【FPが伝授】親子で楽しく勉強にもなる!今時のお小遣いの渡し方
小学生になるとお小遣い制度になる家庭が増えますが、せっかくならお金感覚も身に付けてもらいたいですよね。そこで今回は、楽しみながら子どものマネーリテラシーの向上にもつながりそうなお小遣い制度について紹介します。
子どもへのお小遣い、平均いくら渡している?
子どもにお小遣いを渡すのはいくつから、いくら渡すのが良いのでしょうか。
〈子どもの小遣い額(月平均)〉
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和5年調査結果」によると、小学生はおおむね2000円前後で、中学生になると4000円弱、高校生6000円台半ば、大学生2万円超となっています。参考として10年前と比較すると、大学生は目減りしていますが、小学生は2倍程度、中学、高校生では1000円程度増えているようです。
〈子どもの小遣い額(年推移)〉
次に、小学生のお小遣いをもう少し掘り下げて見ていきましょう。上記の表は、同調査を基に小学生のお小遣いを時系列に表したものです。2013年から2020年までをみると、小学生(1・2年生)は、年によってブレがありますが、3年生以降は比較的安定しており、月額1000円前後となっています。
2020年以降に金額が大きく増えていますが、これはコロナ禍で、レジャーなど遊びに連れて行ってあげられないことがお小遣いアップに繋がったのかもしれません。ゲームなど家で楽しめるモノが良く売れた時期でした。また、昨今の物価高騰もお小遣いの増額に繋がっていると想像します。大人の世界で賃上げをする企業が増えているように、子どものお小遣いも見直されているのでしょうか。家庭によってお小遣いの考え方は異なりますが、まずは参考にしてみてください。
FPから見た子どもにお小遣いを渡すことの教育効果とは?
お小遣いをあげるメリットは、何と言っても子どもが将来自分で生きていくための力、つまり、金銭感覚を身に付けられるということが挙げられます。お金に振り回されず、賢くお金をコントロールしていくための経験を子どもの頃に積み重ねていけるのです。
お金があれば欲しい物が買えるという経験、買うとお金が減る経験、お小遣いが足りなくなったら節約する経験、高価なものを買うために計画的に貯める経験…など、大人になるまでに身に付けておいて欲しいことばかりです。
筆者は、ライフプランのアドバイスをするのが仕事ですが、思い描いている人生設計を叶えるためには、「お金の計画的な準備」が重要な要素となることが多くあります。「三つ子の魂100まで」というように、お金との付き合い方も、子どもの頃の家庭環境や培った経験が大きく影響するようです。
初めてのお小遣い制度、取り入れる際のポイント
お小遣い制度では、渡し方の違いによって、その効果や注意点が異なるということを親自身が知っておくことが必要です。毎月決まった額を渡す「定額制」、必要な時に渡す「都度制」、お手伝いをしたら渡す「報酬制」の3つに分けて見ていきましょう。
①定額制
毎月、限られた金額でやり繰りしなければならないため、計画性が身に付きます。一方、うまく管理が出来ずに、序盤で使い切ってしまうことがあるかもしれません。それも良い経験ですが、毎月そうなってしまう時には、お小遣いを4等分にして封筒に入れ、毎週一つずつ開けて使う、という提案をするのも良いでしょう。給料を封筒分けし家計管理する方法がありますが、それと同じです。
②都度制
必要な都度渡すという方法は、子どもが親に必要な理由をプレゼンすることになるため、相手を説得する力が磨かれます。一方で、その時にすぐ使うことから、貯めるという計画性を育てることにはつながりません。その場合、少し多めに渡しておつりは大事に貯めて管理させる、というのも良いでしょう。
③報酬制
家の手伝いをしたら渡すといった報酬制は、お手伝いへのやる気につながります。しかし、お金のために手伝う、という意識が強くなり過ぎないように注意しましょう。手伝いをすることによって家族が助かる、感謝される、など家族内での役割について感じ取れることが大きな学びになります。社会人になっても、お金のためだけではなく、やり甲斐をもって働けると良いですよね。低学年のうちは、玄関の靴を整える、食後のお皿運びなど簡単なものから始め、そのうち、風呂掃除など年齢に合ったものを選ばせ、その分、お小遣いの単価も上げると良さそうです。
ユニークなお小遣い制度
では、親子で楽しみながら学びにもなるお小遣いの取り入れ方をご紹介します。
自分で(家族内で)稼ぐ・お店を出す
筆者のクライアントに、コーヒーが好きな方がいます。子どもへの金銭教育にとても関心があるお父さんで、そのご家庭では、子どもがコーヒー屋さんをしています。とても本格的で、生豆を買って焙煎し、毎晩食後にお父さんに販売するというもの。売上から生豆の購入費を差し引いた残りが利益、つまりお小遣いです。
また、時には、兄弟に手伝ってもらい人件費が掛かることもあるとのこと。そうなると利益(お小遣い)は減ることにも…。コーヒー屋さんを通じて、経済やお金、それ以外の多くの学びが得られているそうです。焙煎まではいかずとも、我が家だったら何ができるか考えてみるのも良いのではないでしょうか。
お小遣いの一部を外貨にする
日本では、人生100年時代を生き抜くためにと銘打って、NISAやiDeCoで資産運用を始める人が増えていますが、そういった感覚を磨くことも必要です。その方法として、お小遣いの一部をドルにするというのはいかがでしょうか。
1ドル100円だったのが、円安になり120円になったなら、その時に円に交換するとお金が増えます。一方で、円高になるとお金が減ってしまう、という通貨の力関係が学べます。実際に外貨を準備するのが手間だと感じる場合は、折り紙などで模擬のドル紙幣を作るという方法でも良いでしょう。ニュースでドル円の動向が流れた時、子どもと一緒に今ならいくらに換金できるのか、なぜ円高、円安になったのかなど日頃から会話に取り入れます。
このように、子どものお小遣いの渡し方は、いくつもの選択肢があります。家庭の方針だけでなく、子どもの特性に合った方法を検討してみましょう。