最大3万5000円!北陸地方の観光業を支援する「北陸応援割」とは?
監修・ライター
1月25日、政府は「令和6年能登半島地震」で被災した方への支援策「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を発表しました。さまざまな支援策が打ち出されましたが、多くの人から注目を浴びているのが、旅行業への支援策「北陸応援割」です。北陸地方への旅行代金を補助するというものですが、対象は何県でどれくらい補助されるのでしょうか。本記事では、「北陸応援割」の詳細をお伝えします。
1人1泊あたり2万円を上限に補助
今年は元日から甚大な被害を引き起こした地震があり、正月気分どころではなかった方も多いのではないでしょうか。読者の方の中にも、被害に遭われた方もいると思います。この地震で被害を受けられたすべての方に、心からお見舞いを申し上げます。
北陸地方で影響を受けなかった業界はないと言っても過言ではないほど、大きな災害でしたが、中でも直接的な影響が大きかった業界の一つが観光業です。石川県のまとめによると、1月10日の時点で宿泊のキャンセルは延べ2万6648人分、総額5億2900万円以上に上るということです。また、お隣の富山県でも、宿泊予約のキャンセルなどによる損失額は3億円近くになるといいます。
そんな中、苦境に立つ観光業界への支援策が1月25日に政府から発表されました。この「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」によると、観光客の宿泊料金の半額を、1人1泊あたり2万円を上限に補助するというもので、対象は、石川県、福井県、富山県、新潟県の4県です。宿泊数が2泊以上の「交通付宿泊旅行商品」が1旅行あたり3万円、宿泊費が対象の2県以上にまたがる「周遊型旅行商品」については1旅行あたり3万5000円が限度額となります。対象期間は早ければ3月以降を予定していますが、2月1日時点ではいつからいつまでが対象期間なのかは明らかになっていません。
なお、今回、特に被害が大きかった能登地方は支援の対象には含まれていません。この件について、岸田文雄首相は、公式X(旧・Twitter)で次のように表明しています。
「まずは風評対策として、北陸4県を対象として50%代金を割り引く北陸応援割を3月から実施します。そして能登地方については、全力で復旧・復興を進め、能登がお客様を迎え入れられる状況になった時には、例えば70%割引など、より手厚い需要喚起策支援を検討しています。」
SNSでは賛否両論だが……
この支援策にSNSでは、次のような声が多数寄せられています。
「新幹線も開業するので北陸行ってみようかなと思います」
「みんな北陸に行きましょう。」
「自分が旅行することによって、少しでも北陸の皆さんのことを応援できるのなら嬉しい」
その一方、次のような厳しい意見も散見されました。
「税金は直接被災者に使って」
「旅行支援よりインフラ整備が先」
この支援策に反対する人の気持ちも解らなくはありませんが、筆者は北陸地方の観光業の回復に確実に有効ではないかと感じています。
観光業への支援として多くの人が真っ先に思い浮かぶのが、新型コロナウイルスの影響で危機に陥った観光業界を支援するための「GoToトラベル」ではないでしょうか。何かと批判の多かった施策ですが、観光業はこの支援策によって回復しています。大和総研の調査によると、「GoToトラベル」の経済効果は直接効果で2.8兆円、波及効果も含めると3.7兆円に上るといいます。
事業が始まった2020年7月22日から全国停止となった12月28日までの約5カ月間で、利用人泊数は少なくとも約8781万人泊。期間中の全国の延べ宿泊者の約6割でGoToトラベルが利用された計算となります。コロナ禍では、多くの旅館・ホテルが倒産や廃業に追い込まれていますが、この事業がなければ、もっと多くの倒産・廃業があったであろうことは想像に難くありません。
また、観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業、アミューズメント産業、土産品産業、旅行関連産業など幅広い産業を包括した業界です。宿泊者数が増えれば、ホテル・旅館はもちろん、飲食店もテーマパークも土産物店もレンタカー店も潤います。そもそも、インフラ整備や被災者への直接支援と、観光業への支援は両立しなければならないものではないでしょうか。
少なくとも筆者は今回の支援策に肯定的です。事業が開始されたら「北陸応援割」を使って、北陸各県を訪れたいと思います。