談しながら確定申告をすることができる特設会場が設けられます。そこで記入し提出することも可能です。また、忙しくて持参できない場合は、税務署に郵送することも可能。その場合は、申告書(控)と返信用封筒を同封しておくことで受領印の押された控えが返送されます。

もし、申告書類が手元にない場合は、国税庁HPからダウンロードできますが、おすすめは、国税庁が提供している「確定申告作成コーナー」というサイトの活用です。紙の書類に記載していくと、記入漏れや計算ミスが起こりやすくなりますが、こちらのサイトでは、申告内容に合わせて、順に入力して進んでいくようになっているため、楽に進めることができます。自動的に計算を行ってくれるため、計算ミスは起こりません。また、作成の途中で一時保存もできるため、少しずつ進めることも可能です。完成したら申告書をプリントアウトして、税務署に提出します。

そして最も簡単に申告する方法は、国が推奨しているe-Taxです。「確定申告作成コーナー」で作成した申告書をそのまま電子申告することで完結します。申告方法は、大きく3パターンあるので順にみてきましょう。

1つ目は、パソコンで申告する方法です。ICカードリーダライタを使ってマイナンバーカードの情報を読み取ることで本人情報と紐づけられ、申告ができます。ICカードリーダライタと耳慣れない言葉を聞くと身構えてしまう人もいるかもしれません。しかし、家電量販店やネットショッピングで手軽に入手できるので安心してください。

ICカードリーダライタでの申告にハードルを感じる場合は、2つ目の方法となるスマートフォンでの申告がおすすめです。確定申告作成コーナーでスマホでの申告を選択すると、パソコンにQRコードが表示されます。それをスマホで読み取って申告の手続きを進めます。マイナンバーカードの情報は、スマートフォンをかざして読み取れば良いため先ほどのような機器の準備は必要ありません。なお、その場合、スマホにマイナポータルアプリをダウンロードしておく必要があります。

また、これらの申告は、マイナポータルと連携して進めることも可能です。連携すると、収入や控除証明書等のデータを一括取得し、確定申告の該当項目に自動的に入力されるのでとても助かります。

マイナポータルから取得できるデータは、次のようになっています。

①給与所得の源泉徴収票、⑥社会保険のうちの国民年金基金掛金、⑦iDeCo(個人型確定拠出年金)、⑧小規模企業共済掛金は、令和5年分の確定申告から連携できるようになりました。

最後に3つ目の方法です。これは、ID・パスワード方式といって、e-Taxでの申告をする方法の1つです。税務署で発行されたID(利用者識別番号)とパスワードを入力して申告を進めます。

その他には、自営業の方などが利用している会計ソフトを使って、直接e-Taxで申告できる場合もあります。利用している会計ソフトが対応しているかどうか確認してみましょう。なお、e-Taxのメリットは、税務署に行く手間や交通費、郵送料の負担がなくなることに加え、生命保険料控除証明書などの添付書類を省略できるようになる点です。

更に、個人事業主が青色申告をする場合に受けられる青色申告特別控除が最大65万円となります。紙の申告書で提出する場合は最大55万円ですからe-Taxの方がお得というわけです。また、申告書の控えも直ぐにダウンロードすることができ、何回でも発行可能です。定期的に確定申告が必要な場合は特にe-Taxの利用を検討すると良いでしょう。

参考:
国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
国税庁「確定申告書等作成コーナー

まとめ

今回は、確定申告をスムーズに終わらせるための方法についてみてきました。
簡単にまとめます。

確定申告は、電子化が進んでいるため手続きが楽になってきました。とはいえ、事前準備が必要なのは、変わりありません。申告時期に焦らなくて済むように、できることは早めにコツコツ準備していきましょう。

確定申告に関するQ&A

Q:確定申告をする時は、給料明細は必要ですか?

A:不要です。源泉徴収票の準備をします。

Q:個人事業を営んでいますが、少しアルバイトもしています。税金は、給料から源泉徴収されているので確定申告での届け出は不要ですよね?

A:個人事業主として確定申告をするときに、アルバイト代も含め申告する必要があります。