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将来もらえる年金の受給額はいくら?推移を見ながらわかりやすくFPが解説 (2ページ目)

そなえる 中村 賢司

2. 年金受給額、過去5年間の推移は

コインと老夫婦のミニチュア
【画像出典元】「iStock.com/Lightstar59」

国民年金(老齢基礎年金)の受給額、過去5年間の推移は下記の通りです。

2015年度 年額78万100円
2016年度 年額78万100円
2017年度 年額77万9300円
2018年度 年額77万9300円
2019年度 年額78万100円

ほぼ横ばいのように見ますが、もう少し過去にさかのぼると、1999年度は年額80万4200円あり、年金受給額が年々減少していることが分かります。

これに対して、実際に支給されている国民年金の平均受給額は、下記の通りです。

国民年金の平均月額
2013年度 月額5万4544円
2014年度 月額5万4414円
2015年度 月額5万5157円
2016年度 月額5万5373円
2017年度 月額5万5518円
平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局)より

年々上昇しているのは、昭和36年以降、年金保険料の納付が義務化されたことが背景にあると思われます。

厚生年金についても、過去の平均的な受給額の推移を見ていきます。平成29年度末現在では14.7万円となっていますが、過去5年間の推移は下記の通りです。

厚生年金保険の受給権者が支払う平均月額の推移
2013年度 月額14万8409円
2014年度 月額14万7513円
2015年度 月額14万7872円
2016年度 月額14万7927円
2017年度 月額14万7051円
※平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局)より

少子高齢化が進むにつれて、年金受給者は増えているのに保険料を納める現役世代は減っているため、今後の年金制度が維持できるのか不安な人が多いでしょう。2004年の年金制度改正では、そんな不安を払拭するために「年金100年安心プラン」が掲げられ、5年ごとに年金財政の検証をしていき、所得代替率50%以上は必ず確保すると決められました。

当初の所得代替率は、62.3%でしたが、2019年の財政検証では61.7%に下がっています。また将来予測では2046年の所得代替率が51.9%と試算されていますので、年金が下がることは確実といっても過言ではありません。

3. 自分の将来の年金受給額を知ろう

今まで見てきたデータは、あくまでも平均的な受給額です。自分が受け取る年金額については、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を確認しましょう。

50歳未満の人に届くねんきん定期便は、今までの納付期間や納付額に応じた将来の年金受給額が掲載されています。今の年齢から60歳になるまでに納める予定の年金保険料についても計算してプラスする必要があります。特に厚生年金は、納めた保険料や納付期間によって変わりますので、将来の年金がどれくらいもらえるかは、各自計算する必要があります。

50歳以上の人に届くねんきん定期便は、現状の年金加入状況が60歳まで続いたと仮定した場合の年金受給額が掲載されています。ここで注意が必要なのは、掲載されている額はあくまでも見込み額なので、転職や給与ダウンがあると、その額は変わってきます。

3-1. 厚生年金受給額の計算方法は?

では、厚生年金の受給額はどのように計算するか見ていきます。厚生年金の受給額は、生年月日や加入期間、現役時代の平均給与の条件を合わせた計算式により求められます。

計算式については割愛しますが、簡単に説明すると下記の3つの合計額が厚生年金の受給額として計算されます。

「定額部分」
保険料を払った期間に比例した年金

「報酬比例部分」
保険料を払った期間と平均給与(標準報酬月額)に決まる年金

「加給年金額」
65歳未満の配偶者や18歳までの子供(子供に障害がある場合は20歳未満まで)がいる場合にもらえる年金

3-2. ねんきんネットで詳細なシミュレーションが可能

具体的な年金額を計算したいという人には、ねんきんネットでシミュレーションすることをおすすめします。ねんきんネットでは、今後の働き方や年金を受け取る年齢を入力すると将来の年金額がいくら支給されるかがシミュレーションできます。

例えば、50歳までは今のまま会社員(厚生年金)として働き、51歳からは独立(国民年金)、しばらく収入が見込めるので年金の受け取りは70歳まで繰り下げて受給する、といったようなケースでも簡単にシミュレーションできます。皆さんも一度試してみてください。

ねんきんネットを利用するには、パソコンやスマートフォンの「ねんきんネット」にアクセスし、登録申し込みをしてアクセスキーを交付してもらう必要があります。登録後は5営業日ほどでユーザーIDが届くのでとても簡単です。

さて、自分の年金を試算した結果、もっと年金の受給額を増やしたいと思った人もいるでしょう。ここでは厚生年金の受給額を増やす方法を紹介します。