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退職金の相場って?自己都合の場合はいつもらえるの?

そなえる 権藤 知弘

退職金の相場って?自己都合の場合はいつもらえるの?

【画像出典元】「iStock.com/katleho Seisa」

目次

勤務していた会社を辞めるときに支給される退職金。いくらもらえるのか気になりますよね?最近の傾向はどうなのかチェックしていきましょう。

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そもそも退職金とは

簡単にいえば「会社を退職する際にもらえるお金」ということになります。永年の勤務に対する褒賞金(ご褒美のお金)という意味合いもあれば、退職後の生活資金としての意味もあります。

年功序列・終身雇用など従来の雇用制度であれば、在職中の給与が低い分を退職金でカバーするようなこともありました。そのため「頑張って定年まで働けば退職金がもらえる」という企業が多かったようですが、近年では退職金が出ない会社も目立ちます。

実は退職金制度は法的な義務ではありませんので、退職金制度の有無は会社ごとに事情が異なるということになります。

退職金の相場は?

近年では転職することが一般的になり、新卒で入った会社で定年まで働くというケースが少なくなってきました。その影響から、「退職時に〇〇〇万円の定年退職金がもらえる」という話を聞かなくなりました。

また退職金制度がある会社でも勤続年数が短い場合は退職金が支給されないケースもあります。そのため相場を出すのは難しいところがあるのですが、東京都産業労働局が調査した結果によると退職金の相場は下記のようになります。


 
  http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/30chingin_2_8.pdf

東京都の結果になりますので全国的な平均値より高めとなりますが、大卒で定年まで勤務するとおおよそ1200万円程度の退職金が支給されているようです。この1200万円を最大値とするならば、定年より早い段階で退職すれば、この金額よりも少なくなるということになります。

「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって、相場が異なる

退職
【画像出典元】「iStock.com/Casper1774Studio」

上の表にもありますが退職といっても「自己都合退職」か「会社都合退職」によって退職金が異なります。

●自己都合退職
自分が希望する仕事内容・待遇を求めて転職する、転居・結婚・介護・病気療養のために退職することが自己都合退職です。希望して退職する=自己都合退職となり、一般的なケースです。

●会社都合退職
会社側の都合もさまざまですので一口には言えませんが、自分の意志に反して会社側の都合で退職するケースです。そのため「その会社で勤務を継続したいが、会社の都合で辞めざるを得ない」ということで退職金は上乗せされて支給されることが多い状況です。

上記の調査によると概ね60万円~70万円程度の上乗せがあるようですね。

ただし企業による退職金には法的義務がありません。
もし経営不振や業績悪化などにより「会社都合」で退職しても、企業の就業規則や退職金規定の内容によっては退職金が支払われないケースもゼロではありません。そのため会社都合の退職であっても上乗せがない・業績によっては退職金が払えないということもあります。

退職金はいつもらえる? 

退職金がいつもらえるかについては、会社の「退職金規定」によります。

退職金は退職後、おおよそ1~2カ月で振り込まれることが多いようです。ただし、支払いの時期に関しても企業の規定によりますので、正しい情報は会社の人事部や総務部、経理部などに確認することが必要です。また定年が近い方であれば退職金がいくらになるか?と質問しても不自然ではないと思いますが、「自己都合で退職するので、いつ退職金がもらえるか質問できない」という方が大部分でしょう。

その際は就業規則や退職金規定など会社から公表されている資料から探すか、話しやすい先輩など職場の人に聞くことになると思います。明文化されているもの以外の人づての情報だと、伝言ゲームで正しい内容が来ない可能性がありますので注意が必要です。

退職金はいつから出るの? 

退職金は賃金の後払いや褒賞金の性格があると既に述べましたが、そのことを考えると退職金をもらえる条件として一定の勤務期間が必要となります。東京都産業労働局が退職金に関して調べた際に金額と合わせて退職金を受給するための最低勤続年数も調査していました。この調査の結果は以下のようになっています。

調査した1030社中、退職金を支給する会社が730社あり、その中での回答です。
これを見ると勤続年数が3年を超えないと退職金を支給しないという会社が半数以上となっており、ある程度の年数が必要なことが分かります。

退職金制度の最近の傾向は?

それでは気になる退職金の計算方法はどのようになっているのでしょうか?
勤続年数を重視する・勤務中の功績を重視するなど企業によって算定の基準がありますので、気になる方は勤め先に確認してみてください。

退職一時金の計算方式は大きく分けると4つが主流です。

1.退職時基本給方式
退職時の基本給に勤続年数・自己都合・会社都合など退職理由など予め設定された支給率を掛けて計算されます。

2.別テーブル方式
役職など各企業で独自に定めている基準の金額と勤続年数などを絡めて算出されます。

3.ポイント制
勤続年数・役職や職能など各種にポイントを設定し、合計ポイントに合わせて退職金を決めていく方式です。

4.定額方式
勤続年数によって定められた金額を支給する方式です。長く勤めれば比例して退職金が増加していきます。

人事院の調べによると、退職時基本給方式をとっているのが全体の44%で大部分を占め、次いでポイント制が約26%、別テーブル方式が12%になっています。定額方式は勤続年数に比例をしますので分かりやすいのですが、雇用の流動化もあり近年では採用している企業も少ないようです。

