「再エネ賦課金」は年間1万超えって高い!意外と大きい電気代への影響
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皆さんは電気料金の請求書に「再エネ賦課金」という項目があることをご存知ですか?使った電気代を支払うのは分かるけど、再エネ賦課金って自分は使っていないと思われる方もいるでしょう。今回はこれから目指す脱炭素社会と切っても切れない再生可能エネルギーと再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)について解説します。
そもそも再生可能エネルギーとは?
再生可能エネルギーとは、主に太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱など、常に存在し、永続的に利用することができると認められたものから得られるエネルギーのことです。日本は石油や石炭、天然ガスなどの有限な資源に乏しく、そのほとんどを海外に依存しています。そのため、自給できる再生可能エネルギーはますます重要になっているのです。
国内外の再生エネルギーの現状
資源エネルギー庁が2020年に発表した2019年度の世界と日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合をグラフで見てみましょう。
資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2020/007/
日本の再生可能エネルギーの電力比率は水力を合わせた数値で18%です。気候や人口、国土の面積、地形など再生可能エネルギーの使用にはさまざまな要因が絡むため、日本の18%という数値が単純に低いとは思えませんが、日本よりも再生可能エネルギーの導入が進んでいる国も多くあります。
ちなみに日本の再生エネルギー発電設備容量は世界第6位で、太陽光発電は世界第3位の規模です。
再生可能エネルギーには「固定価格買取制」がある
再生可能エネルギーの普及を促進するために国は各種の補助制度を導入しており、「固定価格買取制」もその一つです。この制度は2012年(平成24年)7月にスタートし、太陽光発電を例に取ると、ソーラーパネルで発電した電気のうち、使用せずに余った電気は電力会社に固定価格で買い取ってもらえる仕組みになっています。なお太陽光発電設備を設置して10年間は固定価格で買い取ることが保証されています。
電気代に含まれている「再エネ賦課金」とは
さて、改めて電気料金の請求書にある「再エネ賦課金」とはどのような費用なのでしょうか?これは国が定めた再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって電力会社などが買取りに要した費用を電気の使用量に応じて利用者で負担している費用です。
再エネ賦課金の値段はどうやって決まっている?
再エネ賦課金の値段は、買取価格などを踏まえ年間でどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを推測し、年度ごとに経済産業大臣が決定します。なお、推測値と実績値に差が出た場合は、差額を翌々年度の再エネ賦課金単価で調整する仕組みになっています。
再エネ賦課金の単価は全国一律になるように調整され、電気の使用量に応じて電気代と合わせて支払います。
年々上がっている再エネ賦課金、今後はどうなる?
制度がスタートした2012年当時比べると再生可能エネルギーを取り巻く環境も大きく変わってきています。身の回りを見てみても、戸建て住宅を新築で建てる際に太陽光発電を取り入れる家庭が増え、ビルの屋上や休耕田で太陽光発電を行うことも一般的になってきました。
ただし残念ながら再生可能エネルギーは導入時や発電時のコストがまだ高いため、再生可能エネルギーの導入・運営を再エネ賦課金でサポートする仕組みで成り立っています。そのため制度がスタートした2012年と比較すると、再生可能エネルギーの普及と共に再エネ賦課金は毎年値上がりしてきました。ここでは3人家族の標準家庭を例にして比較してみましょう。
東京電力:https://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/shin-ene/taiyoukou/backnumber/fukabk-j.htmlより筆者作成
国の買い取り制度は2040年までの継続が決まっています。今後、再生可能エネルギーによる発電量が増えていけば、比例して再エネ賦課金も値上がりする可能性が高いと考えられます。
再生エネルギー市場が拡大していけば何が変わる?電気代への影響は
国連が2015年で採択したSDGs(持続可能な開発目標)の中に「2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす」という目標があります。
また日本を含む世界各国では2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすること)を実現させることを目標にしています。この目標を実現するため、再生可能エネルギーはこれまで以上のスピードと規模で導入されていくと思われます。
そのため再エネ賦課金の単価の値上がりは今後も続き、各家庭の電気代に影響することは避けられないでしょう。
まとめ
再生可能エネルギーの固定価格買取制と再エネ賦課金制度は、再生可能エネルギーの普及を後押しするために導入されました。一般家庭で固定買取制度の恩恵を受けているのは戸建て住宅で太陽光発電システムを設置しているご家庭でしょう。
一方で、太陽光発電がないお宅やマンションなどに住んでいる人から見ると、電気代が高くなるだけという考えになってしまう制度ですが、地球温暖化対策の一つとして再生可能エネルギーの普及は避けて通ることはできません。
再エネ賦課金は電気使用量に応じて負担します。ということは節電を意識すれば、その分負担する金額も減ります。今後、科学技術や加工技術の発達や普及によって再生可能エネルギーに関連するコストが下がっていくことを期待しましょう。
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