控除で税金がお得に!バイトで稼ぐなら「勤労学生控除」使ってる?
アルバイトでたくさん稼ぎたい学生の支えとなるのが「勤労学生控除」です。この控除を利用すると所得税の非課税枠を130万円まで拡大させることができます。
今回は勤労学生控除の概要やメリット・デメリットについて解説。アルバイトをしていて税金の負担を減らしたい学生の方はぜひご参考ください。
勤労学生控除とは?
「勤労学生控除」は、全15種類ある所得控除のうちの一つです。勤労をしている学生を対象とした控除であり、この控除を利用することで年末調整時(もしくは確定申告時)に27万円分の所得控除を受けられます。
非課税となる範囲が27万円分に広がり所得税の軽減に繋がるため、たくさん働いている学生の方であれば忘れずに利用したい控除です。
なお勤労学生控除で控除できるのは「勤労」によって得た所得です。例えばアルバイト代などが該当し、短期アルバイトの収入であっても勤労に該当するため控除対象となります。
対象となる学生の条件4つ
勤労学生控除を利用するのは、合計4つの条件を満たしている必要があります。一つずつ解説しますので該当しているか確認しましょう。
1.勤労による所得があること
勤労学生控除はアルバイトなどで働き勤労をしている学生が対象となります。勤労をせず仕送りなどで生活している学生は対象外です。
2.合計所得金額が75万円(年収130万円)以下であること
「合計所得額」とはその年の収入から必要経費を差し引いた金額のことであり、合計所得金額75万円以下の学生が対象となります。なお給料所得の場合、別途「給与所得控除」により55万円が控除されるため、合計所得金額75万円と給与所得控除55万円を足した年収130万円以下が対象条件となります(収入が給料所得のみである場合)。
3.勤労による所得以外の所得が10万円以下であること
勤労による所得以外の所得が10万円以上ある場合、勤労学生控除を受けられなくなりますので注意が必要です。勤労による所得以外の所得とは、例えば株やFXでの収入、家賃収入、宝くじの当選金などが該当します。
4.特定の学校の学生、生徒であること
特定の学校とは、次のいずれかの学校を指します。
・学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
・国、地方公共団体、私立学校法第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
・職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
出典:国税庁「勤労学生控除とは」
学生であっても上記のルールに該当しない学校に通っている場合には、 勤労学生控除を受けることができません。該当するか分からない場合は、通学している学校の窓口でご確認ください。
いくらお得になるの?
勤労学生控除で控除されるのは27万円です。所得税は以下の計算式で算出できます。
所得税の計算式:
所得税の課税所得=勤労した年収−(給与所得控除55万円+所得税の基礎控除48万円+勤労学生控除27万円)
例えば1年で130万円働いた学生の場合、各種控除で合計130万円分控除されるため所得税の課税所得は0円となり、所得税を支払う必要がなくなります。
勤労学生控除を使わないと?
対して130万円働いた学生が勤労学生控除を利用しないと27万円分の税金が発生します。27万円の場合の税率は5%(累進課税制度)となるため、1万3500円の納税義務が発生することになります。
デメリットは?
勤労学生控除を使うことのデメリットは、親側が扶養控除を受けらなくなる可能性があることです。
子が親の扶養に入るには年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であることが条件となります。いわゆる「年間103万円の壁」といわれているものです。
例えば1年で130万円働いた学生の場合、103万円の壁を超えているため親の扶養から外れてしまい、親側は扶養控除が利用できなくなります(扶養控除での控除額は38万円~最大63万円)。
すでに親の扶養に入っていない人は関係のない話となりますが、今現在扶養に入っている人の場合は一度親と相談しておくのが望ましいです。
勤労学生控除の申告方法
勤労学生控除の申告方法は「年末調整」と「確定申告」の2つがあります。それぞれのやり方を理解しておきましょう。
年末調整(アルバイト先)
アルバイト先が1つの場合、年末調整時にアルバイト先から手渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入し提出すれば完了です。学生証のコピーや在学証明書の提出が求められた場合は提出しておきましょう。
確定申告
2カ所以上のアルバイトを掛け持ちしている人、他の控除も申請する必要がある人などは「確定申告」で申告します。確定申告では確定申告書を作成し2月16日~3月15日の間に税務署に提出します。なお確定申告の場合は在学証明書を添付する必要があるため、早めに準備しておきましょう。
以上、勤労学生控除について解説しました。勤労学生控除を利用すれば本来より所得税を安く抑えられることがあるため、学生の方は頭に入れておきたい制度です。とくにアルバイト三昧で収入が103万円を超えそうな方は、親側の扶養控除も含め制度の仕組みをよく理解しておきましょう。