続くガソリンの価格高騰、その背景とは?日本に出来る解決策も!?

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監修・ライター
レギュラーガソリンの小売価格(全国平均)が、1リットルあたり180円から185円に値上がりしました。ガソリン価格の高騰を抑えるための国による補助金の額が1月16日から縮小されたことが理由です。
生活必需品と言ってもいいガソリンの価格高騰に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。この機会に、なぜガソリン価格の高騰が続くのか、ガソリン価格を抑制できる方法はないのかについて考えてみましょう。
ガソリン価格はどのくらい上がった?

日本の総人口が初めて1億人を突破し、ロックバンドのビートルズが日本武道館で公演を行った1966年、ガソリン価格は1リットルあたり50円でした。日本経済の拡大とともに徐々にガソリン価格は値上がりを続け、第一次石油ショック、第二次石油ショックを迎え1リットルあたり177円まで高騰。
その後、ガソリン価格は下落局面に入り、1999年には1リットルあたり97円にまで落ちています。ちなみに翌年の2000年はマクドナルドの65円バーガーが話題となるなど、この時期、日本全体が極度のデフレ市場だったことが分かります。
2008年のサブプライムローン問題の影響でガソリン価格は1リットル182円にまで高騰しましたが、直後のリーマンショックで原油先物市場から投資マネーの引き揚げが相次ぎ、ガソリン価格は一気に下落。2008年のガソリン価格は1リットルあたり106円でした。
2008年以降、ガソリン価格は110円前後から160円前後で値動きし、2023年9月には184円を記録。この値上がりの背景には、コロナ禍で落ち込んでいた需要の回復や産油国の減産があります。
このように、ガソリン価格はその時々の世界情勢が強く影響しているのです。それでは、最近のガソリン価格値上がりの理由は何なのでしょうか。
ガソリン価格高騰の理由

最も大きな理由として挙げられるのが、円安です。皆さんご存じの通り、日本は産油国ではありません。日本にも油田はいくつかありますが、産出量はごくわずか。ガソリン供給量の約99.7%を海外からの輸入に依存しているのが現状です。海外の原油を購入するには日本円をドルに両替して決済する必要がありますが、ドル/円相場はここ数年、以下のように円の価値が下がり続けています。
2020年12月 1ドル=103円
2022年2月 1ドル=115円
2022年10月 1ドル=149円
2023年10月 1ドル=152円
2024年6月 1ドル=161円
円の価値が相対的に下がっているため、高値で原油を輸入せざるを得ないわけです。円安による原油を購入するための費用の高騰が、最近のガソリン価格高騰一番の要因と言ってもいいでしょう。
加えて、ガソリン需要の世界的な高まりも価格高騰の理由として挙げられます。世界全体でのエネルギー消費(一次エネルギー)は、2000年は約95億トンでした。世界経済の拡大とともに石油換算では年平均2.4%で増加し、2010年は120億トン、2022年には140億トンを超えています。
物の値段は需要と供給のバランスによって決まります。サウジアラビアやロシアなどの主な産油国でつくるOPECプラスは2022年11月以降、減産を実施。ガソリンの需要は増えているのに供給が減っているため、当然、価格は高騰します。減産の理由をOPECプラスは、「ガソリンの過剰供給による価格暴落を防ぐため」としています。
要は、いずれ尽きるといわれている石油(ガソリンの原料)を採れる内にできるだけ高く売って大きく儲けたいということです。
今こそ暫定税率の廃止を

このように、ガソリン価格は世界のさまざまな状況や産油国の思惑によって変動します。つまり、私たち個人はもちろん、国単位でもガソリン価格の高騰に対してできることはほとんど無いのです。
しかし、日本の場合はすぐにでもガソリン価格を1リットルあたり25円ほど安くできる方法が残されています。それは、ガソリンの暫定税率の廃止です。ガソリンの暫定税率とは、道路整備の財源を確保するために1974年に導入された、ガソリン税の一時的な税率のことです。
一時的な税率と言いながらも導入から50年以上、一度も廃止されたことはありません。実は、ガソリンの暫定税率は1リットルあたりの価格が、連続する3ヵ月平均で160円を超えたら自動的に廃止される仕組みが備わっています。これがトリガー条項と言われる仕組みです。1リットルあたりのガソリン価格はここ数年、ずっと160円を超えています。
しかし、日本政府は2011年の東日本大震災を受け、復興財源を確保するためとしてトリガー条項を凍結。現在までそれが続いています。トリガー条項の凍結が解除されればガソリン税は現在の1リットル53.8円から1リットル28.7円へと引き下げられます。
ガソリンの価格が抑えられることは、車に乗る人はもちろん、車に乗らない人にもメリットが大きいことです。それは、物流コストが抑えられることによって、生活必需品の価格も抑えられるからです。
日本のGDP(国内総生産)における個人消費の割合は約6割と言われています。物価を抑制し、個人消費を拡大していくことは、日本経済の復活に欠かせないものではないでしょうか。
自民党、公明党、国民民主党の3党は2024年12月、旧暫定税率の廃止(トリガー条項の凍結解除)で合意しましたが、具体的な実施の時期は決まっていません。何となく、このまま時間が過ぎ、合意そのものが無かったことにされるのではと思ってしまうのは筆者だけでしょうか。