「5年後損する?」FPがあえておすすめしないNISAの6つのデメリット
目次
2014年に始まったNISA(少額貯蓄非課税制度)。投資の必要性が高まる中、特に投資初心者が資産運用の第一歩を踏み出す後押しとして期待されて、制度開始に至りました。イギリスのISAという制度をモデルにしています。
すっかり定着した感のあるNISAですが、当初はどういった名称にすれば浸透するか?と一般公募が行われました。実は筆者もいくつか案を出し応募しましたが、残念ながら採用されませんでした(笑)。ちなみにNISAのNは「ニッポン」のNのこと。これをISAに付けるという案が採用され、現在のNISAとなったのです。
昨年2018年でちょうど5年を迎え、当初購入したNISA枠が非課税期間の5年満了となり、課税口座に移すか?またはロールオーバーするのか?といった選択を迫られました。この選択は投資家にとって初めてのことであり、改めてNISAのメリットやデメリットなどを感じる機会となりました。総じて「非課税なのでおトク」という印象のある制度ですが、今回はそういった特徴を確認しながら、デメリットについても詳しく解説していきたいと思います。
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どっちがおトク? 税金から考えた「NISA」と「つみたてNISA」
1. そもそもNISAとは?
現在は、通常のNISAに加え、ジュニアNISAやつみたてNISAがあります。それぞれについて、以下の表にまとめました。
|
一般NISA |
ジュニアNISA |
つみたてNISA |
制度開始 |
2014年1月 |
2016年1月 |
2018年1月 |
口座開設者 |
20歳以上 |
0歳~19歳 |
20歳以上 |
投資可能期間 |
2023年まで |
2037年まで |
|
非課税額(年) |
120万円 |
80万円 |
40万円 |
非課税期間 |
5年 |
5年 |
20年 |
ロールオーバー |
可能 |
不可 |
|
投資対象 |
上場株式・株式投信等 |
金融庁が定めた要件を満たした一定の株式投資信託等 |
|
金融機関の変更 |
可能 |
原則禁止 |
可能 |
いずれも共通点は、非課税で投資ができるという点です。
原則、株式や投資信託に投資をした際は、利益の分配として受け取る配当金(分配金)や売却益が課税の対象となります。配当金や分配金は「配当所得」となり受け取る際に20.315%が源泉徴収されています。売却益に対しても「譲渡所得」として税率は20.315%となります。配当所得は総合課税扱いにでき、また配当控除(税額控除)が適用されるなど税務上さまざまなルールがありますが、おおまかにいうと「投資の利益に対して、およそ2割税金がかかる」ということになります。
この課税関係が、各種のNISAを活用すれば全て非課税となります。それぞれ年間の投資額や非課税期間、投資対象などが異なりますので上の表を参考にしてください。また、一般NISAとつみたてNISAをともに開設することはできません。どちらが自分に合っているか選ぶ必要がありますので、投資初心者はきちんと制度概要を理解した上で始めてくださいね。
一方、ジュニアNISAは大学資金等の教育費の準備という意味合いがあり、18歳(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)になるまで口座外への資金の払い出しが原則禁止されています。つまり、大学入試などが本格化する高校3年の1月や2月になると、受験代や入学代として使うことができるわけです。
2. 煩雑な手続き、投資資金120万円の縛り、損益の通算ができないなど、実は多いNISAのデメリット
「非課税で投資ができるならぜひやりたい!」と前向きに検討する人も多いのですが、実はメリットばかりではありません。ここでは、NISAのデメリットや注意点について取り上げたいと思います。
2-1. 手続きが煩雑というデメリット
まずは手続き面の煩雑さです。NISAは1つの金融機関でしか開設できません。所得税や住民税が非課税になる制度であるため、税務署が確認できるようマイナンバー提出が必須となります。また、金融機関を変更する場合も従来の口座を閉鎖し、新たな金融機関等で口座を開設することになりますのでやや手間がかかります。
それから、非課税期間の5年間が満了する場合、翌年の非課税枠に繰り越すロールオーバーを行うときも手続きが発生するなど、通常の口座での投資に比べ、やや煩雑になってしまうことは避けられません。こういう手続きがあまり好きではない人にとってはデメリットとなりますね。
2-2. 投資限度額120万円の縛りがあるデメリット
筆者はこの点を特に強調しておきたいと思います。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円というように非課税枠に限度があります。この限度額によって注意しておかなければならない点は以下2つです。(一般NISAを前提に説明します)
①年間の投資額を120万円に抑えるため、あえて投資額を小さくする
②120万円まで非課税枠があるため、全て使い切ろうと無理して投資をする