転職先に退職金制度無く不安、老後資金どう貯める?【FP家計簿相談】
目次
FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は会社員27歳女性、Yさんの家計簿です。今年転職したものの、再就職先には退職金制度がなく不安に。これから老後資金をどう貯めればいいか、というご相談です。
20代女性Yさんの相談内容
以前働いていた会社は今よりも年収は高かったのですが、残業が多く体調を崩しがちだったので、残業があまりない現在の会社へ転職しました。今まであまりお金を貯めることを意識しておらず、受け取った退職金も含めて現在の貯金は100万円位です。65歳まで働くつもりです。いくら位をどのような方法で貯めていけばいいのかアドバイスお願いします。
20代女性Yさんの家計簿は・・・?
手取り19万2560円で毎月2万円を貯金し、今年から「つみたてNISA」で月1万円を投資信託で運用。あわせて手取りの約16%を貯めています。現在の貯金額は100万円です。貯金、投資信託を除いた生活費は16万2560円です。
ざっくりとライフプランを立ててみましょう
人生100年時代を迎え、Yさんのように働き方、生き方を見つめなおす方も増えているように思います。まずは、現状を踏まえたライフプランの設計から。Wallet+のライフプランコーチを使って確認してみましょう。年齢、年収など基本情報を入力します。
かんたん入力では退職金の平均値が自動入力されるので診断結果画面の「詳しく診断する」から退職一時金を0円と入力し
結果を確認すると
達成率は109.0%となります。現在の生活費以外のお金がまったくかからず、今後も今のペースでお金をた貯めていくことができれば今の生活は維持できるという目安が確認できました。
親の世代よりも老後資金は必要に
2015年の65歳の平均余命は男性が19.41年(約84歳)、女性が24.24(約89歳)年です。2015年に65歳を迎えた方は、60代前半から年金の一部が受給され、働いている方もたくさんおられます。
Yさんが65歳を迎えるのは2059年です。2060年の65歳の平均余命は男性が22.38年、女性が27.69年と推定されており、平均寿命が延び、老後の期間がますます長くなると考えられています。※国立社会保障・人口問題研究所」「日本の将来推計人口(平成29年推計)「男女別特定年齢の平均余命:1950~2065年」より
長く生きるということは、それだけ老後の資金が必要になるということです。また親世代の経済成長期と違い、現在は給与の伸びは鈍化しており、少子化のため年金を納める世代の人口比率が下がることから公的年金の給付水準は下がると考えられます。
今、年金を受け取っている方のお金との付き合い方とは事情が変わってきていることを意識しておきましょう。
働いて生涯の収入、老後の年金を増やす
仮にYさんが60歳で働けなくなったとしてライフプランコーチで診断してみます。
定年後の収入について、「働かない」を選択します。
達成率は97.8%となり、給与・年金などの金額が65歳まで働いたときは1億5019万円なのに比べ、60歳では1億3905万円となり、Yさんの場合1000万円以上少なくなることがわかります。
つまり寿命が長くなる分、働いて得られるお金を増やすことが重要になります。長く働けば厚生老齢年金の受給額も増えることにつながります。毎月の収入だけでなく、一生涯の収入にも意識を向けておくことが大切です。
手取りの2割を目標に貯金する
Yさんの現在の貯蓄率は16%です。長い人生の中ではお金を貯めやすい時期とそうでない時期があります。独身の時期は自分の思うようにお金が管理できる、比較的お金が貯めやすい時期といえます。できるだけ手取りの20%を目標にお金を貯めるように考えてみてください。
65歳まで働けば必要最低限のライフプランは達成できる目安ではありますが、これからのレジャー費用や、老後の介護費用等が必要になったときも慌てないようにしたいものです。雑費等が少しでも節約できたら、貯める、増やすお金に回すことを考えてみてください。
資産運用でお金を増やす
Yさんは今年から「つみたてNISA」を始めました。人生100年時代で預金金利の超低金利が続く中、「つみたてNISA」など非課税の制度を利用して資産運用を始める人も増えています。資産運用を始めるにあたり、緊急時費用として生活費の3カ月から6カ月分の予備資金が確保できていることが重要ですが、Yさんは確保できているので資産運用を始めることに問題ありません。
現在は一種類のファンドのみで運用されていますが、内容の異なる複数のファンドで運用することでリスクも分散されますのでもう一種類ファンドを増やしてみることもご検討ください。「つみたてNISA」も金融機関によって最低の積立額が決まっており1万円からのところもあれば100円からファンド選びができるところもあります。
運用の基本は「長期」「分散」「つみたて」です。長期で、分散して、つみたてができるような自分にあった金融機関を選ぶようにしましょう。
働けなくなることへ備える
65歳以降になれば主な収入は年金収入だと思いますが、それまでは働いて得られる給与が収入のほとんどでしょう。この給与収入が断たれる原因が、解雇、転職等の場合は雇用保険から失業保険などを一定の期間受け取ることができます。
ただし、重い病気、ケガなどで働くことが難しくなると「障害基礎年金」や「障害厚生年金」の給付を受給できる場合もありますが、働いて得られる給与収入よりは少なくなり、資産運用や貯金にあてるお金もなくなることが考えられます。
働けなくなったときは必ず入院しているかというと、そういうことはありません。
入院時のリスクと働けなくなったときのリスクについて、具体的にどのような金額の損失が予想されるか考え、公的保障を確認しながら優先順位を立てて民間の保険を選ぶようにしましょう。
働けなくなったときの保険として「就業不能保険」「所得補償保険」などがありますが、保障、給付要件は保険内容によって異なり、一時金でまとめて給付されるものや、月々給付されるもの、毎年給付されるものなど様々。ひとくちに「働けなくなる」といっても病気や症状が限定されていますので、よく内容を確認して選ぶようにしてください。
アドバイスを受けたYさんの感想
ライフプラン結果をみるのは怖かったのですが、計画を立てて実行していけば実現可能なことがわかったので安心しました。意識をしておけば手取りの20%を貯蓄に回せる月もあります。できるだけやってみようと思います。保険は、医療保険とがん保険には加入していますが、働けなくなったときに給付される内容のものはなかったので再度検討するようにします。
家計簿診断を終えて
ライフプランはざっくりと立て、定期的に見直すことが大切です。今の1万円の価値が30年、40年後どうなっているのか、これからますます私たちのお金を取りまく環境は大きく変わっていくと思います。
自分のお金に関心を持つようにして、稼いだお金を上手に貯めて、増やして、備えてください。