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キャッシュレス決済時代にあえて現金主義、それを叶えるある方法

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

キャッシュレス決済時代にあえて現金主義、それを叶えるある方法

ネットで見かける「あえて現金主義」

キャッシュレス決済が主流となってきた世の中ですが、ネットで「あえて現金主義!」のような書き込みを見かけることがあります。

キャッシュレス決済にするとムダづかいが増えるような気がするので、あえて現金払いにしている、というのです。

また、これに合わせてか、「お店が現金払い回帰しキャッシュレス決済を終了」なんてニュースもちらほら見かけます。こちらはキャッシュレス決済の手数料がお店にとって負担である、という流れで一部のお店が現金払いに回帰する事例です。

時代の流れとして考えれば、キャッシュレス決済が完全終了し、100%現金払いに戻ることはあり得ないでしょう。しかし、個人の決済の選択肢として現金払いがなくなることもないでしょう。

かといって、現金払いに戻るのは時代に逆行している感じもします。今回は意識的に現金払いにするメリットとデメリットを考えてみます。また、キャッシュレス決済を続けながら「現金払いのいいところ」を残す方法はないか対応策を提案します。

現金払いの最大のメリットは「減る、の見える化」だが…

現金払いのメリットはなんといっても「減る、の見える化」が実現することです。

お金を使った感覚を一番はっきりさせる方法はやはり、お金を誰かに「渡す」という行為です。現金払いをすれば、財布からお金が減少したことをリアルに実感できます。

ATMでお金をおろし、財布に現金を1万円入れたとします。そうするとお金を使うごとに減り具合が「見える化」されていきます。

1万円が崩れた段階…「お、大きなお札が無くなったな」
5千円を下回った段階…「5千円札が無くなって半分使っちゃったな」
最後の千円札1枚となった段階…「もうほとんど残ってないぞ!」

のようにお金が減ったことを徐々に自覚していきます。言葉にすると間が抜けていますが、そうした「残り具合」の認識があることは家計を引き締めるきっかけとなります。キャッシュレス決済にはそれがありません。

残りのお金が見える化していることは、消費ペースの把握にもなっています。「今回下ろしたお金で今週末までやりくりしよう」のような時間配分も、現金の量によって意識できるからです。

これらは結果としてムダづかいの抑制に繋がります。「現金派」には一定の理があるわけです。

悩ましい「かさばる」問題、増えるキャッシュレス限定レジ

一方で、現金払いにもいくつかの難点があります。例えば支払いが面倒であり、小銭を持ち歩く分、かさばるという問題です。

一度キャッシュレス決済に慣れてしまった人にとって、財布がスッキリする(あるいは持ち運ばなくてもいい)状態から小銭をジャラジャラ、お札で財布がパンパンという状態に戻るのはストレスではないでしょうか。

また、キャッシュレス決済限定のシチュエーションが増えていることも問題です。セルフレジに誘導されたら、「現金不可」と書いてあったりするケースが最近増えています。そういう時だけキャッシュレス決済にしてしまうと、使っていくお金の把握がズレて、現金主義にした意味が薄れてしまいます。

家計管理も手間が増えます。スマホアプリで自動記帳される家計簿は、モバイルバンキングやクレジットカードとリンクさせることで、記帳の手間を無くしてくれますが、昔の家計簿のように現金払いして手入力となると負担が増えてしまいます。

ポイントが付与されないというのも悩みです。基本的に現金払いにはポイントがつきません。お店のポイントカードがある場合でも、多くはキャッシュレス決済でもポイント付与されますから、「お店のポイント+キャッシュレス決済のポイント」が上乗せされる方がお得です。プラス0.5%であっても気がつけば年単位では数千円以上の違いになるはずです。
(※一部店舗では、現金払いにのみポイント付与するケースもあるようです)

現金払いとキャッシュレス決済、お互いのメリットは少し異なるポイントにあるようです。キャッシュレス決済しながら、現金払いのメリットを得ることはできないのでしょうか。

折衷案としての「セルフチャージ」はいかが

現金主義に100%切り替えるというのは現実的になかなか難しいと思います。考えてみれば電車に乗る場合、私たちはICカードを利用するわけで、キャッシュレス決済を行っていることになります。現金100%にするからと、そこまで切符に戻すことはできません。

それでも、「現金主義」のいいところである「見える化」をキャッシュレス決済で活用できる方法はないでしょうか。折衷案として、使った額を意識できる方法を考えてみましょう。

私はよく「オートチャージは禁止」「チャージはセルフ(手動)」で、とアドバイスをします。

完全キャッシュレス決済の人でも、「アプリ起動→チャージ画面へ移動→チャージ金額入力→確定ボタン」とスマホアプリの画面で作業することで、「今、私は5000円のチャージをするのだ」のような自覚を持つことができます。残高の減り具合も意識できます。

少なくとも、一定残高以下になると、自動的にチャージされるオートチャージ方式より、お金を使った感覚を持つことができるでしょう。

私は一週間の使う金額の目安を持っていますが、セルフチャージのタイミングに「次は木曜日にチャージのつもりだったが、ちょっと早かったな。ムダづかいしてなかったかな?」のようにチェックをしています。これも使った金額の「見える化」になっています。

こうした工夫をちょっとすれば、キャッシュレス決済でも現金払いのいいところを採り入れることができるでしょう。

とりあえずオートチャージ設定は停止してみてください。それだけでもお金を使う感覚が高まってくるはずです。ぜひお試しあれ。