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株主優待で始めてみる初心者株式投資、始め方や銘柄の選び方をFPが解説

ふやす 中村 賢司

株主優待で始めてみる初心者株式投資、始め方や銘柄の選び方をFPが解説

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株式投資と聞くと、銘柄選びが難しい点やまとまった資金が必要となるなど、ハードルが高いと感じる人が多いかもしれません。しかし、少額で買える銘柄も数多くあります。

この原稿を書いている5月14日時点では、東証1部上場企業の2191銘柄のうち、10万円以下で買える銘柄が684社、5万円以下で買える銘柄が214社もあります。

また株式投資の魅力のひとつとして株主優待があります。銘柄選びが難しいという方は、優待目的で始めるのも良いでしょう。

今回は初心者が始める株式投資と株主優待の魅力について解説します。

株主優待ってどういうもの?少額でも始められる?

株主優待とは、投資した会社から自社商品(食品、缶詰、調味料、飲料など)や、自社の商品券や食事券、割引券などがもらえる制度です。

後述する値上がり益や配当金とは別にもらえるものなので、投資した金額に対して株主優待も利益と考えれば、ますます株式投資が魅力的に思えるでしょう。

一般的に株主優待をもらうためには単元株(一定数の量の株式数のこと ※銘柄により量は異なる)で保有しなければいけません。通常、株の売買は100株単位で行われるので、ミニ株投資で1株や2株といった単位で保有していては株主優待をもらうことができません。

しかし、前述したように10万円以下で買える銘柄や5万円以下で買える銘柄もあるので、少額からでも株主優待を目的とした株式投資を始めることができます。

また、株を購入する際、NISA(少額投資非課税制度)を利用すると売却益が非課税となります。
しかしつみたてNISAやイデコ(個人型確定拠出年金)のように一般的に積み立てはできません。一部の証券会社で「るいとう(株式累積投資)」といって、積み立てで株を購入することができますが、単元株になるまで株主優待をもらうことができません。

株式投資の魅力は「値上がり益」「配当金」「株主優待」

優待券を手にして喜ぶ女性
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1.「値上がり益」

株式投資の魅力はなんといっても「値上がり益」でしょう。安い価格で購入して高い価格で売却することで得る利益のことで、この利益のことを「キャピタルゲイン」といいます。

しかし、自分が購入しようとしている会社の株価が「今、高いのか、安いのか」については迷うところですね。これはプロでも判断が難しいでしょう。過去の値動きを見て分析することはできても、将来の価格を予測することは難しいといえます。

まずはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標を見て、今の株価が割安か割高かなど自分なりに分析してみると良いでしょう。

一般的にPERもPBRも数値が低いほど割安なので、銘柄選びに迷ったときは、それぞれの銘柄の指標を見比べてみてはいかがでしょうか。PERやPBRの数値は証券会社のホームページでも確認することができます。

2.配当金

続いて株式投資の魅力、2つ目が配当金です。企業活動を行って決算の際利益が出た場合はその利益を株主に還元するというものがこの配当金です。

企業の業績が良ければ毎年決算の都度配当金を受け取ることができるので、継続的な収入という意味で「インカムゲイン」ともいわれます。頻繁に売買しなくても1つの銘柄を保有し続けるだけで、毎年利息のような感覚で配当金がもらえるのは嬉しいですね。

自分が投資した金額からもらった配当金を逆算して配当利回りというものが求められます。

配当金÷投資した金額×100=配当利回り(%)

東証1部上場企業の平均的な配当利回りは1.86%(2021年4月時点)といわれています。安定した企業に投資するのであれば、銀行預金に預けているよりもかなり魅力的ですね。

3.株主優待

株式投資の魅力の3つ目が株主優待です。自社商品や商品券、食事券や割引券などがもらえるので、それを金銭に換算すると配当利回りがさらに良くなると考えることもできます。株主優待を金銭に置き換えて優待利回りが〇〇%というような考え方もあります。

この株主優待や配当金をもらうためには決算月の月末に株を保有している必要があります。ということは、1年中保有していなくても決算月だけ保有していれば配当金や株主優待をもらうことができるのです。

もう少し詳しく解説すると、決算月の月末だけ持っていれば良いというわけではなく、通常月末が権利確定日であれば、その権利確定日の2営業日前が権利を得られる最終日となります。例えば31日が権利確定日であれば、その2営業日前の29日が権利付き最終日となります。その翌日の30日は権利落ち日といって、この日に保有していても配当金や株主優待はもらえません。

株主優待の探し方・選び方

株主優待には割引券や商品券、食事券といった金銭的なものや、飲料品や食品、日用品、カタログギフトといった現物的なものもあります。

例えば、ファーストフード店や牛丼チェーン店の会社の株を保有すると食事券がもらえたり、航空会社であれば搭乗割引券がもらえます。また、遊園地やホテルなどの会社であれば施設利用券や宿泊券などをもらうこともできます。百貨店やスーパーなどの企業であればそのお店で使える金券やクオカードをもらうこともできます。

これはを金券ショップに持参すれば換金することもできますし、オークションサイトで売買している方もおられます。

また、家計にとってうれしいのが食品や日用品などの現物です。

例えば、飲食料品メーカーならインスタント食品や缶詰・缶ジュースなどがもらえるので、食費の足しになりますね。調味料のメーカーであればケチャップやマヨネーズ、塩コショウといった調味料がもらえますし、日用品のメーカーであれば洗剤や石鹸などをもらうことができます。

