お金

いよいよ始まる金融教育、あなたの金融リテラシー度をチェック! (2ページ目)

そなえる 内山 貴博

子供へのお金の教育はどのようにすればいい?

紙幣を持つ子供
【画像出典元】「stock.adobe.com/LIGHTFIELD STUDIOS」

どのように子供にお金の教育をすべきか?子供の年齢にもよりますが、ズバリお金に触れさせることだと思います。

奨学金の手続きに関与していない人は、返済を延滞しがち?

日本学生支援機構の調査(令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査結果【概要】)によると、社会人になってから奨学金を延滞する人としない人の違いは「奨学金の手続きに関与したかどうか」が大きな違いの1つであると指摘されています。

延滞する人は、奨学金の手続きを親に任せている人が多く、自分では手続きをしていません。一方、延滞していない人は自分自身または親と一緒に手続きをしている傾向にあります。つまり、直接奨学金に向き合うことでお金を借りていること、そして返すことへの意識が高まっているのだと思われます。

このことからも分かるように、「これだけお金がかかっている」ということを本人に体感してもらうことが大切だと思います。例えば入学金を振り込む際も同様です。

今ではスマホを使い、銀行アプリなどで振り込みを行うことができますが、こういった大事なお金は子供に手渡しし、銀行へ一緒に振込に行くのはどうでしょうか?自分が毎月もらっているお小遣いやアルバイト代などとは金額がケタ違いであることを容易に実感できます。どれだけ教育にお金がかかっているのか?ということを実感できれば、学校での学ぶ姿勢にもプラスの影響が出るはずです。

子どもの前でも隠さずにお金の話を

同じように両親が子供の前で積極的に家計管理について話をすることも重要だと思います。元来日本ではお金の話は伏せる、避ける、人前ではしないといった風潮がありますが、あえて行うことで子供もお金のことについて向き合うことができます。

例えば、父親が働き母親が専業主婦という場合、毎月1回、父親から母親へ生活費を手渡しする。必然的に、働いているからこそ生活ができるということを子供たちが感じることができます。また、子供の前で家計簿をつけながら「今月は食費に〇〇円かかっているね」など話をするのも良さそうです。

お小遣いも投資形式に?楽しみながら学ばせる

また、資産形成の勉強のために貯金箱を2つ用意するのはどうでしょうか?「安全(元本保証)ボックス」と「株式ボックス」の2つです。実際に投資をするのではなく、株式ボックスに入れたお金は月に1回、株価指数を参考に利益が出ていれば上乗せ、その逆の場合は控除するといった具合で貯金箱の中身を変動させることで、投資について学ぶことができます。

仮にお小遣いが3000円であれば、まずいくらをどのボックスに入れるか?ということから考える必要があります。おそらく「1カ月後変動する」というゲーム的要素があるボックスを子供は好むと思います。最初は「株式ボックス」の意味が分かっていなくても、「なぜ増えたのか?減ったのか?」毎月少しずつ教えていくことで、株式の勉強、ひいては経済や社会の勉強にもなりそうです。

まとめ

これから進んでいく金融教育。親世代は特にお金に対するイメージ、思考を一度リセットし、子供だけでなく、自分自身がしっかり学ぶことで自信をつけることが大切です。

松井証券が行った「金融教育」に関する実態調査(調査レポート|金融教育に関する実態を調査 | 会社案内・IR情報 | 松井証券)によると、約8割以上の人が「お金に対して自信がない」と回答しています。今まで金融教育を受ける機会が少なかったことなどが要因のようです。

ただ、私はもう少し別の要因も感じています。あくまで私の仮説ですが、お金の知識がないのではなく、「お金と真剣に向き合っていない」ことも要因かもしれません。

例えば「子供が生まれたから学資保険に加入したいです」という人が非常に多いように感じています。決して悪いわけではありませんが、学資保険に加入するのは義務ではなく、1つの選択肢に過ぎません。「なぜ学資保険に加入したいのですか?」と尋ねると、「いや、何となく。そういうものなのでは・・・」と明確な回答が得られないケースも少なくありません。

教育費の貯め方は学資保険以外にもさまざまな方法があります。真剣に向き合った結果が学資保険であれば良いのですが、そうでなければ、まずどんな選択肢があり、自分たちにはどのような方法が向いているのか?そういうところから始めてもらえればと思います。

私はよくセミナーなどで「1円玉の輪郭(丸)をその場で書いてください」とお願いすることがあります。参加者の多くが実際よりも小さく書いてしまいます。10円玉、100円玉でも概ね同じ結果となります。心理学によりますと、1円玉をはじめ、硬貨を軽視している人が小さく書く傾向にあるようです。

生まれてから今日まで毎日のように使ってきた硬貨。しっかり見つめてみてください。どうして今自分の手元に1円玉があるのか、考えたことはありますか?ぜひ1円玉と向き合いながら、お金の使い方、そして管理の仕方を、まさに一からしっかりと向き合うことが大切だと思います。

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金融教育についてのQ&A 

Q. 具体的に高校の家庭科の授業ではどのようなことを学ぶのですか?

A. 新学習指導要領によるとライフプラン上のリスクを踏まえどのような対策ができるのかといったことが盛り込まれています。病気、災害、そして老後。具体的にライフプランを描き、それぞれに備える上で必要となるのが金融商品の知識です。各金融商品の特徴、メリットやデメリットも学ぶことになります。

Q.学校側は金融教育を行う準備はできているのでしょうか?

A.これが現在大きな問題となっています。家庭科の先生たちの中には、投資経験のない人も多いため、講習会を受けたり、外部講師を呼ぶなどの準備を進めているようです。質の高い金融教育を行うという宿題が学校や先生たちに課せられています。

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