こんなに違いが出てくる?産業別、年代別に給与・賃金の違いを紹介
あなたは何のために働いていますか?自分のやりたいことを実現するために働くという人もいますが、大前提として、働くことで生活の糧を得るということは外せません。給与がどれくらいなのか、お休みはどれくらい取れるのか、などが気になるのは当然のことです。
今回は産業や年代が違うと給与がどれくらい違うのかにフォーカスしていきます。
給与・賃金は将来どのくらい違いが出てくる?
就職活動・転職活動、アルバイトなどを探すときに見るのが求人サイトですが、みなさんはどのポイントから見ますか。業種・勤務地よりも先に見るのは給与欄ではないでしょうか。
産業別の比較
まずは厚生労働省がまとめている賃金構造基本統計調査から産業別に全年齢の平均賃金【年収ベース】を比較してみましょう。
男性では、「金融業、保険業」(461.7千円)が最も高く、次に「教育,学習支援業」(451.9千円)、「宿泊業、飲食サービス業」(278.7千円)が最も低くなっています。
女性では、「教育、学習支援業」(317.1千円)が最も高く、次に「情報通信業」(306.3千円)となっており、男性と同じく「宿泊業、飲食サービス業」(206.0千円)が最も低くなっています。
全体として金融・保険業界が最も高くなっています。これは専門的な知識やスキルなどが賃金の高さと関係しているのではないでしょうか。
また男女ともに宿泊業・飲食サービス業が最も低くなっていますが、業種的に価格競争に巻き込まれやすく人件費を抑えられている側面があります。ちなみに筆者は大学卒業後に飲食業・宿泊業⇒保険業、ファイナンシャルプランナーと転職をしてきましたので実感として「そうだろうな」と共感できる部分が多々あります。
上記の表を見ると、どの産業も20~24才の段階では大きな差はありません。おおむね年収ベースで200万円台前半です。しかしながら30才を迎えるころから上昇率に違いが出始めます。男性であれば40代後半から50代前半で賃金のピークに達しますが、この年代になると倍ぐらいの違いがあります。単年度で見ればそれほどではなくても、生涯年収で見れば相当の違いが出ています。
また雇用形態による違いでいえば、正社員・正職員と正社員・正職員以外の比較では大企業で正社員を100とするとそれ以外の雇用形態は60程度となり大きな格差が出ています。
企業規模別に年代比較
続いて企業の規模によって賃金にどのような違いが出るかを見てみましょう。
上記の表は企業規模の違いによる令和元年の年代毎の平均年収をグラフにしたものです。表を見てみると30代から顕著な違いが出始めることが分かります。大企業と小企業で50代前半にピークを迎え、中企業は定年間際にピークがきています。大企業では50代半ばで役職定年を迎えて給与が下がるケースが多く、中企業では役職定年の仕組みを取り入れていない企業が多いため、50代後半にピークがくるものと考えられます。
この表を見てみると、大企業と中小企業とで大きな違いはないように見えますが、大企業と小企業では月当たりに換算すると5万円程度の違いがあります。毎月5万円であれば年間60万円、10年で600万円の差があるというのは、やはり大きな違いですね。
まとめ
産業や企業の規模などによって賃金に大きな違いがあることは事実です。また仕事に対する思いも人によって異なります。そのため給料が高いことが正しいということもなく、また一方でやりがいだけを求めることも違うでしょう。
「労働時間や拘束時間が長いけれど、やりがいがあるから給与は安くてもいい」という考えを否定はしませんし、「やりがいはあるけれど労働時間や拘束時間が長いし給与が安い」という方も非常に多く見受けられますが、特に若い人はやりがい搾取に注意してください。
やりがい搾取とは、知識や経験など仕事で得られるやりがいを理由に労働時間や内容に見合う賃金を支払わずに不当に働かせることをいいます。やりがい搾取にあうと、金銭的に不利なこと(昇給しない・サービス残業を強いられる)や健康を害する可能性もあります。
ライフプランを考えるうえで仕事は非常に重要なテーマです。収入はもちろん、働き方や自分自身の時間・家族との時間にも関係してきます。自分にとっての優先順位を考えてみると違う方向が見えてくるかもしれません。
最後に筆者が作った表を添えます。現在の仕事について改めて「好きか嫌いか」「向いているか向いていないか」「給料が安いか高いか」を考えてチェックしてみてください。頭の中だけで思うだけでなく、紙に書きだして「見える化」してみることで、今の仕事への満足度や、これから今の仕事を続けるのか、別のことをしたいのかなど、自分の将来を考えるヒントになるのではないかと思います。
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