子供の扶養、公務員と会社員の共働き夫婦ではどっちがメリット大?
今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、間もなく出産を迎える共働きのNさん夫婦が、子供をどちらの扶養にすべきか迷っているという相談です。
30代共働き夫婦Nさんの相談
子供がもうすぐ生まれます。夫は会社員、私は地方公務員(教員)で、収入はほぼ同額で月30万前後です。どちらの扶養に入れるのか、どちらの健康保険に入れるのかで悩んでいます。支出は抑えたいですし、手厚さもとりたいです。
扶養は税金、健康保険、扶養手当の3点から検討を
ご出産を迎えられるとのこと、おめでとうございます。
Nさんは公務員で、夫は会社員。子をどちらの扶養に入れるのが良いかというご相談ですね。
扶養は「税金」「健康保険」「扶養手当(家族手当)」という3つの視点で考えます。
まず、税金です。こちらは、子が小さいうちは特段気にする必要はありません。なぜなら、税金に関する扶養は、16歳以降の子を扶養している場合にしか関係しないためです。
16歳以降は「扶養控除」という所得控除の対象となり、所得税や住民税を抑えることができますが、当面の間この控除は対象外となります。少し先のことになりますが、扶養控除を受けられるようになった場合は所得が多い方、つまり、所得税率が高い方の扶養にする方が有利になります。
なお、扶養控除がない代わりに、3歳未満は月額1.5万円、中学卒業の15歳まで月額1万円の児童手当が受け取れます。児童手当は、世帯主の所得要件が影響しますが、現状気にしなくて良さそうです。
公務員の健康保険は充実、しかし夫の方が有利な場合も
次に健康保険についてです。
Nさんは教員でいらっしゃるので、公立学校共済組合に加入されていると思います。公務員の保障は、一般的な健康保険(協会けんぽ等)より手厚い保障になっているため、Nさんの扶養にすることを検討したいところです。
例えば、ひと月の医療費の負担上限が一定額を超えた場合に超えた分を手当てしてくれる「高額療養費」という制度があります。
一般的な健康保険では、通常、負担上限が約9万円ですが、Nさんが加入している健康保険では、この高額療養費に加え「一部負担金払戻金・家族療養費附加金」という付加給付があるため、ひと月の医療費の自己負担は2万5000円に抑えられるようになっています。
ただ、夫が大企業に勤めるなどで健康保険を会社独自で運営している「健康保険組合」に加入されているのなら、Nさんの健康保険より更に手厚い保障となっている可能性もあります。その場合は、健康保険の給付内容をそれぞれ比較してみましょう。
会社員の夫がもらえる扶養手当
最後に、職場からの手当てです。子をそれぞれの扶養とした場合に基本給に上乗せされる扶養手当の額を比較します。
例えば、福岡県の教職員の場合、子1人につき1万円/月が支給され、更に16歳~22歳になると5200円が加算されるようになっています。自治体によって幅があるようです。夫の給与規定がどうなっているのかも確認してみましょう。
このように、子の扶養をどちらにするか検討する際は、税金、健康保険、扶養手当の3点を比較してみましょう。
社会保障は妻、扶養手当は夫などと良いとこ取りができれば良いですが、これらはどちらか片方の扶養とするのが通常です。総合的にメリットを感じる方を選択されてください。