医療保険やがん保険、「先進医療特約」ってつけた方がいい?
医療技術の進歩や入院の短期化によって、医療保険も実態にあった保障内容に変化しています。また、なんとなく医療保険に先進医療特約を付ける人も多くいますが、どういった保障を受けられるのでしょうか。確認していきましょう。
医療保険の保障内容
従来の医療保険は、入院すると1日あたり5000円、手術をしたらその内容によって入院日額×10倍、×20倍を給付するなど、入院日額を基準とするものが主流でした。
しかし、近年、入院が短期化していることから、保険商品も実態に沿ったものが増えています。1日でも入院すれば10万円受け取れるというように、入院日数に関わらずまとまった給付を受けられるといった一時金のタイプなどです。
また、がん保険も同様に、がんと診断されたら100万円が給付されるタイプや、抗がん剤治療やホルモン剤治療を受けた月に10万円給付されるタイプなども多くあります。
さらに、死亡保険でありながら疾病に備えられるものもあります。死亡保険は、死亡や高度障害となった時に保険金が支払われるのが通常ですが、三大疾病に罹った場合に、先に死亡保険金等に代えて保険金が支払われるといった感じです。生きているうちに受け取れるため治療費に充てられます。このように保険は、実情に合わせて少しずつ変化しています。
先進医療とは
先進医療という言葉から、時代の先をいく新しい治療であることが想像できますが、実際どのようなものでしょうか。先進医療とは、厚生労働省が認める一定の医療のことを指し、まだ十分な効果や安全性が確認される前の治療です。
既に多くの研究・開発が行われており、一定の実績が認められていますが、公的医療保険の対象外となっており全額自己負担です。今後、さらに研究が進み、国のお墨付きがもらえると、3割負担など保険適用で治療が受けられるようになるのです。2024年3月1日現在、対象となる治療法は78種類あり、厚生労働省のHPで公表されています。
参考:厚生労働省「先進医療の各技術の概要」
先進医療保険は基本的には特約加入
先進医療特約とは、医療保険やがん保険に加入する時に付ける特約です。通常は先進医療単独での加入ができません。
しかし、単独で契約できる保険商品も一部で販売されています。単独加入の場合は少々割高になりますが、既に加入している医療保険やがん保険を見直して、先進医療特約付きの新たな保険に入ると保険料が大きく上がってしまう場合や、既契約の保険料払い込みがあと少しで完了するという場合は、単独加入が選択肢になるでしょう。
契約中の保険に追加で先進医療特約を付けられる場合もあるため、まずは確認してみましょう。
先進医療特約の必要性はどう考えればいい?
年齢や性別によって変わりますが先進医療の保険料は100円程度と高くありません。保険会社の立場で考えると分かりますが、保険料が低いということは、給付の症例が少ないということです。つまり、そんなに使う機会はないかもしれません。
しかし、先進医療の中でも高額な治療とされるがんの重粒子線治療や陽子線治療は、300万円程度かかるようです。多くの先進医療特約は通算2000万円まで実費を給付するという内容になっているため、先進医療を受ける場合は十分な保障内容といえるでしょう。
FPとしてライフプラン相談で拝見する医療保険の保障内容は、先進医療特約を付けているケースが大半という印象です。必ずしも皆と同じが良いというわけではありませんが、高額な治療への備えができること、医療保険に100円程度上乗せすれば付けられるという手軽さがあると思われます。万一の時に先進医療の選択肢が欲しい人で、お守りを持っておきたいというなら検討すると良いでしょう。
このように医療保険は、死亡保険と異なり給付される要件が医療の実態に沿うように変化しています。万一病気やケガをした時のことが心配なら、自分が納得できる保険料の範囲で検討すると良いでしょう。