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雇用保険料も値上げで手取りが減ってる!負担はどのくらい?

そなえる 中村 賢司

雇用保険料も値上げで手取りが減ってる!負担はどのくらい?

【画像出典元】「stock.adobe.com/ELUTAS」

皆さんの給与明細に雇用保険料という項目があるのをご存じですか?
所得税や住民税ほど金額が大きくないため意識することは少ないかもしれません。しかし、この雇用保険料が値上がりしているのをご存じでしたか?

今回はこの雇用保険料がどういうものか、いつ、いくら値上げしとなったのか、理由はなぜなのか解説します。

雇用保険は何のための保険?

雇用保険は原則として会社が、対象となる従業員に対して掛ける保険です。目的は主に二つです。

「雇用保険」という言葉よりも「失業保険」という言葉で聞くことも多いかもしれません。雇用保険は失業時(会社都合・自己都合)や育児休業など「仕事をしたいけど、仕事に就けていない」状態の時に支給される給付金を準備するための保険です。また失業の予防など労働者の労働環境を向上させるためにも使われています。

雇用保険の種類

雇用保険の内訳を厚生労働省の資料で見ていきましょう。

 
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の概要」

雇用保険は上の図のように失業等給付、育児休業給付、雇用保険ニ事業の3つの分野に分かれています。普段は目にしない言葉がたくさん並んでいますね。

失業等給付

失業時の金銭的なサポートが主な目的です。失業等給付は自己都合による退職や、会社都合による退職などで仕事をしていない、かつ就業の意欲があり求職活動をしているときに支給される給付金です。

会社都合で退職した場合は7日間の待期期間終了後から給付金を受け取ることができます。自己都合で退職した場合は、待期期間終了後、さらに3カ月間の給付制限があります。その他、失業後に病気やケガで働けなくなった人のための傷病手当金や、雇用保険受給者が就職するための職業訓練を受けることでもらえる技能習得手当などがあります。

この給付金の中でも関心が高い基本手当、いわゆる失業手当を整理してみましょう。

失業手当は雇用保険に加入していれば誰でも受け取れるというものではありません。下記の2つの条件をクリアしていなければなりません。

この2つの条件を満たさないと失業手当を受け取ることができません。

次に失業手当はいくら受け取れるのでしょうか?
失業手当の金額はおおよそですが離職前の給与の50~80%程度で、離職前の給与水準が低い人ほど給付率が高くなります。

また、受給できる日数はどのくらいでしょうか。給付日数は雇用保険の加入期間や、離職の理由が会社都合か自己都合かによって変わります。

30才未満では最長でも120日、45才以上60才未満で最長330日となっています。

それでは失業手当はいつから受け取れるのでしょうか?
まず退職した会社から受け取った離職票をハローワークに提出し、求職の申し込みを行います。離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間の待期期間が離職の理由に関わらず、一律に設けられています。待期期間終了後は離職の理由によって給付制限の期間があります。

なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、会社都合で退職した人でも約1カ月後です。自己都合で退職した人であれば離職票を提出してから約4カ月後です。失業手当といえど、すぐにはアテにできません。

育児休業給付

育児休業給付は父親・母親にかかわらず、子供を養育する義務のある労働者が法律に基づいて取得できる休業期間中に給付金を受け取れる制度です。休業後の復職が前提とされており、受け取った給付金は非課税です。

また育児休業中の社会保険料も免除されます。給付期間は子供が1歳になるまでを基本としていますが、子供を預ける保育所が見つからない場合などは延長することも可能です。

雇用保険二事業

雇用保険には失業給付の他に、失業の予防や雇用機会の増大、労働者の能力開発・向上、その他の労働者の福祉の増進などを図るための雇用保険二事業があります。雇用保険二事業は、雇用安定事業と能力開発事業の2つの事業に分けられます。


なお雇用保険二事業の保険料は企業が全額負担し、労働者の負担はありません。

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