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日本も金利上昇したらどうなる?私たちの生活への影響と対策とは

そなえる 中村 賢司

日本も金利上昇したらどうなる?私たちの生活への影響と対策とは

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2022年は「アメリカが利上げしました」「イギリスが利上げしました」等、金利に関連するニュースをよく耳にしました。日本も利上げするのか?という声も聞こえてきます。

今回はもし金利が上昇すると、私たちの生活にどのような影響があるのかを解説します。

そもそも金利とは?

金利が上がったときの影響を考える前に、そもそも金利とは何を指すのでしょうか?

金利とは、お金を借りた人が借りたお金に対して追加で支払う金額の割合や、お金を貸した際に追加で得られる金額の割合を指します。例えば年率1%、返済年数1年で100万円を借りたとすると、1年後の返済時には元金100万円と100万円の1%に当たる1万円をプラスした101万円を返済します。

金利が低ければ追加の金額は少なく済み、金利が高くなれば追加の金額が多くなります。

新型コロナウイルスと金利

2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大。この影響を受け、世界中で経済活動が停滞し、株式市場でも大きく値を下げました。世界各国で金融緩和が行われ、落ち込んだ経済活動を活発化させようという動きが続きました。

金融緩和とは、分かりやすくいうと「低金利でお金を貸し出す」ということです。低金利でお金を貸し出し、新型コロナウイルスの影響で落ち込む景気を下支えすることが目的でした。

金融政策と金利

しかし、この新型コロナウイルス対策の金融緩和で大量に供給された資金が原因で、急激なインフレが発生しました。このインフレを抑制するため、2022年11月現在、アメリカをはじめとした世界各国が、金融引き締めを目的に金利を上昇させています。なお、景気と金利の相関関係は以下のようになっています。

 

このように景気と金利には相関関係があり、景気が良くなれば金利が上がり、景気が悪くなれば金利は下がります。景気と金利は大きなスパンで上下運動を繰り返しています。

金利上昇で私たちの生活に起こる影響とできる対策

パソコン画面を見て驚く男性
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世界の金融引き締め政策同様、日本の金利も上昇するかも?という報道を目にすることが増えました。現在の日本で金利が上昇すると、どのような影響が出るのでしょうか?

1.住宅や車のローン

金利の上昇と聞いて想像しやすいものに住宅や車のローンが挙げられます。マイナス金利の影響で史上最低水準にあるローンの金利が上昇すると、返済金額にどれくらいの影響があるのでしょうか?

ここでは借入額3000万円、返済期間35年という条件で、金利の違いで返済額にどれくらいの違いが出るかを表にしてみました。

借入額や返済期間が同じでも、金利の違いによって毎月の返済額や総返済額が大きく異なることが分かります。

新規の借入もそうですが、変動金利で住宅ローンを利用している場合、金利の上昇が死活問題(=家計の破綻)になることも考えられます。変動金利の住宅ローンは半年ごとに金利が見直され、返済期間中に金利が変更(=返済額がアップ)される可能性は否定できません。金利上昇の緩和策として「返済金額の変更は5年ごと」「支払金額の上昇は最大125%まで」というルールがありますが、このルールは総返済額を減らすものではありません。

変動金利は低金利で借りることができますが、途中で金利が変わるリスクがあることを理解しましょう。なお、住宅ローンでの金利上昇に対する代表的な備えとして、繰り上げ返済とローンの借り換えが挙げられます。

「繰り上げ返済」
手元資金を使い、残債の一部を繰り上げて返済します。毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする『期間短縮型』と、返済期間を変えずに毎月の返済額を抑える『返済額軽減型』の2つのタイプがあります。どちらも利息負担軽減効果がありますが、総返済額は期間短縮型の方が少なくなります。

「住宅ローンの借り換え」
返済中の住宅ローンを借り換えるのも有効な手段です。「返済中の住宅ローンよりも金利が低い住宅ローンに借り換える」ということが一般的ですが、金利上昇のリスクに備えるということであれば「変動金利型のローンを全期間固定に借り換える」という借り換えが有効です。

2022年秋の段階では、変動金利が0.5~1.0%、全期間固定で1.4~1.6%程度で推移しています。毎月の返済額は上昇しますが、現在は固定金利の水準でも十分に低いため、全期間固定に借り換えるケースも増えています。ただし借り換えには残債に対して2%前後の手数料と司法書士代金(15万円~20万円程度)が必要です。

なお「変動金利が上昇したら、固定金利に借り換えよう」という声を聞くことがありますが、ローンにおいては変動金利よりも固定金利の方が先に上昇するので注意してください。

2.物価

アメリカの金利が上昇していますが、これは金利を上げることにより物価を下げてインフレを抑制することを目的にしています。

一般的に、金利が上昇すると、企業や個人がお金を借りにくくなり、人々の購買意欲も低くなるため物価は下がります。日本の物価は上がっていますが、これはコストプッシュ型(原材料の値上がりが主な原因)の上昇と考えられており、金利の影響はほぼありません。

しかし今後、日本の金利が上昇した場合、企業の運営に影響が及び、その影響で物価が上昇する可能性はあります。金利が上昇するリスクに備えるとすれば、個人レベルでは固定費の見直しなど毎月のランニングコストを抑えることが重要でしょう。

3.投資

金利が上昇するとメリットがある投資先の代表的なものに、個人向け国債があります。個人向け国債の10年物は最低金利が0.05%ですが、長期金利が上昇すると連動して上昇します。大きなリターンは難しいですが、金利上昇の恩恵を期待できます。

なお、世界的には金利を上昇させ、金融を引き締める段階=経済活動を抑制させる=株価が下がるという局面になっています。株価が下がっているタイミングを活かし、株式に投資する投資信託の積み立てをスタートさせるのも個人的にはおすすめです。

4. 企業活動

企業活動の観点で見ると、金利の上昇は経営上のリスクが増えることとイコールです。

一般論となりますが、多くの企業は、金融機関から短期の運転資金や長期の設備投資資金などの融資を受けています。その金利が上昇すると、借入資金に対する支払利息が増えたり、新規の融資を受けにくくなったりします。

また、金利の上昇分を価格に転嫁できなければ、利益が減少します。現在の日本のように給与が上がらない状態で金利が上昇すると、経済活動がさらに落ち込む可能性が高いと考えます。

まとめ

物価上昇
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日本銀行や米国のFRB(連邦準備制度理事会)など国の中央銀行が金融政策の一つとして行う利上げ。利上げはインフレを防ぐために行われますが、企業にも個人にも大きな影響を及ぼします。

アメリカやヨーロッパでは利上げが相次ぎ、日本の金利も上昇するのではという観測もあります。

もし利上げが行われれば、住宅ローンを変動金利で借りている人にとっては深刻な問題になりそうです。今のうちに固定金利へ借り換えることも、金利上昇リスクを避ける上で有効でしょう。

いずれにしても金利の動向は、マーケットの動向と中央銀行(日本では日銀)が政策的に操作するため予測は困難です。もし金利が上がっても大丈夫なように、今のうちに固定費の見直しなどを進めておきましょう。