住宅ローン控除でいくら戻る?条件や必要書類、確定申告まで総ざらい (2ページ目)
目次
3-1. 個人単位で2/16~3/15までに確定申告にて申請。還付請求なら年明け以降いつでもOK
いよいよ住宅ローン控除の手続きとなった場合、何からすべきでしょうか?まずは確定申告のスケジュールを確認しましょう。
確定申告シーズンは原則2月16日~3月15日です。よって、2019年中に住宅を購入した場合は2020年の2月16日~3月15日の確定申告時期に税務署などで手続きを行うことになります。ただし、前述した会社員のように、住宅ローン控除によって、あらかじめ源泉徴収されている税額が戻ってくるという場合、これを還付請求といい、還付請求に関しては年明け以降すぐに対応してくれます。
早く手続きをすれば税務署も混雑しておらず、ゆっくり税務署員に相談しながらスムーズに手続きができ、当然、お金も早く戻ってきますよ。例えば住宅購入のため別の不動産を売却し、不動産の譲渡所得があるといった場合などは確定申告時期に手続きを行ってください。
3-2. 申請時の必要書類について
私自身も不備があり再提出することになりましたが(汗)、そんな私の失敗も踏まえアドバイスです。とにかくいろいろと必要書類がありますので、住宅ローン控除の手続き時に大変な思いをしなくていいように、「住宅購入の一連の流れで生じる書類は全て必要種類」と考えてすべて管理、整理しておくことをおすすめします。
住宅ローン控除を受けるためには物件の条件と本人の所得の要件などを満たす必要があるため、それらを証明する書類が必要となります。以下が必要書類の代表例です。
✓住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署または国税庁のHPより入手します)
✓建物・土地の登記事項証明書(法務局で入手可能)
✓不動産売買契約書(請負契約書)の写し(不動産会社からもらいます)
✓住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」(住宅ローンを借りた銀行からもらいます)
✓源泉徴収票(勤務先からもらいます。自営業の方は確定申告書)
時期的に年始めに該当したり、年度末に差し掛かったり、何かと忙しいため前もって意識し準備しておいてください。
3-3. 2年目からの住宅ローン控除の申請方法
初年度、確定申告で無事住宅ローン控除を受けることができました。でもまだ9年減税を受けることができます。2年目以降はどのように手続きをするのでしょうか?
初年度に比べ2年目からは随分と楽になりますので安心してください。
・会社員(給与所得者)は年末調整で
まず、給与所得者は10月~11月にかけて毎年、生命保険会社から届く書類などを会社に提出し、年末調整の手続きを行っていると思います。それと同様に住宅ローン控除の手続きを行うことができます。必要な書類は以下2つです。
✓住宅ローン控除申告書
✓残高等証明書
住宅ローン控除申告書は税務署より郵送されます。初年度に確定申告を行うと、2年目から10年目までの残り9年分の申告書がまとめて届きますので大切に保管しましょう。毎年1枚ずつ使っていくことになります。また、申告書には土地や建物の購入額や面積などを記載する必要があります。残高等証明書は銀行から毎年郵送で届きますので、そちらを提出してください。毎年行っている年末調整の手続きの際に、少し添付書類が増えるくらいのイメージです。そんなに負担にはなりませんよ。
・自営業(個人事業主)は確定申告で
個人事業主の場合は原則、毎年確定申告を行っていますので、翌年以降も確定申告で住宅ローン控除を受けてください。2年目以降は物件関係の書類を提出する必要はありませんので、銀行から毎年届く残高等証明書を参考に「年末残高×1%」が減税額の欄に記入することで納めるべき税額が減額されます。税理士さんにお願いしている場合は、担当税理士に残高等証明書を渡してください。
4. 住宅ローンの控除額を実際に計算してシミュレーション
では、具体的に住宅ローン控除がどれだけ影響があるのか、実際に計算してシミュレーションしてみましょう。
以下Aさんのケースではどうなるでしょうか?
Aさん(会社員)年収600万円 |
|
給与所得(税務上) |
426万円 |
所得控除※ |
150万円 |
課税総所得金額 |
276万円 |
所得税 |
約18万円 |
住民税 |
約28万円 |
※所得税と住民税では所得控除の額に違いがありますが、便宜上同額とします。
※翌年の住民税額も同額とします。
※平成31年時点の税率等で計算しています。
上記のシミュレーションでは、Aさんは年収(給与収入)600万円ですが税金を計算する上での「給与所得」は一定の給与所得控除額を差し引くことができるため426万円となります。そこから所得控除を差し引けます。家族の人数や払っている社会保険料の額などによって違いはありますが、150万円控除できたと仮定すると、その差額276万円が課税対象となり、所得税の税率で計算すると約18万円が所得税として会社から源泉徴収されています。
ここで忘れてはいけないのが住民税です。会社から1年に1回もらう源泉徴収票には所得税しか記載がありませんが、地方に納める住民税も原則、会社から源泉徴収されています。住民税は一律10%であるため、Aさんの場合、所得税よりも多い額を負担しています。