お金

退職金は退職理由で金額が変わる!何年勤務したら支給対象になる? (2ページ目)

そなえる 権藤 知弘

●自己都合退職
自分が希望する仕事内容・待遇を求めて転職する、転居・結婚・介護・病気療養のために退職することが自己都合退職です。希望して退職する=自己都合退職となり、一般的なケースです。

●会社都合退職
会社側の都合もさまざまですので一口には言えませんが、自分の意志に反して会社側の都合で退職するケースです。そのため「その会社で勤務を継続したいが、会社の都合で辞めざるを得ない」ということで退職金は上乗せされて支給されることが多い状況です。

上記の調査によると概ね60万円~70万円程度の上乗せがあるようですね。

ただし企業による退職金には法的義務がありません。
もし経営不振や業績悪化などにより「会社都合」で退職しても、企業の就業規則や退職金規定の内容によっては退職金が支払われないケースもゼロではありません。そのため会社都合の退職であっても上乗せがない・業績によっては退職金が払えないということもあります。

退職金支給時期は就業規則や会社規定をチェック 

退職金がいつもらえるかについては、会社の「退職金規定」によります。

退職金は退職後、おおよそ1~2カ月で振り込まれることが多いようです。ただし、支払いの時期に関しても企業の規定によりますので、正しい情報は会社の人事部や総務部、経理部などに確認することが必要です。また定年が近い方であれば退職金がいくらになるか?と質問しても不自然ではないと思いますが、「自己都合で退職するので、いつ退職金がもらえるか質問できない」という方が大部分でしょう。

その際は就業規則や退職金規定など会社から公表されている資料から探すか、話しやすい先輩など職場の人に聞くことになると思います。明文化されているもの以外の人づての情報だと、伝言ゲームで正しい内容が来ない可能性がありますので注意が必要です。

退職金はいつからもらえるの? 

退職金は賃金の後払いや褒賞金の性格があると既に述べましたが、そのことを考えると退職金をもらえる条件として一定の勤務期間が必要となります。東京都産業労働局が退職金に関して調べた際に金額と合わせて退職金を受給するための最低勤続年数も調査していました。この調査の結果は以下のようになっています。

調査した1030社中、退職金を支給する会社が730社あり、その中での回答です。
これを見ると勤続年数が3年を超えないと退職金を支給しないという会社が半数以上となっており、ある程度の年数が必要なことが分かります。

退職金の計算方法

それでは気になる退職金の計算方法はどのようになっているのでしょうか?
勤続年数を重視する・勤務中の功績を重視するなど企業によって算定の基準がありますので、気になる方は勤め先に確認してみてください。

退職一時金の計算方式は大きく分けると4つが主流です。

1.退職時基本給方式
退職時の基本給に勤続年数・自己都合・会社都合など退職理由など予め設定された支給率を掛けて計算されます。

2.別テーブル方式
役職など各企業で独自に定めている基準の金額と勤続年数などを絡めて算出されます。

3.ポイント制
勤続年数・役職や職能など各種にポイントを設定し、合計ポイントに合わせて退職金を決めていく方式です。

4.定額方式
勤続年数によって定められた金額を支給する方式です。長く勤めれば比例して退職金が増加していきます。

人事院の調べによると、退職時基本給方式をとっているのが全体の44%で大部分を占め、次いでポイント制が約26%、別テーブル方式が12%になっています。定額方式は勤続年数に比例をしますので分かりやすいのですが、雇用の流動化もあり近年では採用している企業も少ないようです。

その他で採用されている制度としては中小企業退職金共済(通称:中退共)という共済型の退職金制度です。中小企業が採用していることが多く、掛け金と年数によって定められており、中小企業であっても従業員に対して一定の金額の退職金を保証することが可能です。そのため、中退共で退職金を受け取られている方は多いようです。

また退職時に支払われる「退職一時金」以外に年金として受け取る制度も普及してきています。これは退職年金制度といって、年金制度などを活用して一定期間、もしくは生涯にわたって一定の給付金を受け取ることができる退職年金制度です。

年金制度の一つ目は確定給付企業年金制度(企業型DB)です。
金額の確定した退職金が給付される退職年金制度です。確定給付年金制度を活用する場合は生命保険会社などの外部へ企業が掛け金を拠出し、年金資金を管理・運用していきます。従業員から見れば年金としてもらえる金額が確定しているので安心感は高いのですが、企業側からすると運用がうまくいかず資金が不足する可能性もあるので採用している企業は減っているようです。

一方で近年、採用している企業が増えてきたのが企業型確定拠出年金制度(以下、企業型DC)です。