中にはカタログギフトを送ってくれる会社もあるので、メーカーではなくても現物をもらうことができる会社もあります。

さらにユニークなところでは、宝くじを株主優待としてもらえる会社や、電子書籍のチケットをもらえる会社もあります。

FPに寄せられる株式投資・株主優待のよくある相談

選択に迷う女性
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私たちファイナンシャルプランナーに寄せられる株式投資のご相談として一番多いのが、どの企業に投資すれば良いかという銘柄選びです。

この点については、あくまでも自己責任という前提で相談者に決めてもらっていますが、前述したように投資しようとしている会社の株価が割安か割高かという指標の見方については理解をしてもらうようにしています。

前述したPERやPBRといった指標の他にも、ROE(自己資本利益率)やROA(純資産利益率)などもありますが、ここでは割愛いたします。

株式投資の初心者が先ずどの銘柄を選ぶか迷ったときは、いつも使っている商品やサービスの会社、自分が好きな会社などに投資をするのもひとつかもしれません。また、株主優待の優待内容が魅力的な会社を選ぶという視点も良いと思います。

もちろん財務内容を確認することが必要ですが、そこまで分析することができない人は自己責任で自分の好きな会社や株主優待が魅力的な会社を選んで投資するのもひとつでしょう。難しく考えず、まずは少額からでも良いので始めてみましょうと、いつも私はアドバイスしています。

株式投資を始める場合の手続き・手順

株式投資を始めるにはまず証券会社に口座を開設しなければいけません。証券会社には店舗がある大手証券会社から店舗がないネット証券までいろいろな証券会社があります。

①まずは証券口座を作ろう

読者の皆さんはインターネットに慣れている人が多いでしょうから、手数料が安いインターネット証券がおすすめです。インターネット証券のホームページにアクセスして、口座開設の画面に住所や氏名、生年月日などを入力し本人確認書類を提出すれば、証券会社からログインIDやパスワードの情報が送られてきます。

②証券口座に入金しよう

証券口座を開設するということは銀行の口座を持つようなイメージです。その口座にお金がなければ株を買う事はできません。まずは証券口座に入金をしましょう。通常ネット証券であれば都市銀行やネット銀行と連携させ、リアルタイムでの入出金が可能です。インターネットバンキングを利用していない人は、証券会社から送られてくる書類に入金口座が指定されていますので、そちらに振り込めば自動的に証券口座に振り込んだお金が反映されます。

③購入したい会社を選ぼう

証券会社のホームページにはスクリーニング機能というものがあり、購入したい銘柄を検索することができます。業種や投資金額などで絞り込むことができる機能です。また、前述したように自分が好きな会社や魅力的な株主優待の会社を選んでも良いでしょう。

④注文を入れよう

購入したい銘柄が決まったら次に注文を入れます。通常は平日9時~15時の時間帯で証券市場が動いていますので、その時間帯に売買をします。売買の仕方としては「成り行き注文」と「指値注文」があります。
指値注文とは、自分が買いたい金額を決めて注文を入れる方法です。例えば1株100円の株価の株を90円の価格で注文を入れても株価が90円に下がるまで注文が成立する事はありません。

逆にいくらでもいいからその株を買いたいという注文方法が成り行き注文です。成り行き注文とは現在売り注文が出ている株価で購入する注文方法で、注文が成立するまでいくらの株価で購入できるか分かりませんが、通常現在の株価かそれより少し高い程度の価格で購入することができます。

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まとめ

今回は初心者が株式投資を始めるにあたりどのように始めれば良いか、株主優待にはどのようなものがあるのかについてまとめてみました。特に以下の点について理解を深めていただければと思います。

株式投資をした後は、やはりその会社の財務内容や株価の値動きを常に気にする必要があります。決算内容が悪い、不祥事が起きるなど、ネガティブな情報が発表されれば株価は敏感に反応し下落してしまうこともあります。

よって株式投資は余裕のある範囲で行うようにしてください。初心者の方は少額かつ損をしても良い程度の気持ちで始める方が良いでしょう。

株や投資の始め方についてのQ&A

Q.株初心者ですが、まとまった資金がないと株取引はできませんか。

A.通常株式投資は100株単位で行いますが、ミニ株投資といって証券会社によっては1株から買うこともできます。手数料は少し割高となりますが、ネット証券を中心にミニ株投資ができるので自分が気になる銘柄があれば1株や2株といった小さい単位(単元未満株といいます)で株取引するのも良いでしょう。

Q.株主優待生活に興味があります。株主優待券や配当金で生活することはできるのでしょうか。

A.  2021年4月時点の東証1部上場企業の配当利回りが1.86%なので、月20万円の生活をしようと思うと元手が1億3000万円ほど必要です。株主優待も加味するともう少し少ない投資金額でも生活できそうですがいずれにしても配当金や株主優待だけで生活するには元手が必要です。

しかし毎月決算時期の銘柄だけを権利確定日に保有して権利落ちの日に売却するというように、毎月売買していけば少額でも優待生活ができるかもしれません。一般的に権利確定日と権利落ち日では株価はその分だけ下落しますので損をする可能性もあります。気になる方は株主優待で生活をしている人のブログなどを参考にしてみるのも良いかもしれません。