知らないと損!役所に申請すればもらえる手当金・給付金一覧
少子高齢化など世の中の変化に伴い、税金や社会保険料の負担が増していますが、一方、手当金・給付金も整備されています。これらは役所に申請し、請求手続きをしなければ受給できないため、対象者であるにも関わらず、制度を知らないせいで給付金をもらっていない人も少なくないでしょう。今回は、知っておきたい手当金・給付金を紹介していきます。一部、自営業者やフリーランスなどの方は該当しないものもありますので、ご了承ください。
ケガ・病気関連の手当金・給付金
傷病手当金
病気やケガで、3日以上連続して仕事を休んだ場合、4日目から手当が支給されます。
給付額は、
傷病手当金=標準報酬月額÷30日×2/3
で、最長1年半支給されます。
健康保険からの手当てで、職場で手続きできます。
障害年金
たとえば、上記のように傷病手当金を受け取りながら治療や療養をしていたとします。
その後、障害が認定され一定の要件を満たすと障害年金が受け取れるようになります。
障害基礎年金
1級・・780,900円×1.25+子の加算
2級・・780,900円+子の加算
障害厚生年金
1級・・(報酬比例の年金額) × 1.25(*)
2級・・報酬比例の年金額(*)
3級・・58万5000円
*一定の配偶者がいるときは、加給年金22万4700円加算
手続きは、日本年金機構または、役所で行います。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
コロナの影響で休業させられた労働者のうち、その間に賃金(休業手当)が受け取れなかった場合に支給されます。一定の時短勤務となった場合も対象です。
支給額は、休業前の一日当たり平均賃金×80%×30日(または31日)―(就労した、または労働者の事情で休んだ日数)
*支給額は1万1000円/日が上限。ほか要件あり
厚生労働省にオンラインまたは郵送で申請します
高額療養費制度
ひと月の医療費負担が一定以上となった場合に超えた分が手当てされる健康保険の制度です。収入によって負担上限が異なりますが、一般的な所得の場合9万円程度が目安です。
加入している健康保険に申し出ます。
医療費控除
1月から12月までの医療費負担が10万円以上となった場合に超えた分が所得控除されます。これによって所得税や住民税や安くなり節税に繋がります。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)―10万円(*)
*総所得金額が200万円未満の人は、その5%の金額
勤務先の年末調整では手続きできないため、税務署に確定申告をします。
出産・子育て・就学関連の手当金・給付金
出産育児一時金
妊娠4カ月以上の人が出産した場合、一児あたり42万円(医療機関が産科医療補償制度に加入している場合)が健康保険から支給されます。扶養する妻が出産した場合も申請できます。
出産手当金
勤務している女性は、出産前後に産前6週、産後8週の休暇があります。その間、出産手当金が支給されます。
一日当たりの支給額は以下です。
出産手当金=標準報酬月額÷30日×2/3
加入している健康保険に請求します。
児童手当
中学校卒業までの子供を養育している人が受給します。
受給額は、
~3歳未満 15,000円
~小学生 10,000円(第3子以降は15,000円)
~中学生 10,000円
です。
一定の所得を超える場合は、一律5000円です。
高等学校等就学支援金
高等学校の授業料の負担を軽減するための支援金です。
所得制限があります(モデルケースで年収910万円未満が目安)。
公立高校 118,800円(授業料相当額)
私立高校 396,000円(最高額)
失業・求職・休業関連の手当金・給付金
失業給付
一般に失業給付などと言われることが多いですが、正式名称は「基本手当」といいます。
次の仕事が見つかるまでの一定期間の生活をささえるものです。給付額は、失業の理由や勤続年数によって異なり次のようになっており、ハローワークに申し出ます。
1日当たりの支給上限額
~30歳未満 6760円
~45歳未満 7510円
~60歳未満 8265円
