ビットコイン価格が上昇!その背景にある「ビットコインETF」って?
監修・ライター
ビットコインの価格が上昇しています。その理由の1つが、ビットコイン自体(現物)を使ったETF(上場投資信託)が誕生する期待が高まっていることです。金(ゴールド)の価格は、ETFが誕生してから大きく上昇しました。ビットコインも、ETFの誕生によって今後も上昇するのか、そもそもETFとは何なのかについて解説します。
ビットコイン価格が上昇
ビットコインの価格は2023年に入って大きく上昇し、11月1日現在、35,000ドル(1ドル150円換算で約525万円)を超える水準まで上昇しています。
今回のビットコインの上昇の要因は、主に2つあります。1つは、約4年ごとにマイニングの報酬が半分に減少する「半減期」を迎えることです。そしてもうひとつが、今回のテーマでもある、ビットコインETFが上場承認されるのではないかという期待です。
ビットコインの半減期は、供給量に一定の上限を設けるためのシステムで、半減期の前後に価格が上がる傾向があります。次の半減期は来年の4月下旬から5月上旬になると予想され、価格が上昇しているのです。ビットコインは、これまで半減期後の上昇を3回経験しており、1年~1年半の強気相場が続きました。
ブラックロックがビットコインETFを申請
ビットコイン価格上昇のもうひとつの理由が、ビットコインETFが上場承認されるのではないかという期待です。2023年6月に米投資会社ブラックロックが、米国証券取引委員会(SEC)に「iShares BITCOIN SPOT ETF(iシェアーズ・ビットコイントラスト)」というビットコインETFの承認を申請しました。そして、フィデリティやヴァルキリーなどの競合企業も同様の動きを見せています。ビットコインETFの承認に期待が高まり、ビットコイン価格は10月23日に16カ月ぶりの高値、35,000ドルを記録したのです。
現在、ビットコインを直接保有し、投資商品の価値をビットコインの量に基づいて計算する「現物ベースのビットコインETF」の認可はまだありません。しかし、今後ビットコインを直接裏付けとするETFが認可されれば、市場の流動性が増加し、ビットコインの価値が高まる可能性があるのです。そのため、ブラックロックによるビットコインETFの申請が注目を集めました。
ちなみに2021年10月15日にSECが初めて認可したビットコインETFはビットコイン自体とは直接関係がなく、ビットコイン先物に連動しています。
今回の上場承認が実現すれば、多くの投資家がビットコインへの投資を増やすことが予想され、それがビットコイン価格の上昇を後押しする可能性が高いと考えられています。現在、多くの投資家がこのような期待を抱いているのです。
そもそもETF(上場投資信託)とは
ETFは、「Exchange Traded Funds(上場投資信託)」と呼ばれる金融商品の略称です。ETFは、株式や債券、REIT(不動産投資信託)、通貨、コモディティ(商品)など、さまざまな指数に連動して運用します。ETFにより、日本だけでなく海外の投資先にも簡単に投資できるようになりました。さらに、連動対象指数を定めないアクティブ型のETFも登場し、商品ラインナップは広がっています。
投資信託と似た商品ですが、ETFは金融商品取引所で取引されます。投資信託は1日に1回しか取引できませんが、ETFは金融商品取引所の取引時間内に株式と同様に売買できます。つまり、投資家は相場の動きを見ながら自由に取引できるのです。
そして、ビットコインETFとは、ビットコインの価格に連動するETFです。このETFによって、投資家は、プライベートキー(秘密鍵)やデジタルウォレットといった技術的な知識がなくても、気軽にビットコインへの投資が可能になります。また、ETFを通じた投資が税制面で株式と同じ扱いになると、投資環境が大きく変わるかもしれないと期待されているのです。
金(ゴールド)はETFの誕生によって大きく上昇
ビットコインETFが注目を浴びている理由はいくつかあります。その中でも特に重要なポイントは、ビットコインが新たな資産クラスとして認識され、ETFという伝統的な金融商品に組み込まれることです。これにより、ビットコインの法的地位と信頼性が向上し、機関投資家や個人投資家など広範な投資家層の関心を引く可能性があります。
過去に金のETFが登場した際には、その影響力が金価格に大きな影響を与えました。投資家たちが金ETFに資金を投入することで、金への需要が増え、金価格が上昇したのです。このようなパターンは、経済の不透明性が高まったり金融市場が混乱したりした時に特に顕著であり、安全資産への需要の増加が金価格の上昇圧力となりました。
まとめ
現時点でビットコインETFの上場が承認されたわけではありませんが、マーケット関係者は承認が確実に迫っているという期待感を持っています。今後ビットコインETFが承認されれば、金(ゴールド)と同じように、ビットコインもデジタル・ゴールドとして株式などの伝統的資産のリスクヘッジ的な役割になることも期待できるでしょう。将来的にはビットコインETFが、分散投資先の1つとして、位置づけられることを期待したいところです。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。