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一生必要な「お金のリテラシー」を高める3つの超基本ルールとは?

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

一生必要な「お金のリテラシー」を高める3つの超基本ルールとは?

金融リテラシーがあなたを助ける?

お金に関する知識や判断能力を意味する「金融リテラシー」という言葉があります。

辞書を検索すると、リテラシーとは「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」となっています(大辞林)。

あまり難しく考えるよりは、「自分自身をお金のトラブルから守ってくれる知識」「お金について困らず余裕をもって過ごせるようにするための知識」というように考えてみるといいでしょう。

金融リテラシーは、あなた自身を守る力となってくれます。例えば、金融詐欺のような投資商品セールスを受けた時、

「このような条件で、こんな高利回りが実現するはずがない」

と判断するだけの基礎的な知識があれば、あなたは騙されずに済むかもしれません。しかし、最低限の金融リテラシーがなければ、

「安全、確実で元本が保証されている!しかも年12%の利回りも保証されているなんて、こんないい話、とりあえず100万円分購入しないともったいないぞ!」

となってしまうかもしれません。毎年数件現れる金融詐欺の多くが「安全・確実・高利回り」で数十億円、あるいはそれ以上を集める背景には、そんなセールストークに騙される人がいるからでもあります。

学習チャネルとしてのYouTubeはアリか?

ところで、金融リテラシーはどこで学ぶのがいいのでしょうか。若い世代は学習チャネルとして動画配信をよく利用しているそうですが、これは有効なのでしょうか?

動画コンテンツは手軽かつ分かりやすい学習手段です。私も詳しくない分野の基本を学ぶためによく利用します。

が、一方で情報には玉石混淆の感もあります。先日、国の年金制度の審議会をYouTubeライブで傍聴していたら、その下にサジェストされた動画が「年金制度が破たんする理由」が表示されており、内容は誤解の多いものでした。にも関わらず何十万という再生回数がついていました。

確かに、話しっぷりは上手だし、字幕や動画の構成などは工夫されており、するすると視聴できる動画ではありましたが、内容が間違っていては役に立ちません。これでは詐欺に騙される知識ばかり身についてしまうかもしれません。

金融リテラシーを学ぶことにおいては、「わかりやすさ」と「正確さ」を意識して学習するといいでしょう。

やはり優先したいのは公的な団体が発信するコンテンツです。公的な情報源は、ややもすれば正確さを意識しすぎてつまらないこともありますが、基本を体系的に学ぶには適しています。日本FP協会、投資信託協会などのコンテンツをフォローしてみてください。

いくつか動画視聴をして基本的なリテラシーを獲得したあとなら、個人が発信するコンテンツのふるい分けもできるはずです。刺激的な内容を、断定的に話しているものは面白くても要注意です。むしろ個人ならではの視点で専門的な内容を説明している動画などはうまく活用してみてください。

リテラシーの言葉を使う類語として「メディアリテラシー」というものがありますが、まさに「メディアを使いこなす能力」が問われるところです。

あなたのお金を一生守る!3つの超基本ルール

そうはいっても、正しく学習をするというのは難しいことでしょう。そこで今回は「最低限、絶対に身につけておきたい、お金のリテラシー3選」を紹介してみたいと思います。

①:「知識でウソを見破る」とは考えないほうがいい

私たちはこれから、お金に関する知識を身につけようとするわけですが、知識があなたを100%守ってくれる、と過信することのないようにすることも大切です。

というのは、詐欺師は常に「本気でウソをつく」からです。営業トークはなめらか、笑顔と親しみやすさはもちろんですし、パンフレットやセミナー、ホームページなどをきれいに整えるためにお金をケチりません。準備したお金以上に詐欺で集金をする自信があるからです。

ある程度の金融リテラシーは、確かに詐欺を遠ざける力となりますが、見破ろうとするよりも「そもそもこれはおかしい」という見分けをつける素養を身につけてほしいと思います。

②:「安全・確実・高利回り」と言われたらまず疑ってかかる

「いい話のようだけど、この金融商品は信じられるかどうか分からないな…」と迷ったら、ひとつの大原則を覚えておきましょう。それは「安全・確実・高利回り」という商品はない、ということです。

先ほどもそうした例をあげましたが、「安全・確実・高利回り」は金融詐欺の定番です。その理由を知っておけばきっと避けることもできます。

銀行預金のように「安全・確実」なものは「低利回り」になります。それは元本割れのリスクを銀行側が負っているからです。

逆にいえば「高利回り」が欲しい場合は、元本割れする可能性、値動きが変動するリスクを背負わなければいけません。

これはつまり、株式投資や不動産投資などが銀行預金よりも高い利回りを期待できる理由にもなり、金融リテラシーの基本といえるでしょう。

③:「分からないときは相談をする相手を探す」

3つめは「知識」ではなくリテラシーの持つもうひとつの意味を紹介したいと思います。それは、必要に応じてサポートを受けることも大事だ、ということです。

もし、明らかな金融トラブルに巻き込まれた場合は、公的な相談窓口がたくさんあります。例えば「消費生活センター」と検索すると、地域の相談窓口がヒットするでしょう。まずは電話相談をし、必要に応じて来訪してアドバイスを受けてください。自分だけではなく、友人や家族がトラブルになった場合もぜひ教えてあげてください。

そして、トラブルが顕在化した時だけがお金の相談をするタイミングではありません。むしろ「プランナー」や「アドバイザー」が求められる局面はたくさんあります。

 ・保険の契約を検討するとき
 ・住宅購入を考えているとき
 ・家計を見直して貯蓄額を増やしたいとき
 ・投資を考えているとき  など

今まで、金融商品を購入するとき、その金融商品を販売する金融機関の人と相談をすることが当たり前でした。この場合、販売時の説明として金融機関は責任を持って説明を行いますが、「売って利益を得る立場」と「顧客視点でアドバイスをする立場」というのは両立させるのが難しいものがあります。

こうした場合に期待されるのはセカンドオピニオンを提供してくれる第三者の相談相手です。個人向けの相談を行っているファイナンシャル・プランナーの事務所、あるいは今後、金融経済教育推進機構が実施する予定の家計管理や資産形成に関する個別相談事業などを活用してみるといいでしょう。自分でお金の知識を学ぶことも大切ですが、必要に応じてサポートを得ることもまた「リテラシー」だということは覚えておいてください。

知れば知るほど、お金のリテラシーはあなたの人生に役に立つ!

さて、今回は最低限身につけておきたいお金のリテラシーの基本を3つ学んでみました。

私はファイナンシャル・プランナーとしてお金の知識や知恵について啓発する活動をしていますが、私自身の20歳代は「お金のリテラシーがない生活」でした。ファイナンシャル・プランナーの資格勉強をした時、いかに自分がダメだったか痛感し、「できれば自分より若い世代には早くリテラシーを得てほしい!」と思ったのが今の仕事につながっています。

・毎月のお金のやりくりのコツは?
・余裕のあるお金を貯めておくオススメの方法
・投資はどのようにスタートすればいいか
・軽い気持ちで借金するとどれほど痛い目にあうか

などなど、学び始めるとお金のリテラシーは幅広く、また学べば学ぶほどあなたのお金の問題がどんどん良くなっていきます。

ぜひぜひ、あなたの金融リテラシーを日々高める工夫をしてみましょう。ほんのちょっとの知識の差が、あなたの人生を大きく変えてくれることがあります。

それはひいては、「あなたの幸せをより高めていくこと」でもあるのです。