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GAFAの動きはゆっくり?「金融業新規参入」の今後を展望

経済とお金のはなし 伊藤 寛

GAFAの動きはゆっくり?「金融業新規参入」の今後を展望

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異業種企業の金融サービス参入が相次いでいる。今回は、日本国内の動きをおさらいしながら各社の思惑をひも解いていく。金融業に参入するとすれば、世界経済に最も大きな影響を与えるのはいわゆるGAFAだ。その気になれば一気に金融業界を席巻しそうにも思えるが、意外にもその動きはゆっくりだ。各者の参入状況を振り返り、今後を展望しよう。

ファミマやIKEAも参入…ユニクロは三井住友とタッグ

まずはここ最近、国内外で発表された小売業の金融業参入のトピックをおさらいしたい。ファミリーマートは2月、個人に少額のお金を貸し付ける「FamiPayローン」を発表した。「FamiPay」アプリから申し込むことで、登録した銀行口座に直接お金が振り込まれるというもので、2021年夏以降に開始予定。提携先の新生銀行が与信を管理する。

海外に目を転ずればIKEAも2月に提携先のスウェーデン・イカノバンクの株式を買収し、IKEA利用客向けの金融サービスに乗り出した。

決済分野にも目を移せば、ユニクロは1月から「UNIQLO Pay」の提供を始めている。これは三井住友銀行との協働だ。このように小売業の金融、決済関係の事業参入には既存銀行の助けが欠かせないことが分かる。

調査会社のIDCによると、今年金融以外の事業者が金融関連にかける費用は638億円と前年から32.5%増える見込み。小売業者にとっては、金融サービスを単独で手掛けるよりは銀行と組んだ方が手っ取り早い。銀行各社も小売りと手を組みながら影響力を大きくしている。

GAFA「F」のデジタル通貨は発行間近?懸念も

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一方、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の状況はどうか。ここ数年、着々と歩みを進めているように見えたが、既存勢力の抵抗もありスムーズには進んでいない面もある。代表的なものはFacebookの暗号通貨「Libra」だろう。

Facebookは銀行口座を持たない人にも金融サービスを提供しようと2019年6月、28の世界的企業、団体とともにデジタル通貨「Libra(リブラ)」を開発すると発表。ビットコインのように管理主体を持たない仮想通貨とは違い、基本的にFacebook主導で運営する意図を持っていた。

しかしVISAやマスターカード、PayPalなどLibraを支援する「仲間」が続々と離脱。2020年4月になって計画を大幅に修正し、Facebookの関与を大幅に狭めることにした。2020年12月に入り、Facebookはデジタル通貨の名称を「ディエム(diem)」に改称している。

Facebookのこの動きについては、アメリカなど各国が懸念を示していた。Facebookが巨大なデジタル通貨の管理主になると、既存の国家や金融機関に大きな打撃となると懸念されたことが大きいようだ。

diemは3月中にも発行されるとの報道もあった。だが本稿執筆時点では未発行。各国の中央銀行が発行を目指すデジタル通貨と摩擦を生むのではとの指摘も相変わらず。マイクロソフトのブラッド・スミス社長すらも懸念を表明している。

GoogleやApple、Amazonはサービス立ち上げへ着々

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そんな中でも、Googleがアメリカのシティグループなど複数の金融機関と組んで銀行口座を提供するサービスを立ち上げる動きが見られる。Appleも2019年、ゴールドマン・サックスと組んで「Appleカード」を発行したが、これが2021年にも日本に上陸するとの観測もある。Amazonも2020年6月、ゴールドマン・サックスと組んで、アメリカの販売者に向けたローンを開始した。

GAFAなど巨大テック企業の金融業参入に対し、アメリカでは賛否が分かれている。アメリカの銀行を監督する米連邦預金保険公社は昨年12月、金融業参入に関連するルールを事実上緩和した。

だが銀行業界や米民主党からの抵抗を受けるなど、順風満帆にいくとは限らない情勢とも思える。GAFAの金融業参入に向けては銀行との協力が不可欠だ。

結局のところ、国内外で事業者の金融業参入へのニーズは非常に高く、GAFAもいずれ本格的に足を踏み入れることになるだろう。一方で各事業者が持つ個人情報が安全に扱われるのか不安視する声はもともと多い。

巨大な顧客データを抱えるGAFAであっても、それを全て金融業に転用できるとは限らない。事業者と国家、銀行とのすり合わせはまだまだ続きそうだ。そして実際にサービスを始めるとなると、個人情報の取り扱いに関する消費者への「許可取り」がスムーズに進むかも焦点になってきそうだ。