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戸建てとマンションでは、どっちがお金かかる?/30代男性相談

FPにききたいお金のこと 権藤 知弘

戸建てとマンションでは、どっちがお金かかる?/30代男性相談

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30代男性Kさんからの相談内容

子供が5歳・3歳の4人家族で、ゆくゆくはマイホームの購入を考えています。土地から戸建てを建てるか、マンション購入をするか迷っています。税金面や維持コストの違いなど教えて欲しいです。

マイホームに関係する税金について

Kさん、こんにちは。家族で暮らすマイホームを計画中ということで一番楽しい時期ですね。お尋ねの通り税金や維持コストは大事な問題です。

マイホームを購入してびっくりするのが税金関係です。どんな税金が発生するのでしょうか?

1.戸建て・マンションを問わず不動産を購入するときに発生する税金

  • 印紙税    →購入時の契約書に課税されます
  • 登録免許税  →不動産を登記するときに課税されます
  • 不動産取得税 →不動産を取得したときに課税されます

上記の税金は購入時のみに発生し、税額は物件金額に左右されるので、戸建てやマンションで基本的に大きな違いはありません。

2.家を購入した後、毎年納税が必要な税金

毎年納税が必要なものとして固定資産税と都市計画税が挙げられます。

固定資産税
土地や家屋など不動産を所有している人に納税義務があります。固定資産税は毎年1月1日現在の不動産の所有者に対して一定の税額が課税されます。なお戸建て・マンションのどちらとも、土地と建物の二つに分けて各々に課税されています。

またマンションでは、土地は敷地全体のうち敷地権割合で課税され、建物は専有部分と共有部分を持ち分で割ったものを合算して課税されます。

都市計画税
各自治体が定めている都市計画区域のうち、市街化区域内に所在する土地や家屋などの不動産を所有する人に対して課される税金です。

都市計画区域は市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域の3つがありますが、このうち都市計画税が課されるのは毎年1月1日時点で市街化区域内に不動産を所有しているケースです。課税するのは各自治体で、通常は固定資産税と一括で納税します。

大まかに不動産を持っていると課税される税金を説明しましたが、戸建てとマンション、どちらの固定資産税が高くなるのでしょうか?

固定資産税の計算式をざっくりと

さて不動産を所有すると固定資産税の納税が必要になることはお分かりいただけたと思います。ここでは固定資産税の計算式をざっくりと解説します。まず前提になるのは自治体が出している固定資産税課税標準額です。

(1)土地部分の税金

所有する土地に住宅が建っていると、土地に対する固定資産税の税額が大きく優遇されます。広さが200平米以下の土地であれば、家が建っていることによって更地の6分の1まで軽減されます。

例えば面積が100平米で課税評価額が3000万円の土地を住宅用地として使用すると以下のような計算式で税額を計算します。

3000万円×1/6×1.4%=7万円

仮に上記の土地が更地の状態であれば6分の1の軽減措置が適応されません。従って税額は42万円になります。

このように持ち家の土地に対する固定資産税は大きく軽減されていることがお分かりになると思います。

(2)建物部分の税金

住宅部分の税金は下記のような計算式で算出します。

固定資産税評価額×1.4%=納税額

土地と違って住宅部分には時限的な軽減はあっても永続的な軽減措置がありません。

また建物部分の固定資産税で大きな違いがある点として、耐用年数と1平米あたり単価設定の違いが挙げられます。

耐用年数(建物の価値が0年になる年数を便宜的に定めたもの)が木造戸建ての場合は22年、マンションは47年と定められており、同じ築年数であればマンションの方が戸建てよりも固定資産税評価額が高くなり、結果として固定資産税の金額が高くなることになります。

ちなみに東京都の場合、令和3年度の1平米あたりの単価は木造住宅で10万2000円、マンションで15万8000円と設定されています。(都道府県・年度によって異なります)

都市計画税は割愛します。

維持費に関して

家の維持費
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税金以外に必要なコストとして物件の維持費が挙げられます。維持費で想像しやすいのはマンションだと思います。

マンションの維持費

管理費
物件の共用部分を維持管理していくための費用です。防災設備・防犯設備、清掃費やエレベーターの日常メンテナンスのための費用などに用いられます。

修繕積立金
マンションでは通常10年~15年に一度、大規模な修繕を行います。外壁や防水設備、駐車場など建物を快適に使用するためにメンテナンスを行いますが、そのための費用を入居者から毎月集めています。

マンションを所有した場合、管理費と修繕積立金が住宅ローンの返済以外に必要です。
管理費や修繕積立金は物件の築年数や入居者の数によって幅がありますが、二つの費用を合算して毎月1.5万円~3万円程度が必要なことが多いようです。また修繕積立金は築年数が上がっていくにつれ、値上がりすることが一般的です。

仮に管理費と修繕積立金が合算して2万5000円/月とすれば年間で30万円が固定費として継続的に必要になります。

戸建ての維持費

修繕費
戸建ても築年数が経過すれば外壁や水回りが傷んできます。そのため修理やリフォームが必要になりますが、ここでのポイントは予算規模や時期を自分で決めることができる点です。

極端な言い方ですが、自分が我慢できるなら修繕を行わないという選択肢もあるわけです。ちなみに建坪が30坪の住宅の外壁を修繕すると50万円~100万円程度が必要と言われています。

戸建てとマンション、お金がかかるのはどっち?

戸建てとマンションの天秤
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土地に掛かる税金

敷地面積は戸建ての方が広く税額も高くなるケースが多い。ただし税額が6分の1になる軽減措置がある。

建物に掛かる税金

建物に関しては基本的には軽減措置がない。戸建てに対してマンションは建物の評価額が下がりにくいため税金も下がりにくい。

維持費

マンションは毎月の管理費や修繕積立金が負担になることが多く、築年数が経過すると毎月の修繕積立金の値上がりや修繕時に追加の負担が必要になることがある。

不動産は条件が千差万別で、単純に比較することは難しいため、あくまでも一般論となりますが、税金や維持費の面を整理してみましょう。

税金 
最初は戸建てが高いケースもあるが、年数が経過するとマンションの方が高くなる可能性が高い。トータルではマンションの方が税金を多く支払う可能性が高い。

維持費
戸建てには管理費として明文化された費用は発生しないがマンションは必ず必要。

修繕費
戸建てでは実施時期や予算は自分で決めることができる。一方、マンションの場合は毎月積み立てが必要であり、積み立て金額を決めることはできない。トータルではマンションの方が多い可能性が高い。

税金や維持費の面ではおそらくマンションの方が費用が多く必要だと考えられます。ただし、立地や広さ・建築年数が同じ程度であれば、適切に維持をされたマンションの方が資産価値が高いことも多く、売却もしやすい傾向があります。

また、Kさんがどちらの住居を購入される場合でも、買って終わりということはなく、税金を含めた維持費が必要です。現役世代の期間は良いのですが、リタイアして収入が年金だけになると維持費が過大になるケースが多いです。資金計画を立てるときには、返済だけではなく、年金生活になる老後の維持費を含んだライフプランを作ることをオススメします。

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