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子どもの医療費助成で負担なし。でも医療保険には入るべき?

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

子どもの医療費助成で負担なし。でも医療保険には入るべき?

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あなたはお子さんに医療保険を掛けていますか?今回は3歳のお子さんがいるママから、自治体の医療費助成制度とは別に、民間の医療保険にも加入した方がよいか迷っているというご相談です。自治体の助成制度以外の制度で保障されている可能性や、健康保険の制度と考え方を紹介していきます。

Kさん30代女性の相談内容

現在子育て中で3歳になる子どもがいます。住んでいる地域では高校生まで医療費が無償化となっており大変助かっていますが、いざという時のための保険に加入しなくて良いものか迷っています。子ども向けの保険で入っておいた方が良いものはありますか?   

個室での入院を想定するかどうか 

入院する子ども
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お子さんの医療保険の加入を迷っておられるのですね。おっしゃる通り各自治体には子どもの医療費助成制度があります。内容は自治体によって異なりますが、Kさんの地域では高校生まで医療費が無償になるとのこと。そのため病気やケガで入院や手術をすることになっても基本的に心配する必要はありません。

とはいえ入院で個室を希望するなど、そもそも健康保険が適用されない部分は医療費助成の対象外となり自己負担が発生します。個室の差額ベッド代は公的医療保険の対象外です。差額ベッド代は病院・病室により異なり、平均7000円前後の負担が目安です。仮に10日間入院すると7万円、20日なら14万円の負担ということになります。

このような費用負担に不安を感じるのなら医療保険に加入するのもひとつ。年齢が若い分保険料も月額1000円、2000円で加入できるものも多いようです。もしお勤め先に団体保険がある場合は、もっと保険料が抑えられるかもしれません。毎年保険料の一部を割り戻してくれる場合もあるため確認してみましょう。

入院の短期化に対応するなら一時金タイプの保険

なお、医療保険は入院日額〇円といったものが主流ですが、近年、入院が短期化しており通院で治療していくケースが増えています。そうなるとこのような医療保障はあまり出番がないかもしれません。最近はこういった医療の状況を踏まえ1回の入院で10万円給付されるなどの一時金タイプや、仮に3日しか入院していなくても10日分が給付されるなどの入院保障タイプの商品も増えているので検討すると良いでしょう(保険会社や商品により異なります)。

幼稚園や保育園で強制加入する保険もチェック

屋内保育所
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意外と見落としがちなのが幼稚園や保育園、小学校など学校(園)に通うときの保障です。多くの学校は、独立行政法人日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」に加入しています。体育でとび箱から落ちてケガをした場合や、昼休みに校庭で遊んでケガをした場合の治療費だけでなく、給食で食中毒になった場合、熱中症、プールで溺れたなどの疾病時にも備えられ、入院時には食事代の給付加算もあります。

筆者の息子が小学生の頃通学中にコケて足のすねを数針縫った時も給付を受けました。もしKさんのお子さんが保育園や幼稚園に通っているのでしたら、この機会に保障範囲を確認してみると良いでしょう。

高校を卒業した後の医療費をどう考えるか

Kさんの地域では、高校生まで助成されるためその後の医療費は3割負担ということになります。ただし、医療費には高額療養費制度という制度でひと月の医療費の負担上限が設けられているため、際限なく医療費がかかるわけではありません。

高額療養費制度では、ひと月の医療費に自己負担の上限が設けられています。限度額は所得に応じて異なりますが、一般的な所得層では、9万~10万円くらいが目安です。高校卒業後を見越して今のうちに医療保険に加入したいということでしたら、高額療養費を踏まえて検討するのが良いでしょう。

今のうちに医療費貯蓄を検討するのも一つの方法 

グラフ
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少し視点を変えるなら、保険料を払ったつもりでお子さんの医療費積み立てを投資信託で行うのもひとつの方法です。基本的に高校生まで医療費がかからないわけですから、例えば、保険料と思って毎月2000円をAファンドに積み立てるとします。高校卒業までの15年間で掛け金は36万円。仮に年5%で運用できたなら53万円超に増えています。

自治体の助成制度がなくなった後に入院や手術で医療費がかかる時はそこから医療費を払うという使い方です。元気で医療費として使う必要がなければ、積み立てを継続するのも良いですね。

投資の利回りは確約できるものではないため、あくまでひとつの考え方です。自治体の制度が続く間は長期的視点で保険料相当を運用してみるのも面白いと思います。

まとめ

病気やケガで入院や手術をすることが無ければ医療保険は掛け捨てになるのが通常です。とはいえ、保険に加入していれば、契約期間中はずっと保障してもらえるため、いざという時に助かります。一方で保険料分を積み立てたなら…。迷わせていますが正解はありません。この回答を読んでいただき心が動く方を選択してみてください。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。