その他で採用されている制度としては中小企業退職金共済(通称:中退共)という共済型の退職金制度です。中小企業が採用していることが多く、掛け金と年数によって定められており、中小企業であっても従業員に対して一定の金額の退職金を保証することが可能です。そのため、中退共で退職金を受け取られている方は多いようです。

また退職時に支払われる「退職一時金」以外に年金として受け取る制度も普及してきています。これは退職年金制度といって、年金制度などを活用して一定期間、もしくは生涯にわたって一定の給付金を受け取ることができる退職年金制度です。

年金制度の一つ目は確定給付企業年金制度(企業型DB)です。
金額の確定した退職金が給付される退職年金制度です。確定給付年金制度を活用する場合は生命保険会社などの外部へ企業が掛け金を拠出し、年金資金を管理・運用していきます。従業員から見れば年金としてもらえる金額が確定しているので安心感は高いのですが、企業側からすると運用がうまくいかず資金が不足する可能性もあるので採用している企業は減っているようです。

近年、採用している企業が増えてきたのが企業型確定拠出年金制度(以下、企業型DC)です。これは企業が毎月掛け金を積み立て、従業員自身が、自ら年金資金を運用する制度です。運用先が元本確保型・元本変動型と分けられており、運用の成績によって受け取る金額が変わります。採用した企業にとっては一定の資金以上の準備が不要なためメリットは大きいのですが、従業員側にとっては運用が伴いますので投資に関しての知識が必要です。

退職金をもらったら考えたいこと

資産運用
【画像出典元】「iStock.com/mkurtbas」

退職金を受け取ると頭に浮かぶのは資産運用ではないでしょうか?正直なところ退職金の運用はよく考えた方が良いと思います。大部分の方にとっては見たことのないようなまとまった金額が口座に振り込まれます。そうすると舞い上がってしまい、ついつい「資産運用をしなきゃ」という気持ちになりがちです。

資産運用の経験があれば別ですが、それまで資産を運用するという経験がない方がいきなり大きな金額を運用しようとするのはリスクが高くなりすぎます。もし運用をされたいのであれば株や不動産などではなく分散して投資を行う投資信託が良いでしょう。

投資信託を活用するのであれば手数料の安いバランス型の商品に毎月いくらというようなコツコツとした積立投資をおすすめします。タイミングを分けることで利益を得やすくなりますし、一時払いで損をする可能性も下がります。

また退職金の預け先はとりあえず普通の銀行口座で構いませんが、一つの口座の上限は1000万円までとしましょう。現在はもし銀行が破綻したとしても、普通預金と定期預金をあわせて1000万円までの元本と利息が保護されるようになっています。逆にいえば1000万円以上の部分は保護されません。もし退職金が多くご自身の残高が1000万円を超えるようであれば、分けて預金するということはリスクの軽減になります。

なお「退職金プランで利率が高い特別なプラン」をすすめられることもあると思いますが、それは手数料の高い投資信託の購入などが条件であることも多く、特別金利も3カ月~6カ月の期間限定ということもありますので、よく考えてからの利用をおすすめします。

パートだけど退職金がほしい! 目標1000万の退職金資金 Y.M.さん(50代女性)

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退職金をもらうまでの間に少しでも運用の知識を身に付けて

退職金は仕事を辞めることで受け取るものですので、金額がいくらなのか?いつもらえるのか?など事情が複雑です。資金の性格上、なかなか他の人には聞きにくいものですので会社の退職金規定などを確認してください。

また転職することが当たり前の時代になってきました。そのため企業では持ち運びができる退職金として企業型確定拠出年金の導入も進んでいます。確定拠出年金は運用の知識が必要です。企業型の他に個人型の確定拠出年金(iDeCo)もありますのでご自身で勉強をされることも必要になっていくと思います。

今後、退職金と年金だけで老後の生活費を賄うことは難しい時代になっていきます。退職金がいくらぐらい支給されるかを調べるのは難しいところですが、ぜひ現役のあいだに少しでも資金を増やすということをスタートさせてください。

退職金についてのQ&A

Q 退職金制度がある会社、ない会社どちらが多いのですか?

A 退職金は法的な義務がありませんので導入するか否かは各企業の判断に委ねられています。国の調べでは8割以上の企業が導入をしていますが、転職することが一般的になってきましたので「定年まで勤務して○○千万円」というようなケースは少なくなっているようです。

Q 退職金の支払い日に決まりはあるのですか?

A 退職金の有無自体が各企業次第になるため、同じように支払時期に関しても各企業によってバラバラです。早ければ1カ月から2カ月、場合によっては半年程度を要することがあるようです。

 

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