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住宅ローン控除でいくら戻る?条件や必要書類、確定申告まで総ざらい

かりる 内山 貴博

住宅ローン控除でいくら戻る?条件や必要書類、確定申告まで総ざらい

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<2019.05.20更新>こんにちは。FP(ファイナンシャルプランナー)の内山です。

今回は家を買うときにぜひ知っておいてほしい減税制度「住宅ローン控除」について、どんなところがおトクなのかを徹底解説します。確定申告や年末調整で行う住宅ローン控除のための必要書類と申請方法、さらに住宅ローンの控除額も実際にシミュレーションしてご紹介します。また、今年2019年に実施される改正されるポイントにも言及し、現在借りている人、これから借り入れをする予定の人双方におすすめで役に立つ情報をわかりやすく説明します。

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1. 住宅ローンを組んで家を購入、それも賃貸のまま…賢い選択はどっち?

家を買う家族

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筆者が担当するFP相談で住宅に関する相談は、保険や資産運用(老後資金)に並んで多い相談の1つです。マンションや戸建てを買うべきか迷っている、いくらぐらいが妥当なのかなど、こういったことを考えだすとなかなか答えが出てきません。

ですから、同じ家の購入でも、交通の便のいいマンションに住みたいのか、郊外の戸建てでゆったり過ごしたいのか、生活環境の変化に合わせて家の借り換えをしたいのか、将来どこに住むのかが確定していないため小回りのきく賃貸マンションに住みたいのか、そもそも住居にそこまで重きをおいていないのかなど…。自分が生きていく上で最も大事なことは何なのかをこの機会によく考えてみましょう。

特に悩むケースが多いのは、会社員や公務員の場合です。大手企業などに勤務していると、賃貸の際は家賃補助として数万円会社が拠出してくれることが多く、実質負担額を抑えて通勤に便利な環境の良いエリアで生活をすることができます。

一方、持ち家になった場合は家賃補助がなくなり、住宅ローンを組み全て自分で払わなければならなくなります。そのため「このまま賃貸の方がよいのでは。でも家は欲しいし」という具合に、悩みの種になってしまいます。

そんなとき、住宅の購入と住宅ローンを組むことを後押ししてくれるのが、今回のテーマである「住宅ローン控除(減税)」です。
もちろん、近年の超低金利なども住宅ローンを組むうえで追い風といえそうですが、税額控除にあたる住宅ローン減税、正式には住宅借入金等特別控除は、ローン契約者の税金負担を大きく軽減してくれる魅力的な制度です。

ところが、住宅購入についてFPに相談される方の中にもこの存在を知らなかったという人もいます。これは大変にもったいないことです。住宅購入の強い味方である「住宅ローン控除」について、今回は詳しく解説していきます。

2. 住宅ローン控除制度とは?どんな条件で適用されるの?

住宅ローン控除は「税額控除」にあたります。配偶者控除や医療費控除に代表される「所得控除」は所得を小さくすることができますが、税額控除はズバリ税額から控除することができます。よって、より大きな減税効果があるといえます。概要は以下の通りです。

住宅ローン控除

一定の条件を満たした住宅を購入し、10年以上の住宅ローンを組むことで毎年の残高×1%が住宅ローン減税額となります。住宅ローン残高は一般物件で4000万円となっているので、初年度は最大40万円の控除を受けることができます。

納税額は人それぞれの状況で異なりますが、一般的に年収800万円前後の会社員の場合、所得税だけで40万円前後、源泉徴収されていますので、この場合は4000万円のローンを組むことで所得税が全額戻ってくることになります。さらにこうした控除が住宅ローン残高に応じて10年間続きます。

非常に大きな減税効果ですよね。具体的な計算例は改めて以下で紹介いたします。

3. 確定申告で行う住宅ローン減税の申請方法

では、住宅ローン控除を適用するにはどのような手続きをしなければならないのでしょうか。基本的には確定申告が必要となりますが、会社員と自営業の場合やe-Taxなど電子申告で確定申告を行う場合などさまざまです。申請方法としては主に3つ。

①税務署に出向いて申告をする
②国税庁のホームページを使って申告書類を作成し、必要書類を添えて郵送する
③e-Tax(電子申告)を導入し、電子的(ネットを使い)手続きを行う。

私自身も数年前に住宅を購入し住宅ローン減税の手続きを③で行いました。事業主として毎年確定申告を行っているため、e-Taxに必要なカードリーダーなど環境が整っていることもあり、例年通りe-Taxを通して住宅ローン控除の手続きも行い、必要書類は税務署に郵送で提出しました。
現在は必要書類もPDFにして全て電子申告で完了することもできます。電子申告は便利ですが、やや準備が必要です。専用のカードリーダーを購入するのもその1つです。よって、毎年年末調整で納税が完了する多くの会社員にとって、住宅ローン控除のためにわざわざ電子申告を行うのはむしろ負担になるかもしれません。確定申告を毎年行っていない方は①か②を選ぶ方がよいと思います。

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