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中国台頭も話題に。電気自動車は今後どうなる?注目企業の動向は

経済とお金のはなし 中新 大地

中国台頭も話題に。電気自動車は今後どうなる?注目企業の動向は

【画像出典元】「buffaloboy/Shutterstock.com」

近年、環境への配慮の必要性が高まるにつれて、EV(電気自動車)市場の競争も世界規模で激しさを増しています。

新しいテクノロジーを数多く搭載するEVは、クリーンな移動手段であることと同時に、その洗練されたデザインも注目を集めており、買い替えに悩む方も多いのではないでしょうか。

多くの自動車メーカーがEV市場へ進出を果たす今、本記事では注目すべきメーカーをいくつかご紹介します。

変わる需要と技術で激化するEV市場

元来ガソリン車が主流だった自動車業界。ふるえるエンジン、排出される黒いガス、スタンドでの給油、車社会を生きる私たちにとってこれは当たり前のものでした。しかし、技術の進化に伴いHV(ハイブリッド車)やEVが市場に登場。環境や騒音の問題を解決する、エコで新しい移動手段として注目されるようになりました。

2010年には、量産型としては世界初のEVである日産リーフが発売され、高額な価格や流通の難しさの壁を乗り越えました。以降、EV市場は次世代の社会を担う重要なモビリティとして位置づけられ、多くの自動車メーカーが開発に取り組んでいます。政府も補助金制度を導入することで、その普及をさらに後押ししています。

もっとも、自国のメーカーと他国のメーカーとを競合させないために、一方の関税を上げるような動きも予想されます。特に中国製EVの躍進に戦々恐々としているメーカーは多く、今後も競争は激化することでしょう。

新時代をけん引するEV注目企業3選

BYD ATTO 3 EV car
【画像出典元】「Chatchai Somwat/Shutterstock.com」

それでは実際にEVを作っている注目のメーカーを3つご紹介し、その影響力や特徴をご紹介します。

EVの革命児、テスラ

テスラは、EV市場で最も有名で、革新的な企業と言えます。自動車そして宇宙産業でも功績を挙げ、イーロン・マスク氏がCEOを務めていることも注目すべきポイントです。

テスラの電気自動車は、高い性能、卓越した自動運転技術に加え、近未来的かつラグジュアリーなデザインも多くのユーザーから支持を受けています。実際価格もかなり高額で庶民には手が出せないイメージも強いですが、国の補助金制度を適用すれば主力のModel3が約450万円(ベースプライスは5,245,600円)で購入できます。
※上記金額は8月時点の在庫車を対象にしたもので、9月1日発売の新型Model3については現在補助金の適用申請中です。

充電池の交換タイミングになるといきなり動かなくなる上に、充電池の交換に約230万円もかかるとSNS上でも話題になりましたが、今後は充電池の耐久性能の向上や競争の激化する市場での価格推移が気になるところです。

戦略的出遅れか、トヨタ

トヨタは、日本の自動車メーカーであり、ハイブリッド車のパイオニアとして知られています。その技術力やブランド力、優れた耐久性能などは日本だけでなく世界のユーザーの共通認識とも言えます。

EV市場においては出遅れている印象のあるトヨタ。しかしこの動きはかねてより掲げてきた「マルチパスウェイ」、全方位戦略に基づくものです。佐藤恒治社長もカーボンニュートラルの課題はワンソリューションで解決できるものではなく、さまざまな選択肢を模索している旨を述べています。

今後はこれまでのような地位を維持し続けられるかどうか、そして各国で議論が進む電気自動車の義務化に対して、どこまでマルチパスウェイの方針を貫けるのかに注目したいところです。

中国製EVは黒船か、BYD(比亜迪)

自動車メーカーBYDは近年急速な成長を遂げており、冒頭で述べた中国製EVの最たる例です。日本市場には2023年1月に上陸。知名度はまだそれほどありませんが、EV販売台数で業界1位のテスラを猛追する2位で、今後のEV市場を語る上で欠かせない存在になっています。

公式サイトで『コンパクトEVの決定版』と銘打ったBYD DOLPHINはメーカー希望小売価格363万円~と、手が出やすい印象で、全長4290 mm×全幅1770mmのボディサイズは小回りの良さが求められる日本の狭い道路事情にも合致します(ちなみにテスラのModel3は全長4720 mm×全幅1850mm)。

こうした中国製EVの躍進と補助金利用による安価な価格設定が、他メーカーとの競争を不健全なものにしているとして、EUでは調査が始まっているとの報道も。場合によっては中国製EVに関税を上乗せすることで、さらなる進出を強く牽制するかもしれません。

日本でもエコカー減税やグリーン化特例、環境性能割などの措置がとられていますが、これは国内メーカーのみならず海外メーカーのEVにも適用されています。結果、国外からの参入を容易くし、いちばんに守るべき国内メーカーを厳しい状況に置く形に。成長著しいEVを含めた販売台数世界1位の座から陥落した日本の自動車産業を、国はさらに追い込むのか、誰の味方をしたいのかといった意見も。

高まる反発にBYDや各国政府がどのような対応を行っていくかによっても、今後のEV市場の勢力図は大きく変わる予感がします。

今後のEV市場の争点

自動車
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EV市場の今後の争点は、バッテリー技術や自動運転技術の進化と価格の推移、そして充電インフラの整備となりそうです。

特に充電スポットなどのインフラ面は大きな課題です。いくら性能や価格がユーザーの希望に沿うものになっても、生活のなかで不便なく安心して走ることができる環境が整わなくては意味がありません。混雑がなくアクセスもしやすい充電スポット増設のために、国や自治体が企業と一体となり取り組む必要があります。当然、出先のみならず自宅での充電も必要になるため、戸建ての場合は設備の拡充を、集合住宅の場合は設備の有無を確認する必要があります。

まとめ

EV市場の競争が激化する中、中国製のEV企業も注目を浴びています。
テスラ、トヨタ、BYDなど、さまざまな自動車メーカーがEV市場でその存在感を示しており、今後のさらなる発展に注目が集まっています。環境への配慮と同時に、技術の進化が、これらの企業の成功の鍵となるでしょう。EV市場の発展を見守りつつ、自分は今後どんなカーライフを送りたいのか今一度考えてみたいところです。