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任期満了迫る日銀黒田総裁、気になる後任人事と残された課題とは

経済とお金のはなし 中新 大地

任期満了迫る日銀黒田総裁、気になる後任人事と残された課題とは

【画像出典元】「Natanael Ginting/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

コロナ禍によってさらにふくらんだ金融緩和、そして一般国民も大きく巻き込まれる円安や物価高が進行するなか、日本経済をリードする日銀には大きな変化が待っています。
それが、日本銀行総裁である黒田東彦氏の任期満了です。

今回は、2期にわたって総裁を務めた同氏が日本経済にもたらしたもの、そして気になる後任人事と残された課題についてご紹介いたします。

アベノミクスと金融緩和ともに歩んだ2期10年

「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」といった役割を持ち、国の金融政策の中核を担う日本銀行(日銀)。その総裁は内閣によって任命され、一度就任すれば5年にわたって、国の経済の発展やそのあり方、安定に努める存在として活動することになります。
総裁のほかにも副総裁(2名)、審議委員(6名)などが重要なポストを与えられていますが、なかでも総裁の発言力は絶大。
良くも悪くもその内容の如何によって、経済界・国民生活は大きく揺れ動きます。

また、内閣と緊密に連携する総裁は、内閣がどのような政策を実施するか、それが国民生活にどのような影響を与えるか、そもそも実現可能かどうかなど、政府の金融政策の頭脳として機能します。

特に黒田氏は「アベノミクス」を推し進めた第2次安倍政権下でも、その政策を力強く後押し。
これまで「物価上昇2%目標」「異次元の金融緩和」「0.5%までの長期金利上昇」などを2期10年にわたって推し進めてきました。金融緩和による経済活動の拡大、そしてそれに紐づく形で企業が人材を守るために行った雇用と賃金の改善により、黒田氏を評価する声は一定数あります。
ただ、直近の大幅な物価上昇によって、国民生活は実際にはひっ迫している印象が強く、後任の総裁には、こうした状況の是正が求められそうです。

なお、日本経済と強い結びつきのある米国は、2021年12月に金融緩和路線から方向転換することを表明。2022年には「4回連続0.75%の利上げ」を実施し、インフレを抑えたい姿勢を明確にしています。

気になる後任人事、有力候補の雨宮氏と中曽氏プロフィール

日銀
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2023年2月10日の国会で提示予定の日銀総裁の後任人事。
候補として有力視されているのは、現副総裁の雨宮正佳氏と、前日銀副総裁で現在は東京国際金融機構会長や大和総研理事長などを務める中曽宏氏です。ロイターが行った民間エコノミストへの調査でも、24名中16名が雨宮氏の就任を予想。次いで4名が中曽氏の就任を予想しています。 

“日銀のプリンス“と呼ばれ、同行のたたき上げとして活動してきた雨宮氏は、花形である金融政策の部門でも手腕を振るってきた人物。柔軟な姿勢とコミュニケーション能力を買われており、総裁となった暁にはその出口戦略のために広く立ち回るのではと注目されています。過去にも『出口戦略のやり方は常に考えておくことが必要だ』と述べており、 現総裁である黒田氏とは一線を画す可能性があります。

一方中曽氏は、“国際派”として知られる人物。英語が堪能で、日銀では主に決済・国際分野で活動。各国の中央銀行の連携を図る国際決済銀行(BIS)での経験もあり、世界経済のシステムに精通し、各国の要人にも顔が利くようです。総裁となればその知見と人脈を活かして、序列を下げてしまった日本経済の世界における立ち位置を向上させるものと期待されています。過去には『東京が国際的な金融の中心として復活する時が来た』と、大胆な改革の必要性を述べています。

次の5年へ、黒田氏の後任に求められるもの

「金融緩和」の見出し
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10年にわたり日本の金融政策を支えた黒田氏の後任に最も求められることは、「異次元の金融緩和をどう脱却するか」に尽きるでしょう。
金融緩和で企業らは事業への積極的投資が可能となり、業績や株価が上昇。個人は賃金の上昇により消費の拡大が進んだとされています。
しかしすでに述べた通り、円安や物価高はそれを上回るスピードで進行しており、国民生活は決して楽観視できる状態ではありません。
2022年9月に見られたような咄嗟の円買い介入などを疑問視する声も多く、今後は慎重な舵取りと市場の引き締めが求められるのではないでしょうか。
黒田氏からの円滑な引継ぎに期待したいところですが、世界的な利上げの流れを鑑みれば、日本もうかうかしていられないのも事実です。

新技術の活用にも期待したい日銀後任人事

黒田氏の後任人事案の提示まであとわずか。
厳しい状況が続いている国民生活を考える上で、新総裁の人事、そして内閣との連携は誰もが気になるところです。もっとも、引き締めばかりだと経済活動は停滞してしまいます。研究と開発の進むフィンテック分野などの活用にも目を向けることで、日本経済の新しい広がりに期待したいところです。

長きにわたり続いてきた金融緩和の出口戦略を握るのは一体だれなのか。
続報を待ちましょう。