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採用面接からフルリモート。イマドキの企業はどんな働き方なの?

経済とお金のはなし 中新 大地

採用面接からフルリモート。イマドキの企業はどんな働き方なの?

【画像出典元】「ViDI Studio/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

新型コロナウイルス感染症拡大により私たちの生活は大きく変化しました。それは働き方も同様で、多くの企業が会社への出社を制限しリモートワークを採用することで、危機を乗り越えた印象があります。そのリモートワークは今や、「フルリモート」という新しい勤務・採用のスタイルへと進化を遂げています。

今回は新たな働き方の形、フルリモートについて、事例を交えながらご紹介します。

続くリモートワーク、これからのスタンダードに?

緊急事態宣言が相次いだ一時期に比べれば人々の動きは活発になり、イベントの開催条件や入国に関しても政府の規制は徐々に緩和されています。
にもかかわらずリモートワークが続行され、あるいは新しく採り入れる企業があるのは、その利点に企業も気付いたからでしょう。

働き方改革は、コロナ禍によって急速にアップデートが進んだといえます。おそらく、今後コロナウイルスの影響が収束したとしても、リモートワークは「当たり前の選択肢となる」のではないでしょうか。そのおかげで働き方と生き方の選択肢が増える人々がでてくるはずです。

フルリモートのメリット・デメリットとは?

リモートワークの中でも、一切出社せずに仕事を行うのが「フルリモート」です。ここではフルリモートのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット:時間や場所に縛られない、新しい働き方の形

フルリモートのメリットは「時間や場所に縛られずに仕事ができる」という点にあります。
出勤が無いことで通勤時間やそれにかかるストレスが無くなりますし、住む場所も会社の近くである必要がなくなります。さらに、勤務時間も固定しないフレキシブルタイムを採用する企業も多く、時間に縛られることもありません。会社によっては固定のオフィスを持たなくなるケースもあります。

採用の場面においても、フルリモートであれば勤務地の縛りがなくなり、求職者と企業の双方の選択肢が広がります。面接もZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールを活用し、説明会や面接のための会場の確保や移動に伴う、金銭的・時間的コストを削減することができます。

これらをふまえると、フルリモートでは

  • 田舎に住みながら都会の企業で働くなど、場所にとらわれない働き方ができる
  • 時間にとらわれず、子育てや家事などプライベートと仕事の時間を柔軟に組むことができる
  • 会社の雑務や仕事以外の人間関係のストレスが軽減される

など、これまでは難しかった働き方・生き方が可能になるでしょう。企業にとっても社員の多様なライフスタイルを支援することは社員の満足度の向上や会社のイメージアップにつながり、採用面で有望な人材確保が期待できるという側面があります。

デメリット:見えない不安、限定的な評価とコミュニケーション不足

フルリモートのデメリットは、「コミュニケ―ションの不足」と「評価の難しさ」にあります。
出社して顔を合わせていれば、業務についての声かけや相談がしやすかったり、会社の雰囲気を感じられたり、雑談など業務外のコミュニケーションも自然に生まれていました。

一方でフルリモートになると、こういったコミュニケ―ションが不足し、「見えない不安」が大きくなるというデメリットがあります。また、評価についても、仕事を進めるプロセスが見えにくくなるため、成果物の数や業績などで判断する成果主義に偏りがちです。

これらをふまえると、

  • 思ったように仕事が捗らない、または仕事をやり過ぎてしまう
  • 評価が成果主義になりがちでプロセスが評価されにくく、人によっては満足のいく評価を得られない
  • コミュニケーション不足により、孤独感を抱いたり、業務が上手く進まないことがある

などの問題が起こることもあり得ます。

始まる新常識!フルリモートの導入事例

リモートワークする女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/stnazkul」

このようにメリットもデメリットもあるフルリモートですが、すでに一部の企業では実証実験が完了しており、本格的な導入が始まっています。ここではその一例をご紹介します。

「いつでも、どこからでも働ける」を目指して、株式会社メルカリ

フリーマーケットアプリ大手の株式会社メルカリは、「いつでも、どこからでも働ける」を目指しています。2020年2月には原則在宅勤務を導入し、2020年7月には「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル」 を実施。
そこで得た結果をもとに、「YOUR CHOICE」という名前で、社員それぞれがオフィス出社とフルリモートを選べる仕組みへと移行しています。
出社の有無によって不公平な扱いをされることはないことも明記されており、自分の希望する働き方を安心して選べる制度になっています。


9分類から100人100通りの働き方へ、サイボウズ株式会社

ソフトウェア開発大手のサイボウズ株式会社は、リモートワークという言葉が浸透するずっと前からフルリモートに向けた取り組みを行っています。
2010年8月に在宅勤務を試験導入し、2011年3月の東日本大震災をきっかけに、原則在宅勤務に。

2012年8月からは働きたい場所や時間を9分類から選べる、「ウルトラワーク」という取り組みを開始しましたが、コミュニケーションに不安がある、必ずしも社員の生活スタイルとマッチするわけではないなどの問題点が見えてきたことから、2018年4月に100人100通りの働き方を可能とする「働き方宣言制度」を新たに取り入れています。

サイボウズの面白い点は、こうした長年の取り組みによる結果やデータをインターネット上で多数公開していること。すでにフルリモートを導入している企業もそうでない企業も、参考にしたいメソッドが盛りだくさんです。
参考:サイボウズチームワーク総研 https://teamwork.cybozu.co.jp/

新卒向けオンラインMeetup開催、UUUM株式会社

YouTuberなどのクリエイターを支援しているUUUM株式会社は、コロナによる緊急事態宣言が発出された2020年4月に、以前より推進してきたリモートワークをさらに促進するにとどまらず、出社禁止という御触書を社員に出しました。さらに専属クリエイターに対しては、支援金(いくらかや使用用途など解れば)を拠出するといった徹底ぶり 。
2021年11月には2023年度入社の人材を対象に、前年に引き続き新卒向けオンラインMeetupイベントの開催を発表 。このイベントではオンライン上でUUUM社員と、仕事内容や就職活動の話ができるといったもので、オフラインの会社説明会と遜色ないものが実施されています。
新しいコンテンツを取り扱うIT企業として、名実ともに革新的な取り組みを継続するUUUMに憧れる若者は少なくないでしょう。

練習と慣れが大切なフルリモート

ワークライフバランス
【画像出典元】「stock.adobe.com/ELUTAS」

新しい働き方のスタンダードになりうるフルリモート。まだ各企業でも手探り状態で知見も確立されていない分、今後もさまざまな面で練習と慣れが求められることでしょう。

人によっては「フルリモートではなく、一部だけリモートで働く。一部だけ出社して働く」ことが向いているという結論になるかもしれません。

先ほど紹介した企業では、この練習と慣れを繰り返しながら、制度のアップデートを行っています。
そのおかげで社員が高いパフォーマンスを発揮し続けられるようになれば、社員にはワークライフバランスの充実がもたらされ、企業には業績向上という恩恵がもたらされることでしょう。フルリモートの導入にハードルはあるかもしれませんが、推進している企業にはノウハウが蓄積されつつあります。あなたの働いている企業や、これから働きたいと考えている企業にこのような制度はあるでしょうか?ぜひ確認してみてください。