~65歳未満 7096円
再就職手当
上記の基本手当の受給期間が1/3以上残っている人が仕事に就いた場合、基本手当にかえて受け取る手当です。
所定給付日数の支給残日数×給付率(60%または70%)×基本手当日額
こちらもハローワークで手続きします。
教育訓練給付金
中長期的なキャリア形成や、就業促進を支援する目的で対象となる研修等を受講した場合に費用の一部が支援されます。ハローワークに申し出ます。
一般教育訓練給付金の場合
教育訓練経費(研修・授業料等)×20%(上限10万円)
*その他、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金などあり
育児休業給付金
出産手当金を受け取った後は、雇用保険から育児休業給付金が受け取れます。給付額は次のようになっています。
最初の6カ月・・賃金日額×67%
子供1歳まで・・賃金日額×50%
(*保育園に入れないなどの場合は、最長2歳)
一般に職場の総務課などで手続きをします。
介護休業給付金
介護のために仕事を休んだ場合に支給される給付金です。
1回の休業で最長3カ月。通算93日まで。
給付額は、
介護休業給付金=賃金日額×67%
*給与が支給される場合調整あり
手続きは、一般に職場を通じて行います。
住まい関連の手当金・給付金
住宅ローン控除
マイホーム購入時に利用する住宅ローンの残高に応じて10年間(または13年間)税額控除を受けることができます。
控除額は、
年末の住宅ローン残高×1%
*11年目~13年目からの計算方法は別途
すまい給付金
消費税増税に伴い住宅ローン控除の枠が拡大されましたが、所得によっては十分に活用できないケースがあります。すまい給付金は、住宅ローン控除の恩恵が十分に受けられないなどという人への給付制度です。
給付額・・最大50万円
空き家の改修・処分費の税制控除
相続等で取得した空き家を令和5年12月末までに売却した場合、もうけ(譲渡所得)の金額から最高3,000万円を控除でき税金の負担を抑えられます。確定申告が必要です。
子育て世帯への補助
子育て世帯を応援するため各自治体が独自に行う、住宅取得補助や家賃補助があります。ここでは、福岡県が行う「リノベーション促推進事業補助金」のうち「流通型子育てリノベーション」を紹介します。
中古住宅を購入後に、子育て対応改修や新しい生活様式対応改修のための工事をする場合に適用され、補助額は以下です。
子育て対応改修・・ 補助率1/3(限度額25万円)
新しい生活様式対応改修・・補助率1/3(限度額15万円)
*合計最大限度額40万円
年金・家族の死亡関連の手当金・給付金
企業年金
前の勤務先に企業年金があり、退職時に一括で受け取っていない場合は、受給開始年齢になった際に請求することを忘れないようにしたいものです。
特に、結婚で姓や住所が変わったというような場合は、通知が届かず気付かないことも多いようです。企業年金連合会や勤め先に連絡して請求するようにしましょう。
埋葬料
亡くなった人が加入していた健康保険から5万円が支給されます。
相続税の控除
相続が起こった場合、財産が多くあり、相続税がかかるときに知っておきたいのは配偶者の税額の軽減です。
配偶者が受け取る財産については、
・法定相続分(法律で定められた相続分)相当額
・1億6千万円
のいずれか多い金額までの相続税はかかりません。税務署へ相続税の申告が必要です。
寡婦年金
自営業者等で国民年金の加入期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、婚姻期間が10年以上ある妻が受け取れる年金です。日本年金機構または役所で手続きします。
寡婦年金=夫の老齢基礎年金額×3/4
ひとり親控除など
婚姻がない、または、配偶者の生死が明らかでない場合に受けられる所得控除です。
年末調整、または、確定申告で手続きします。
ひとり親控除・・35万円
今回は、申請すると受け取れる給付金・手当についてみてきました。まずはどのような給付金等があるのかを知っておくだけでも、いざという時ヒントとなり役立ちます。実際に利用する場合は、具体的な要件や手続きなど各機関に問い合わせましょう。