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退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をしてもOK?/夫婦二人暮らし家計簿相談

うちの家計簿 世継 祐子

退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をしてもOK?/夫婦二人暮らし家計簿相談

FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は53歳女性、会社員のHさん。お子さんは独立し、夫婦二人暮らしの家計についてのご相談です。

50代Hさんの相談内容は退職金の使い方

子ども二人が独立したので2020年から夫の扶養を外れ、労働時間を増やして会社員として働いています。今まで教育費など子どもにかかるお金が多く、継続した貯金ができていなかったのですが、ようやく私の手取り分は貯金と資産運用にあてられるようになりました。来年夫が定年退職予定なので、退職金から住宅ローン残高の一括返済を考えています。
水回りのリフォームなども検討したいのですが、退職金の使い方で気をつける点はありますか。

Hさんの家計簿は・・・?

夫婦二人の収入の合計が50万5000円です。手取りの約33%の16万6000円を貯蓄とつみたてNISAにあてることができています。(貯蓄10万円、つみたてNISA6万6600円)
子育てが一段落したことと、Hさんご自身の収入がアップしたこともあり、Hさんの手取り相当分を貯蓄と資産運用にあてることができています。

住宅ローンの返済方式、繰り上げ返済のメリットとデメリット

住宅ローン
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住宅ローンを繰り上げ返済することで得られるメリットとしてまずあげられるのが、利息の軽減効果です。
住宅ローンは借りた元金に加えて利息を払う必要があります。例えば、借入金額3000万円、借入金利1.2%、借入期間35年とすると、返済総額は3675万4200円となり、利息だけで675万4200円となります。
この利息を減らすことができる繰り上げ返済は大きなメリットといえます。

ただし繰り上げ返済の時期に応じて、利息の軽減効果に大きな差が出ることに注意が必要です。

一般的には、住宅ローンの返済方式として「元利均等返済方式」を選択されている方が多いです。「元利均等返済方式」は返済額が一定額で、返済計画が立てやすいことが特徴です。特に変動金利で借入後に借り入れ金利が上昇したときに、支払いの負担が急増するリスクを軽減する効果があります。 

返済開始時期は毎月の返済額の多くが利息となっているため、ローン開始から早い時期に繰り上げ返済をすれば、返済した元金に対しての利息の軽減効果は大きくなります。

しかし、返済終了間際では毎月の返済額の多くを元金が占めているため、この時期に繰り上げ返済をしても利息の軽減効果は大きくありません。

Hさんはローンの返済終了まであと5年、借入金利も高くないので利息を軽減する効果は低くなります。

繰り上げ返済のデメリットとしては「手元資金が少なくなること」があります。また、借り主が団体信用生命保険に加入しており、住宅ローンの返済中に亡くなるなど万一のことがあった場合は、保険金により残りの住宅ローンが弁済されますが、ローンを完済してしまえばこの保障がなくなることも気をつけておきましょう。

Hさんのご主人が加入している団体信用生命保険には死亡時の保障以外に、悪性のがんに罹患した場合も住宅ローンの支払いが免除される保障内容になっています。残りの住宅ローンの残金分を完済しても手元資金に余裕があり、団体信用生命保険の保障がなくなっても今後のライフプランに影響がないかを確認することも大切です。

まずは退職時に繰り上げ返済をした際の利息の軽減効果を金融機関に確認してみましょう。
住宅ローンを完済できる計画を見通すことができていれば、利息軽減効果が低い時期に繰り上げ返済を行うメリットは大きくないといえるでしょう。

また、Hさんのように今後住宅のリフォームを検討されている場合は、リフォーム費用の捻出もライフプランに盛り込んで計画的に準備し支出することが大切です。リフォームのイメージを具体的にしながら、見積もりなども確認し予算をとっておきましょう。

住宅ローンと違い、リフォームのローンには団体信用生命保険などはありません。借り主が亡くなっても支払う必要があります。リフォーム費用も範囲や内容にもよりますが、思ったよりも大きな金額が必要になることがありますので具体的に検討を始めてみてください。

退職前に確認しておきたいこと

穏やかに過ごすシニア夫婦
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グループ保険

Hさんが現在加入中の保険はご主人のグループ保険(勤務先の団体保険)です。退職後も継続できる場合もありますが、死亡保障の保険金額の上限が下がったり、医療保障の内容が変わるなど大きく保障内容が変わる場合もあります。退職後継続できる場合も、保険料や支払い方法の変更点など具体的に確認しておきましょう。退職後のグループ保険の内容を事前に確認しておきましょう。退職後、収入に変化が生じる場合は、公的な社会保障の保障内容も変わってきます。

収入が減る場合は、高額療養費など医療費の自己負担額の上限も下がるのでそれにあわせて必要な保障を再度検討するようにしてください。

ねんきん定期便

Hさんご夫婦の「ねんきん定期便」の確認は済んでいますか。
「ねんきん定期便」は、60歳まで現在の加入状況が継続した場合に65歳から受け取れる年金の見込み額が記載されています。
65歳まで働き厚生年金に加入した場合は、将来の年金の受け取り額も変わってきます。
ねんきんネット」 でご自身の年金情報を確認しておきましょう。

将来の年金見込み額も確認することができます。60歳まで働いた場合と65歳まで働いた場合、年金額がどのくらい変わってくるか事前に確認しておくことをおすすめします。将来の収入の基本である年金の仕組みは、ご夫婦で理解を深めておくことが大切です。

ご夫婦で年金をいつから受け取るかなど検討しておくと、ご自身のライフプランにあった受け取り方を選択できます。

<アドバイスを受けたHさんより>
借りているお金は早く返してしまおう!と住宅ローンの一括返済を考えていたのですが、利息がいくら減るかなど全く気にしていませんでした。夫の会社のグループ保険も確認したところ、死亡保障は一生涯のものではなかったので今後のライフプランとあわせて保険のことも考えることにします。全体のことを考えることが大切ですね。

家計簿診断を終えて

「とにかく早く住宅ローンを返済しよう」と考えて、退職時に一括でローン残高の一括返済をされる方も少なくないように思います。

退職時のライフプランを立てた上での返済であれば問題ありませんが、一括返済後の思わぬ出費や、年金が思ったより少なく老後の生活のやりくりにハラハラしているというご相談もあります。人生100年時代、長期的なお金の計画を立てて支出することが大切です。

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