日銀の利上げで住宅ローンや預金金利はどう変わる?影響を徹底解説
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【画像出典元】「Sichon/Shutterstock.com」
監修・ライター
日本銀行(日銀)は1月24日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%から0.5%に引き上げる決定をしました。これは約17年ぶりの高水準であり、日本の金融政策の正常化を進める一環です。今回の利上げは、住宅ローンや預金金利にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、住宅ローン金利の上昇リスクや預金金利の変化について詳しく解説します。
日銀の利上げとは?
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日銀は政策金利である「無担保コール翌日物金利」の誘導目標を0.5%へ引き上げました。政策金利とは国の中央銀行が金融政策の一環として市場の金利をコントロールするために設定する基準金利のことです。
日本では日銀が銀行間で短期資金をやり取りする「無担保コール翌日物金利」を政策金利の誘導目標としており、この金利の引き上げ・引き下げによって経済全体の金利水準に影響を与えます。
今回の決定で金融市場の金利は上昇し、企業の借入コストや個人のローン金利にも影響が出ることになります。
住宅ローン金利の上昇と影響
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住宅ローンを利用している人にとって、今回の利上げは無視できない影響があります。変動金利型の住宅ローンは市場金利の影響を受けやすく、政策金利の引き上げによって適用金利が上昇する可能性があるからです。
ただ多くの変動金利ローンには「5年ルール」と「125%ルール」が適用されます。5年ルールが適用されると、金利が上昇しても5年間は返済額が変わりません。また125%ルールにより、金利上昇による返済額の増加は前回の125%までに制限されます。そのため即座に負担が増えるわけではありませんが、長期的には金利の影響を受けるため注意が必要です。
固定金利型の住宅ローンを選択している場合、現在契約中のものは金利変動の影響を受けません。しかし、これから新規で借りる人や借り換えを検討している人は、高い金利での契約を迫られる可能性があります。特に「フラット35」などの長期固定金利は、長期国債の金利と連動するため、金利上昇が続くと今後のローン契約には不利な条件になるかもしれません。
預金金利はどうなる?
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今回の政策金利の引き上げにより、預金金利も上昇の兆しを見せています。
大手銀行は政策金利の変動に合わせて普通預金の金利を引き上げました。大手銀行では0.1%から0.2%へ、あおぞら銀行のネット口座では0.35%へと上昇しました。今後も、各銀行が競争を意識しながら預金金利を見直す可能性があります。
定期預金の金利も上昇傾向にあります。1年物の定期預金は1%前後となり、auじぶん銀行、オリックス銀行、UI銀行などがこの水準で設定しています。一方で、3年物や5年物の定期預金は1年物よりも低金利となる逆転現象が起きています。現在は短期間の預金に高い金利がつく傾向があり、金利競争が激化しています。預金を活用した資産運用を考える場合は定期預金の金利動向にも注目しましょう。
まとめ
今回の日銀の利上げは日本の金融環境に大きな変化をもたらしましたが、今後も追加利上げが行われる可能性があります。住宅ローンを抱えている人は、金利の見直しタイミングを把握し、返済計画のシミュレーションを行うことが重要です。一方で、預金金利の上昇により貯蓄のメリットも増えるため、資産運用の選択肢として検討してみても良いかもしれません。